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春から夏にかけて「ベランダからの転落事故」が増加。気をつけるべきことは?【朝ごふんコラム】

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子どものベランダからの転落事故、対策はしていますか? 消費者庁の調査によると、気候が良く窓やドアを開ける機会の多い、春から夏にかけて事故が増えるそうです。国立研究開発法人 産業技術総合研究所の大野美喜子さんに、窓やベランダからの子どもの転落事故についてお話を伺いました。
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12歳以下の子どもの、ベランダからの転落事故は145件

東京都の調査によると、平成19年以降にベランダから12歳以下の子どもが転落した事故は都内(稲城市、島しょ地区を除く)で145件もありました。年齢別にみると2歳児がもっとも多く、次いで3歳、4歳となります。好奇心が強くなる2歳から4歳は、とくに注意が必要です。

具体的には、このような事故事例があります。

『マンション9階のベランダから転落した。子どもはベランダで椅子とおもちゃ の箱を積み重ねてよじ登り、高さ 1.2mの柵を越えて転落したとみられる。転落の際、1階の木の柵にあたった後、植え込みの上に落ち、左足を骨折した(4歳)』

『マンション4階のベランダから転落した疑い。家族が起床時に子どもがいないことに気づき家を出たら、エントランス付近で近所の人に保護されていた。外傷があったため、救急要請したが、肘の剥離骨折、内臓損傷の疑いでICU管理となり、18日間の入院となった(3歳)』

ベランダからの転落事故は知っているけれど……実施されない安全対策

セーフキッズジャパン調べのアンケート(※)によると89%の人が「ベランダの転落事故を知っている」と答えながらも、「対策をしているか」というアンケートには、70%の人が「とくになにもしていない」と回答しています。ベランダからの事故のことは知りつつも安全対策となると「何をしたらいいのかわからない」という人が多いのかもしれません。

(※)セーフキッズジャパン調べ(2017/5/12-12/31 N=115家庭)

転落事故予防対策、まずやるべきことは出入り口の二重ロック

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子どものベランダからの転落事故を防ぐためには、子どもをベランダに出さないことが大前提となります。子どもが一人でベランダに出られないよう、出入り口に、子どもの手の届かない高い位置に二重ロックをつけましょう。鍵の値段はまちまちですが1500円前後で販売されていて、取り付けもとっても簡単です。うちにも3歳になる子どもがいますが、常に二重ロックをかけているため、子どもが勝手に一人でベランダに出たことはこれまでに一度もありません。

自宅のベランダをチェックしてみましょう

自分の家のベランダで、チェックするポイントは3つあります。1つめは柵の高さです。ベランダの柵の高さは、建築基準法では床からの高さは110㎝以上と決められていますが、床にすのこなどを敷いてしまって、気付かないうちに柵の高さを低くしている場合があります。新しい住居へ引っ越す機会のある人は、柵の高さ(できれば120cm以上)も確認するとよいでしょう。2つめは、ベランダに置いてあるモノです。テーブル、イス、三輪車、鉢植えなど足場になるものは置かないようにしてください。モノを置く場合には柵から60㎝は離しておきましょう。3つめは柵のデザインです。デザインそのものが足かがりにならないかもチェックしてみましょう。

格子の幅は9㎝以下に。子どもの頭と体は意外に小さい

柵が格子になっている場合、格子の幅にも注意してください。子どもの頭や体は、思ったよりも小さいもの。大人が「これくらいの幅だったら大丈夫でしょ」と思うようなところでも、意外と通れてしまいます。そのため幅は11㎝以下、できれば9㎝以下であることが望ましいです。手すりの下部に隙間のあるベランダもあるので、その隙間も11cm以下にしましょう。

「転落事故防止対策」のはずがかえって危険を招く造りとは!?

以前、「ベランダの転落事故予防対策に、柵を高くしました」といって教えてくれたママがいました。実際に見せてもらうと、ベランダの柵一面にラティス(格子状の目隠しパネル)が張り巡らされていました。取り付けたママとしては「おしゃれだし、柵に高さがあるから安全」と思ったのでしょう。

しかし安全面からみるとかえって危険。なぜなら子どもはラティスを足場にしてよじ登ってしまう可能性があるからです。パネルやフェンスなどは取り付けないようにしましょう。

今回のポイント
①二重ロックをつけて、子どもが勝手にベランダに出られないようにする
②ベランダの床からの柵の高さは110㎝以上あるかを確認(できれば120㎝)
③床にすのこなどを敷かない
④イスやプランター、格子状のパネルなど足場になるものを置かない
⑤エアコンの室外機は柵から60㎝以上離す・
⑥柵の格子の幅は11㎝以下(できれば9㎝以下)

自宅のベランダのチェックポイントをまとめたパンフレットは、Safe Kids Japanのホームページにありますので、こちらも見てみてください。

窓を開けると気持ちいい季節。自宅のベランダ環境を今一度確認して、安全な環境を整えてあげてくださいね。

「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとってほしい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
生活に役立つ記事は『朝ごふん』ページで読むことができます。ぜひご覧くださいね。

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