メリットばかりじゃない!絶対音感のデメリットとは
音楽の仕事をしていると、「絶対音感をつけたいんだけど、どうすればいい?」と相談されることがあります。私は絶対音感を持っていますが、実は絶対音感を持つことは必ずしもメリットばかりではないと考えています。「訓練してもつかないわー」と残念がることはないかもしれません。
絶対音感って何?メリットは?
たとえば、エレベーターが、ボタンを押した階に到着します。「ピン!」みたいな音がしますよね。その時、「(高い方の)ソ」と音の名前で聞こえます。さらにカフェで流れてくるピアノのジャズはドー♪ファー♪シ♭ー♪ミー♪ラー‥とカタカナで。音を楽しむのではなく、音の名前で聞こえてくるのです。
絶対音感のメリットは
・楽譜だけを見て正確に歌える
・楽譜がなくても正確に音が拾える
などなど。プロの現場では役に立つ場合があります。
絶対音感のデメリットは?
意識しなくても、自然に音がわかる…このメリットはそのままデメリットになります。様々な音が勝手に耳に入ってきて、不快な和音になるのです。敏感な人は電車がホームに入ってくる低音まで聞こえてくるのだとか。かなり大変そう…。
ちなみに電子楽器に関しては、ジャンルによっては絶対音感がなくてもプロになれます。最近の電子楽器はトランスポーズ機能が備わっているので、いつも通り演奏するだけで、例えばドから始まっていたメロディがファから始まるように、自動的に切り替わります。絶対音感を持っていると逆に、電子楽器はファを出しているのに、自分はドの鍵盤を見ていて混乱することがあります。
絶対音感は遺伝するか
絶対音感が遺伝するかしないかの結論は、出ていないようです。環境だという説が強いようですが、もしかしたら脳の性質+環境なのかもしれません。
私の場合は、母親はピアノの先生でしたが絶対音感はなし。相対音感はありました。(※相対音感とは、音と音の間隔が正確であること、つまり音程がいいと言われる状態です) そして私は絶対音感アリです。けれども娘には絶対音感はありません。
なぜ私に絶対音感があり、娘にはないのでしょうか。
私と娘の環境の違いは、幼少期に楽器と照らし合わせて音の名前を教えてもらったかどうか、ではないかと思っています。母は私にピアノの音を聞かせて「ド」「レ」と教えていました。私は娘に、音程に気をつけて子守唄を歌いましたが、鍵盤と照らし合わせての訓練はしませんでした。
というわけで、絶対音感があるから音楽の世界が広がるということは、必ずしもありません。むしろ音楽を楽しむという点ではデメリットのほうが大きいとすら思います。音の名前にしか聞こえないジャズは、私は、もういいかな(笑)。
レアな話題でしたが、ご興味のある方のご参考になれば幸いです。
文・yuki イラスト・ももいろななえ