親との会話が原因!?子どもが社会で活躍するための「3つの要素」 #ママが知りたい子どもの教育
学生時代が終わり、社会に出てからも伸び続ける「あと伸びする力」。この「あと伸び」をする子にはある共通の特徴があるといいます。子どもの「あと伸びする力」を伸ばすために、親が気をつけるべきこととは? 「花まる学習会」の代表、高濱正伸先生にお話を伺いました。
子どもがあと伸びするためには、「言葉の正しさ」「聞いていることに答える」「語彙力」、この3つが大切です。
子どもがあと伸びする「3つの要素」
1、親が「正しい言葉遣い」をしているか
あと伸びしている子には共通して「言葉がしっかりしている」という特徴があります。よく「あの家のパパは東大をでているから、あの子はよくできる」ということがありますが、それは誤解です。パパが医者だから子どもの頭がよくなるわけではなく、医者であるパパの言葉がしっかりしているから、子どもが伸びるのです。
お迎えのときに会話を聞いていると、会話のレベルが違います。たとえば、子どもが「今日は○○とか△△とかをして嬉しかったんだよ」と話したとします。するとパパは「それは嬉しいじゃなくて楽しいだろう」と訂正していました。そこには「嬉しいと楽しいをきちんと使い分けなければダメだ、というお父さんの言葉への厳しさが感じ取れました。ポイントは優しくさらっと言うことです。この言い直しをさせることを含め、言葉のちょっとした違いにも敏感であることが、子どもの語彙力に影響するのです。
ママ自身が「~ていうか」「~みたいな」と言う発言をしますが、これはアウト! このような会話をしていたら子どもは伸びません。
2、伸びる家の特徴は「聞かれたことに答えられるか」
ママが塾に迎えに来ました。
ママ:「あんた、ちゃんと宿題をやったの?」
子ども:「やったよ」
ママ:「どこをやったの」
子ども:「ここのページ」
ママ:「わからないところはあったの?」
子ども:「あった」
ママ:「先生に聞いたの?」
子ども:「聞いた」
この会話を聞いただけで、子どもが伸びるか伸びないかがわかります。これは伸びる家です。子どもはママに聞かれたことに対してちゃんと答えています。
逆に、伸びない家をご紹介します。
ママ:「あんた、ちゃんと宿題やったの?」
子ども:「ていうか、ご飯なに?」
ママ:「そうだ。帰りにスーパーに寄らなくちゃ」
ママはここで「ご飯なに? じゃないでしょ。ママはちゃんと宿題をやったかどうか聞いてるよ」と言わなければいけないのに、そのまま会話を流してしまうのです。ママ自身も、食事の支度などしながら話をしているので、会話が途中で切れてしまうのです。最初の質問はどうなったのかといえば、空中に浮遊しているような状態です。「聞かれたことに答える」というのは非常に重要ですよ。
僕からしたら、親子で会話のキャッチボールをしてほしいのです。ボールを投げられたら打って返す。さきほどの「会話があちこちいってしまう家庭」のことを、僕は「弾切れ家族」と呼んでいます。自分の好きな話題だけを投げて相手はまったく受け取らない。これでは子どもは伸びません。
3、自然を感じて語彙力を伸ばす
語彙力を伸ばすと言うのは非常に重要です。語彙力、いいかえれば豊かな言葉を使えるか。同じくらいの能力がある子がいて、どこで差がつくかというと言葉遣い、すなわち「語彙力」です。語彙力は子どもが幼少期の頃、まわりの大人がどれだけ言葉に気を遣っていたかどうかで決まります。
たとえば「新緑の美しさ」。小学生低学年には、新緑の美しさというのは言葉にしてあげないとなかなか伝わらないものです。ママが青々と茂る木を見て「緑がきれいになってきたわね」と言ってあげる。それによって子ども「え!?」と思ってまわりをよく見るのです。
あるとき僕は授業中、窓を開けて換気をしました。その日は夕日がすごくきれいだったのです。「おーい! すごくきれいな夕日が見えるぞ」と言ったときに、走って見にきた4人ぐらいの子たちは頭の良い子です。「ほんとだね」「すごくきれい」といいます。要するに親子で夕日の美しさについて語る習慣があるから、このような場面で共感できるのです。
駆け寄らなかった子たちはボケッとしていました。「夕日がなんですか?」みたいな顔をしています。夕日の美しさとに対して、ちゃんとアンテナが張れているか。これを伸ばすのが親子の会話です。ママやパパが日常のちょっとしたことや、季節の移り変わりに感動したことを言葉で表現していると、自然と子どもも感動できるようになるのです。こうした経験が本当の頭の良さに直結し、社会に出てからも活躍する「あと伸びする力」につながっているのです。