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赤ちゃんへの負担はあるの?早期の検査が重要な「新生児聴覚スクリーニング」とは #ママが気になる子どもの健康

※2020年6月時点の情報です。

出産後、入院中に赤ちゃんに行う「新生児聴覚スクリーニング」という検査をご存じですか? これは生まれてすぐの赤ちゃんの耳の聞こえを確認するものですが、この検査について実は詳しく知らない……というママも多いかもしれません。ママスタにも、この検査についてよくわからないために産後不安な気持ちのママがいました。

『今、出産して入院中です。赤ちゃんの聴覚スクリーニング検査を昨日と今日で4回ほどしました。しかし毎回、子どもが寝なかったり動いたからできなかったと言われ、また明日やります。赤ちゃんの体には負担や悪影響がないのかが気になります』


体を休める必要のある時に、子どものことが不安で休めないのは辛いですよね。今回は、「新生児聴覚スクリーニング」についてご紹介します。

早期に検査することが重要!「新生児聴覚スクリーニング」

目に見えないため気づかれにくく、言葉の遅れなどから発見されることの多い「難聴」。全国の精密聴力検査施設を受診する赤ちゃんは、1年間に約4000人(国内出生数の約0.4%)います。このうち約1000人(国内出生数の約0.1%)に両耳難聴が発見されます。また、ほぼ同じ人数の赤ちゃんが片耳難聴と診断されます(平成28年時点)。

両耳難聴の子どもでは、早期に発見して補聴器を装用し、早く聞く力や話す力をつける練習(早期療育、教育)ができると、話をする力やコミュニケーション能力を高くすることができます。

主に行われている「2つの検査方法」

これまで、先天性難聴は3歳児健診時などに「ことばの遅れ」などで発見されていました。しかし現在は出生後すぐに検査で調べることができます。これが新生児聴覚スクリーニングで、現在使われている方法は主に2つです。

自動耳音響放射(自動OAE)

小さなイヤホンを外耳道(耳の穴の入り口から鼓膜に達するS字状の管)に沿って挿入し、そこから出された音に対する、内耳の蝸牛(内耳にあり聴覚を司る感覚器官)が反応し、一部外耳道に放射される音を検出します。検査方法も痛みはなく、数分程度で終わります。

自動聴性脳幹反応(自動ABR)

ベッドサイドで自動睡眠下でできる検査で、音に対する聴神経から脳幹の電気的反応を見ます。電極を3か所(前額部中央、項部中央、肩または頬部)に貼って両耳にイヤカップラー(使い捨てのイヤホン)を装着する機種と、電極とイヤホンが一体化していて乳様突起部(耳後部)と頭頂部に装置をあてる機種があります。いずれの機種もささやき声程度の強さの音をイヤホンから聞かせています。こちらの検査も痛みはなく、数分程度で終わります。

「新生児聴覚スクリーニング」再検査になってしまったら?

スクリーニング検査は多くの赤ちゃんを効率的に検査するために開発された簡易検査で、これによって最終判断が出るものではありません。耳に羊水が残っていたり、耳垢がつまっている場合なども、正常児でも「要再検」となるしくみになっています。いずれにせよ、「要再検」となった場合は直ちに専門医のいる大きな病院で精密検査を受けるようにしてくださいね。

聴覚スクリーニングは安全なの?赤ちゃんへの負担とは

冒頭のママの声にもありましたが、赤ちゃんにとって安全な検査なのかが気になるところです。検査は赤ちゃんが自然に眠っているタイミングを見計らって行われ、ささやき程度の音を聞かせたりしながら5~10分程度終わります。小さなイヤホンを入れる、電極シールを貼るためにガーゼで皮膚を清拭するものの、赤ちゃんは違和感や痛みを感じることはありません。

赤ちゃんの耳の聞こえを確認する大事な検査である「新生児聴覚スクリーニング」。赤ちゃんへの負担や痛みもない検査なので、入院期間中はママも心配しすぎることなく過ごせるといいですね。

参考:国立成育医療研究センター「小児難聴」
日本耳鼻咽喉科学会「新生児聴覚スクリーニングマニュアル」
公益社団法人日本産婦人科学会「新生児聴覚検査に関するQ&A」
慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト「新生児聴覚スクリーニングとその後の精密検査」

文・山内ウェンディ 編集・blackcat イラスト・んぎまむ

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