周りの反応を気にしてメガネをかけたくない子どもへおくる絵本『メガネをかけたら』 #ママの悩みに寄り添う絵本
スマートフォンやタブレットが普及している昨今、親としては子どもの視力が気になりませんか?
文部科学省が行った平成29年度の学校保健統計調査において、裸眼視力が1.0未満の子どもは、幼稚園では約4人に1人、小学校では約3人に1人、中学校や高等学校では全体の半数以上となっています。視力低下が進んで学習に影響を及ぼすほどになると、メガネを装着するように眼科医から指導を受けることもあります。しかし、子どもの中にはメガネをかけたがらない子もいます。
わが子も小学生になって視力検査を受けたときに、眼科受診を勧められました。点眼薬による治療も試してみましたが視力低下は年々進行し、そろそろメガネをかけなければならないほどになっています。子どもにそのことを伝えると「見える」と言い張ってメガネを拒否しています。
そこで“メガネに対する先入観を軽減させるきっかけを得られたらいいな“と思った私は、絵本『メガネをかけたら』をわが子と一緒に読んでみることにしたのです。
絵本『メガネをかけたら』はどんな絵本?
『メガネをかけなくちゃいけなくなった。
そんなの
ぜったいに いや!
だって、だれもかけてないもの。
きっと みんなに わらわれるもの。
でもね、もし メガネを かけたら
こんな すてきなものが
みえるかもしれませんよ』
ある女の子が医師からメガネをかけるように言われてしまったので、お父さんやお母さんとメガネ屋さんに出かけるところから物語が始まります。女の子はクラスで誰もメガネをかけていないので、メガネをかけることもメガネ屋さんにでかけることも渋っていました。どれも似合うと店員さんに褒められても、女の子はいい気がしません。結局お母さんが選んだメガネを購入しましたが、家に帰っても女の子はメガネをかけることを拒否し続けました。
次の日、“クラスのみんなに笑われるのではないか”と気になった女の子はメガネをかけずに登校します。その様子を見た先生は「ひとりだけメガネをかけるのがいやなのね」と女の子に声をかけてくれました。
そのまた次の日、女の子は渋々ながらもメガネをかけて登校します。教室ではみんなに取り囲まれてしまうのですが、そこへ先生がメガネをかけて入ってきて、「メガネをかけたらみんなが思っていることや考えていることまで見える」と話してくれます。その後に行われた朝会では隣のクラスの先生も保健室の先生も、先生方みんながメガネをかけてきていました。女の子は、それらが先生の優しさから起こっていた出来事だと知るのです。女の子はメガネをかけたら、素敵なものが見えたのでした。
メガネをかける前に周りの反応が気になっているわが子と一緒に読んだ絵本
私が眼科の医師と話した限りでは、わが子は今、「メガネをかけなければならない」限界点に近いところまできています。自宅ではブルーライトカットのメガネを抵抗なくかけて、家族にうれしそうな顔を見せてくるわが子。しかし私が「学校にメガネをかけていくことになるかもしれない」と伝えると、わが子は「かけたくない」「いやだな」と言います。
私自身、小学生の頃からメガネをかけていました。メガネをかけはじめた当時の私も友だちの視線が気になっていて、そのときの気持ちは今でも覚えています。わが子も同じように、 “メガネをかけないとならないのだろうな”と思っているようですが、まだ周りの反応が気になるようです。
何か良いきっかけになることがないかと考えた私は、かつて読んだ絵本『メガネをかけたら』を思い出し、一緒に読んでみました。メガネに対するイメージが変わるのではないかと期待していましたが……残念ながらわが子はまだ、メガネをかけたくない気持ちの方が勝っているようでした。
わが子には、メガネをかけると黒板の字が見えるようになる、道路に車が来ているのがわかりやすくなる、といったメガネの必要性はもちろん教えています。加えて伝えたいのは、メガネをかけたら友だちや先生の表情、気持ち……そんな「今まで見えなくなっていたものが見えるようになる」ということです。
この絵本は、メガネをかけることで、新たな発見や興味につながることがあるかもしれないという魅力も伝えてくれています。視力矯正は、本人がイヤだったらしなくていいという類のものではありません。メガネの魅力も伝えて、わが子をサポートしていこうと思います。
文・藤まゆ花 編集・しらたまよ
■作:くすのきしげのり
■絵:たるいしまこ
■発行所:小学館
■価格:1,500円+税