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「普通、微妙、別に」。思春期の子どもの言葉に隠された本音とは?


小学校高学年から中学生にかけて始まる子どもの思春期。心身ともに変化するから、子ども自身もイライラすることが増えます。子どもによっては親に向かって暴言を吐くようなことも出てきます。こんなとき、親としてはどう対処したらいいのでしょうか? 花まるグループ スクールFC 代表の松島伸浩先生にお話を伺いました。

「うぜぇ、くそばばぁ、死ね」は思春期の慣用句

小学校低学年くらいまでは、お弁当を作ってあげると「お母さんのお弁当は世界一おいしい」といってくれていた子どもも、中学生くらいになると、心も体も変わってきます。男の子だったら声変わりやひげも生え、親からみても「思春期だな」と思うようになってきます。同時に、口も悪くなってきます。「うぜぇ、くそばばぁ、死ね」と言われてショック。「わたしの育て方がまちがっていたのでは?」と思うかもしれません。

でも心配はいりません。「うぜぇ、くそばばぁ、死ね」は思春期特有の慣用句です。そのままの意味ではありません。ほんとうは「素直になれなくてごめんなさい」といいたいんだけど、いえないんです。そう思っておいてくださいね。

子どもの本音は「いちいち関わらないで」

お母さんたちも自分のことを振り返ってみてください。思春期のときに母親がいっているとことを「いちいちうるさいな!」と思ったこと、ありませんか? そのとき「うるさい!」といってませんでしたか? それってお母さんのことが本当に嫌いだったわけではなく、「いちいち関わらないで」ということだったのではないですか? だから本意ではないのです。でも、お母さんからしたら「え? なんで? あんなにかわいかった子が急にそんなことをいうの?」と思ってしまいます。それでバトルがはじまってしまうわけです。

思春期の1つの特徴としては、反抗期があります。最近は反抗期がない子もいて「大きくなってから爆発するんじゃないか」といわれることもあります。ただ、基本的には愛情たっぷりで育てられていたら、反抗期がなかったとしても私は大きく道は外さないと思います。

「普通、微妙、別に」は「心配してくれてありがとう」

思春期の口癖といったら「普通、微妙、別に」というのがありますね。「おなかすいてるんじゃないの?」「普通」。「成績はどうだったの?」「微妙」。「部活は楽しい?」「別に」。お母さんからしたら「まったく会話が成り立たない」と思うかもしれませんが、「心配してくれてありがとう」といっていると思えばいいんですよ。

思春期になってくると、親子のコミュニケーションは本当に難しくなってきます。お母さんからしたら「こういうときはどうしたらいいの?」と思うかもしれませんが、彼らは彼らでだんだん別の世界ができてきているわけです。優先事項が変わってくるのです。

たとえば、家族みんなで出かけようと決めたのに、「急に友達とでかけることになったからムリ」みたいなことになってくるわけでしょう。優先事項が変わってきて親子の関係も少しずつ変化していく。これも自然の流れです。そうやって親から少しずつ巣立っていくわけです。子どもから大人への成長のプログラムとしてインプットされているものですから「成長しているんだな」と、冷静に見てあげてください。

イラっとしたときは「言葉変換表」を思い出す

子どもが思春期にさしかかると、親はなにかとどまどうことが多くなります。また子どもの言動でイラっとすることも増えるでしょう。そんなときはうまく言葉の変換表を思い出して「『うるせー』とか言っているけど、『素直になれなくてごめんなさい』って言ってるんだな。わが子はちゃんと成長しているんだな」と思えば大丈夫。たったそれだけでイライラも随分と減り、子どもともいい距離感を保てるようになるのです。

取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・上野りゅうじん

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