誰もいない部屋からの注文。いったい誰が…… #身の毛もよだつ恐怖の体験
ママスタセレクトに寄せられた、あるママ実体験の怖い話。
これは投稿者のママが若かりし頃、温泉旅館で仲居として働くところから物語ははじまります。夕刻どきの忙しいさなか、誰もいない部屋からの注文に首をかしげる従業員たち。その先で起こったできごととは……?
身の毛もよだつ恐怖の体験、読んでいる最中に電話が鳴らないよう、お気をつけください。
※怖い話が苦手な方は読まないでくださいね。
旅館の夕刻どきに起こった不思議なできごと
ホテルに入社したという投稿者のママ。その研修先に選ばれたのが、系列の温泉旅館でした。5階建てのその旅館は、いつもたくさんのお客さまと従業員で賑わっており、忙しい毎日を送っていたのだそう。
1階がフロント、2階~4階が客室、5階がレストランになっており、各フロアには担当の仲居が数名いて、バックヤードでお客様の到着を待ちます。バックヤードには部屋番号が書かれたホワイトボードあり、お客様が到着すると部屋番号のランプが点灯。それと同時にフロントから「〇番さん到着です。ご案内お願いします」と内線電話きて、その日の担当仲居がフロントへ迎えに出る……という仕組みになっていました。
その日も予約のお客様がすべて到着し、バックヤードではその日の流れなどを確認。夕食は部屋食となっており、夕食の時間になるとバックヤードからお膳やお酒を運び出す仲居が行き交って、大忙しになります。
部屋からの注文はフロントに直接連絡がいき、フロントからバックヤードに内線で「〇番さん、タオル追加です。お願いします」などの依頼指示がくることに。
そんな夕食配膳でバタバタもピークを迎えたそのとき、プルルルルルルとフロントからの内線が鳴りました。
「18番さんに、お銚子1本お願いします」
ベテラン仲居が「了解です」と電話を切るのと同時にホワイトボードの部屋番号を確認すると……18番の部屋のランプはついていなかったのです……。
電話がきた部屋は誰の予約も入っていないはず……
「あれ? おかしいな……」
ベテラン仲居はフロントに確認をいれます。
「さっきの18番さんのお銚子追加って部屋番号間違いじゃない? 18番は宴会場で今日は団体さんもいないし、使ってないでしょ?」
宴会会場だという18番の部屋。今日は誰の予約も入っていないはずでした。しかしフロントからの回答は
「いや、確かにこちらの電話では18番という表示でした。 間違いありません」
ベテラン仲居は 「いや、絶対間違いだから。 こっちでもお酒頼んだ人がいないかみんなに確認してもらうよ」と言って、他の仲居に直接注文を受けていないか確認するように指示を出しましたが、誰も頼んだ人がいないということでした。
「やっぱり間違いよね?」
とベテラン仲居が安堵しているところに、再びフロントから
「18番さんからお銚子がまだきていないって、クレームがきました! やはり18番で間違いないです。女性のお客様です」
の指示があります。忙しいのと、ありえない事態にベテラン仲居は
「そんなはずはないでしょ! 1度部屋に電話して確認してごらん。 誰も出るはずがないからっ!」
と、ちょっと怪訝そうに電話を切りましたが、すぐに折り返しがきて
「いま電話してみたらやはり女性がお出になられて、18番のお部屋でお銚子頼んでるそうです」
受話器をとったまま、しばらく無言で立ちすくむベテラン仲居。受話器をおくと意を決したように二番手の仲居に言います。
「A子さん、部屋の確認に一緒にきてちょうだい。カギを閉め忘れて、部屋を勝手に使われてるかもしれない。念の為、鍵も持っていきましょう!」
ふたりは、18番の部屋に向かうことに……。
ベテラン仲居が見たものとは……?
薄暗い廊下を抜けると見えてくる18番の部屋。遠目から見てもカギがかかっている様子が分かり、ノックをしても部屋の応答がなかったとのこと。
他の仲居たちは自分の仕事で慌ただしく、誰も18番の部屋のことを気に留める余裕がありませんでした。しばらくして夕飯どきの繁忙時間が過ぎたころ、ふと誰かが口を開きます。
「ねぇ……あのふたり、戻ってきてないよね……?」
たしかに、仲居のふたりが18番へ向かってからだいぶ時間が経っています。「どうしたんだろう……」と、みんながざわつきはじめたそのとき、青ざめたふたりが戻ってきました。
その足取りには覇気がなく、気軽に話しかけられる雰囲気ではありません。おそるおそる「……どうだった……?」と聞く同僚に対し、無言を貫くふたり。見開いた目は一点を見つめ、閉じることも開くこともできない口元と、蒼白した顔面。そのただならぬ様子に、それ以上誰も聞き入ることができなかったのです。
まるで、無言が全てをもの語っているかのようで、黙れば黙るほどに恐怖感が増します……。
しかしその後も18番にお銚子を運ぶ様子はなく、「やっぱり間違いだったのかな?」と無理矢理にでも気持ちを抑え込もうとした従業員たち。暗黙の了解のように「何もなかった」ことにして、残りの仕事をこなしていました。
しかし次の日、不思議なできごとがおこります。なぜだか、18番の部屋にあった掛け軸が急遽撤去されることになったのです。
「なんでこんなに急に……そんなに古い掛け軸だったっけ……?」なんて軽い気持ちでその様子を見守っていた投稿者のママですが、ふと、撤去された掛け軸を見てみると、そこに描かれていたのは……
色白美人の女性が、お銚子を持って杯にお酒を注いでいる姿だったのです……。
「オチョウシ マダ デスカ……」
その瞬間、背筋に寒気が走ったという投稿者のママ。もしかして、あのお銚子を注文した電話って……。そしてベテラン仲居が見たものとは……?
ほどなくして、研修を終えて温泉旅館を後にした投稿者のママ。いまだに1本のお銚子の謎は解けていないとのこと。
世の中には、まだまだ不可解なできごとが隠されているようですね。
あなたはどう思いますか?