464億円が権利消滅の危機!?ゆうちょ銀行に休眠口座はありませんか?
「なにかあったときに、貯金を下ろして使いなさい」。そういって親から郵便局の通帳を渡されたり、子どもの頃にもらったお年玉を郵便局の定額郵便貯金などに入れたままという人、今すぐにゆうちょ銀行、または郵便局の貯金窓口に行くことをおすすめします。
というのも、平成19年9月30日以前に預け入れた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金が満期後20年2ヶ月を経過しても払い戻し請求などがなかった場合、受け取りの権利が消滅してしまう可能性があるからです(※)。
定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金、あなたの貯金は大丈夫?
対象となるのは、平成19年9月30日以前に預け入れた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金。満期後20年ヶか月を経過しても、払い戻しのご請求等がない場合、旧郵便貯金法の規定により、権利が消滅し、払い戻しが受けられなくなります。郵便貯金・簡易生命保険管理機構によると、満期経過後の郵便貯金残高は、平成25年度83億円、平成26年度163億円、平成27年度150億円、平成28年度68億円。合計464億円もの貯金が満期を過ぎているといいます(※)。
請求がない場合は、権利消滅の案内(催告書)を送付しています。しかし、通知に気づかなかったり、住所変更で届かない場合もあります。「うちには通知が来ていないから、まだ大丈夫」と思っていると、気づいたときには権利消滅なんてことになりかねません。
口座を作った記憶がなくても一度確認を
気をつけたいのが、親が子どものために口座を作っている場合です。親世代からしたら子どもの名前で定額郵便貯金や定期郵便貯金、積み立て郵便貯金を利用していた人もいるのではないかと思います。そして「なにかあったときのために」と子どもに通帳を渡したり、自分で持っているかもしれません。そのような場合、20年2ヶ月を過ぎてしまったら、せっかく貯めたお金を受け取ることができなくなってしまいます。
窓口では伝えられないことも
実は、先日筆者も郵便局の貯金窓口に行き、記帳しなおそうと思った際に窓口の局員さんから「満期になっているので、解約となります」といわれました。その結果、別の口座に移すことになったのですが、休眠口座の話は一切出ませんでした。預け入れてからかなりの年月がたっていたので半分忘れていた口座でしたが、偶然にも権利消滅になる前に気づけて良かったです。
筆者が休眠口座の取り扱いの件について知ったのは、知り合いからの情報ですが、新聞広告やSNSで知ったという人も多いようです。新聞に広告まで出していながら、窓口で何も説明がなかったことには驚きましたが、まだまだ知らない人もいるかもしれません。
「親から預かった郵便局の通帳がある」「子どものころ、郵便局にお金を預け入れていた記憶がある」などの場合は、一度ゆうちょ銀行、または郵便局の貯金窓口で確かめてみてください。「通帳が見つからない」「印鑑がどれかわからない」「住所や苗字が変更になった」などの場合も、まずは窓口に行き、変更手続きをするか必要があれば相談しましょう。なにもしないまま放置しておくと、権利消滅して受け取れなくなってしまうので、早めに行くことをおすすめします。
文・長瀬由利子 編集・しのむ