上の子が下の子を叩いた!「叩いちゃダメ」以外の効果的な3つの伝え方
子どもが2人以上いる家庭で必ず勃発するのがきょうだいゲンカ。子ども同士がケンカを通して学ぶこともあるかもしれませんが、四六時中ケンカをしているのを見る親はうんざりしますよね。特に上の子が下の子に手を出してしまったときなどは、感情的に「どうして叩くの! ダメでしょ!」と声を張り上げてしまうことも……上の子が下の子を叩いてしまった場合、どんな対応をすればいいのでしょうか? 多くのママたちが持つお悩みに、教育評論家の親野智可等先生がヒントを示してくれました。
手を出してしまう上の子に、なんて伝えたらいいの……
ママスタコミュニティにも、上の子が下の子をよく叩いてしまうと悩むママのお悩みが寄せられていました。
『5歳の娘が最近2歳の息子を叩きます。 その度に私は娘を叩いて「痛いでしょ?! 自分が痛いことを人にやっちゃ駄目なんだよ」と怒ります。これってやっぱり駄目ですよね? どう怒れば良いのか分からなくて……皆さんどうしてますか?』
『普段から愛情をかけているつもりですが、どうすれば叩かなくなるんでしょうか。 叩く理由は、自分のおもちゃを踏まれた、前にいるからテレビが見えない……などです』
『うちにも5歳の娘と2歳の息子がいます。上の子が下の子を押したり叩いたりするのを悩んでて、トピ立てようと思ってました』
『私はその都度「お母さん悲しい」「人にされて嫌なことは絶対しない」って言い聞かせてるけど、その場はちゃんと弟に謝ります。でもどこかで納得してない様子……。そしてまた同じことを繰り返します』
『いきなり叩いたり押したりするので、どう言い聞かせたらいいのでしょうか?』
叩かれるのは痛いということを教えるために、実際にお子さんを叩いたり、「お母さんは悲しい」と伝えたり……さまざまな方法で一生懸命お子さんと向きあっているママ達ですが、なかなか効果がない様子。一体どんな対応をしたら子どもに伝わるのでしょうか?
1.まずは正論より「共感」で
教育評論家の親野智可等先生はこんなとき、ケンカをしている子どもたちから別々に話を聞くことをすすめています。ママは上の子、下の子それぞれから話を聞きます。そのとき、「叩くことはいけない」と言ってしまいそうになりますが、聞き方にコツがあるそうです。
例えば、あるきょうだいがケンカをしたとしましょう。
『お兄ちゃんに「どうしたの?」と聞けば、「だって、あいつが玩具取ってきたんだもん」などと言うでしょう。それを聞いて、たいていの親は「玩具取られたら叩いていいの? ダメなものはダメだよ」と叱ると思います。
でも、このように正論を一方的に押しつけるだけでは、子どもの心には届きません。親が自己満足するだけで、子どもの心や行動をかえることはできないのです。』
まず子どもの話を共感的に聞いてあげることが大切なのだそう。
まず子どもの話を共感的に聞いてあげることが大切です。「そうなんだ。おもちゃ取られたんだ」「そうだよ。いつもそうだよ」「それは困るねえ」「オレが遊び出すと取りに来てぜんぜん遊べない」「遊べないんだね」。
途中で遮ったりお説教を始めたりしないで、とにかく共感的にたっぷり聞いてあげましょう。すると、お兄ちゃんは自分の言いたいことを全部言えて気持ちがすっきりします。そして、「お母さん・お父さんは自分の気持ちをわかってくれた」と感じて、親への信頼感が高まります。』
共感しながら聞いてあげると、パパやママが自分の気持ちをわかってくれたと感じることができて、親への信頼感が高まるのだそうです。
2.徹底的に共感したら、下の子の気持ちを考える
上の子の気持ちを遮らずにしっかり聞いたところで、次は下の子の気持ちを一緒に考えます。
『「じゃあ、弟はどう思ってるかな?」と聞いてみます。すると、「叩かれてイヤだったと思う。弟もやりたかったと思う」と答えます。そこで、「弟の気持ちをわかってあげられて偉いね」とほめます。』
自分の気持ちをよく聞いてくれた親には、素直に「叩いたらいけない」ということを話してくれるかもしれません。そんなときは、下の子の気持ちがわかってあげたことをまた褒めましょう。
3.どうすればいいのかを子どもに考えさせる
その後、子ども自身に今後同じようなことがあったときはどうしたらいいのかを考えさせるといいと親野先生はいいます。
『次に、「じゃあ、どうすればよかったと思う?」とか「これからどうする?」などと聞いて考えさせます。すると、「オレお兄ちゃんだから、今度から先にやらせてあげる」などと答えます。そこで、またほめます。
このように進めると、子どもは「本当にそうしよう」という気持ちになれます。同じように、弟の話も共感的に聞いて、それから考えさせます。』
とにかく大事な第一歩は「徹底的な共感」という親野先生。誰にもそれぞれの立場や言い分があり、子どもにも子どもの主張があります。頭ごなしに叱るのではなく、まずは共感することが大事なのですね。
トラブルが起きたら、上の子の話をしっかり聞いて受け止める、下の子の気持ちに目を向ける、その後どうしたらいいのかを子ども自身に考えさせる。
子どものケンカがなくなることはありませんが、親がこのような対応をすることで、子どもも少しずつトラブルの対処法を学ぶことができるのかもしれません。親は忍耐も必要ですが、頭ごなしに上の子を叱るのではなく、まずは上の子の話を聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。
文・山内ウェンディ 編集・横内みか
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