子どもの「自己肯定力」を伸ばすために大切なのは「ほめる」こと。「ほめる」きっかけに使えるものとは
「こんな子に育ってほしいな」という想いは、どんな親でも持つものでしょう。
子どもが小さな頃は「元気で明るい子に育ってほしい」とか、「優しい子に育ってほしい」という想いが強いですが、子どもの成長とともに、子どもへの成長に求めるもの、期待するものは変わってきます。例えば、ひらがなが読めるようになって欲しい、時計が正しく読めるようになって欲しい、かけっこが早くなって欲しい……。子どもが産まれてきてくれた時は「五体満足で健康であれば、それだけでじゅうぶん!」と考えていたとしても、親というものは子どもに対してどんどん”欲深く”なっていくのかもしれません。
子どもの成長に合わせて、伸ばしてあげるべきこと
小学校に入る頃にもなると、子どもとはいえ、自分の世界を持つようになります。幼稚園や保育園などで親から離れた世界を経験した子どもたちは、小学校に入るとさらに親とは離れて過ごす時間が長くなります。親と離れて過ごす時間が長くなるうちに子どもたちはお互いに関わり合いを深めます。すると、子どもだけの”社会”が自然とつくられていくのです。
子どもだけの”社会”の中で学校でのお友だちとの付き合い方、集団生活の中での自分の立ち位置など、親の想像をはるかに超えたところで、子どもたちは「自分」について考えるようになるでしょう。自分は友達にとってどういう存在か、好きなお友達と自分の関係、苦手なお友達との付き合い方など、良い人間関係を築くためにはどうすればよいのか、子どもは子どもなりに悩んだり考えたりするでしょう。子どもの悩みや考えも大人とそれほど変わらないのではないでしょうか。
そんな子どもの成長に合わせて、何を伸ばしてあげるべきなのか……。子育て中の多くの親が悩むこのテーマについて、とても興味深い結果が出ていたインターネット調査についてご紹介します。
調査を行ったのは、写真を貼ってほめることで子どもの自己肯定感を向上させるという“新しい子育て習慣”を発信・啓発する「ほめ写プロジェクト」です。
子どものどういった個性や能力を伸ばしたいですか?
ほめ写プロジェクトが”子どもの自己肯定感や親の子育て意識を探ること”を目的として4歳から12歳の子どもを持つ親600名を対象に行ったインターネット調査によると、親が子どもの伸ばしたいと思っている項目のTOP3に、「他人を思いやる気持ち」「自己肯定感」「目標に向けて努力を継続する」という結果がでました。
ここで注目したいのが、2位に登場した「自己肯定力」です。最近よく耳にする言葉ですが、どうすると自己肯定力を伸ばしてあげることができるのでしょうか。
伸ばしてあげたい「自己肯定力」
95%の親が、伸ばすことが大事だと答えている「子どもの肯定力」ですが、一方で6割の親が「子どもの自己肯定力」を伸ばすために、意識して取り組んでいることはないという回答をしているのが印象的です。
一般的に、「自己肯定感」を伸ばすためには、ほめることが有効だといわれているそうです。
子どもをほめることが大事。納得できるのですが、実際育児の日々の中で、意識して子どもをほめることができているかというと、「YES」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。ほとんどの子どもは親の思い通りにはならないものです。気ままに親を振り回してくれます。しかし、それこそが子どもというもの。親の気持ちを”忖度”できる人生経験はまだ積んでいません。「今日は子どもを叱らずに誉めるぞ」とママが心に決めた次の瞬間には、子どもを叱ることになってしまうなど、もしかしたら子育て中のママにとっては日常茶飯事かもしれません。
この調査でも、子どもを「叱る」ことと「ほめる」こと、どちらが苦手かという質問に対して、約6割(56.0%)の親が「ほめる方が苦手」と回答しています。
ほめることが苦手でも伸ばせる「自己肯定力」
ほめることが苦手だと答えたパパやママたちが、簡単に取り組める「自己肯定力」を伸ばす方法があります。それが、「ほめ写プロジェクト」。
このプロジェクトは、教育評論家の親野 智可等(おやの ちから)氏が、小学校の教師として多くの子どもたちと接してきた中で感じた“自己肯定感の高い子どもの家庭には、写真プリントが貼られていることが多い”ことに着目し発足したものです。
ほめ写は3ステップで実践できます。
①撮る
子どもが何かに頑張っている姿や何かを達成した等の特別なシーンだけではなく、何気ない日常の一コマや家族と一緒に写っているし姿も写真におさめてください。
②飾る
写真は子どもの目線の高さで生活の導線上に飾ってください。「これは!」と思う写真はA4程度の大きめのプリントが効果的です。子どもの目に留まるように飾ってください。
③ほめる
飾った写真を見ながら、「この時は頑張ったね」「よくできたね」と努力や成果をほめるだけでなく、「生まれてきてくれてありがとう」「見ているだけで幸せな気持ちだよ」と子どもの存在そのものを肯定してあげてください。
子どもは、自分の写真が家の中で飾られていて、それを親にほめてもらうと、ほめられた自分の写真に対して肯定的な感情を持つようになるそうです。ほめられている時以外でも日常生活の中で繰り返しほめられた自分の写真を見ることで、「自分は愛されている」「存在価値を認められている」という肯定的な感情が反芻されるようになるんだとか。
ほめることが苦手だと感じる親御さんも、写真を見ながらであれば、「かわいいね」とか「笑顔がいいね」など、良いところを見つけて言葉をかけてあげるのは難しいことではないはず。
筆者は、早速この「ほめ写」を試してみました。
何度も何度も「この写真のときはね」と、撮影した時の気持ちなどを話してくれたり、今までとは違った会話をしたり、娘が嬉しそうに写真を見つめている姿を見て、続けていきたいなと感じました。
文・鈴木じゅん子 編集・しのむ