子どものココロ、親知らず……。小学2年生の作文「かみなりおかあさん」が泣ける
朝日小学生新聞を発行する朝日学生新聞社が、全国の小学生を対象に「いつもありがとう」作文コンクールを開催。日ごろはなかなか面と向かって言えない家族への感謝の気持ちや、家族への思いが込められた作文が集まりました。
応募総数3万9699点中から、見事最優秀賞に輝いたのは千葉市の小学2年生、 富澤晃士朗(とみざわ・こうしろう)くんの書いた「かみなりおかあさん」です。
そのタイトルに、思わずドキッとするママも多いのではないでしょうか?
どこにでもある、ごく普通の日常が子ども目線で描かれているこの作品。‟ママ目線”のはずの私たちが、なぜか自分が子どもだった頃の懐かしい気持ちも思い出してしまう、切なさと温かさに溢れる作文に、涙がこぼれます。まずはこちらをご覧ください。
毎日忙しく怒ってばかりのお母さんを見つめる、素直な子どものココロが伝わります
子育てをしていると、いつも何かに追われている気分になります。やってもやっても終わりの見えない毎日に、「忙しい」がいつの間にか口癖のようになってしまうこと、ありませんか?
そんなお母さんの姿を、‟毎日「忙しい」と急いでる”と表現する晃士朗くん。「忙しそう」ではなく「急いでる」と感じるところが、お母さんの姿を客観的に見つめている子どもならではの発想で考えさせられます。
母の立場からすればすべて‟あたりまえ”のことしか言っていない小言も、言われ続ける子どもの心情は「なんでそんなに怒ってばっかりなの?」のようです。
「おかあさんかみなりがおちるので」家を出た
朝から晩まで落ち続けるお母さんのかみなりに耐え切れず、晃士朗くんはお母さんにだまって家を出てしまいます。森でのザリガニとりからトボトボと帰路につく晃士朗くんの頭の中は、お母さんのかみなりのことでいっぱいです。かみなりを避けるために家を出たのに、結局もっと大きなかみなりを受けることになるだろうと、気持ちはさらに落ち込みます。
かえり道に行き先を言わないで出かけたことを後悔「おかあさんはとてもおこるんだろうな」
家の前でお母さんを見た瞬間に思うのは、やっぱり「かみなりが落ちる」でした。
しかし、実際には晃士朗くんを待っていたのは‟かみなり”ではなく‟お母さんの愛情”だったのです。
晃士朗くんが出て行ってしまってから、きっと必死になって彼を探したお母さんは、泣きながら晃士朗くんを抱きしめます。
「 おかあさんのかみなりは、 たからもののぼくにしか、 おちないのです」
忙しい毎日の中で「言い過ぎたかな?」と思いつつも、それに振り返る余裕もない日々。心の中にはいつでも子どもへの愛情で溢れているのに、なかなかそれを表現できないうちに子どもを不安にさせてしまったことを、ものすごく後悔したのかもしれません。そんなお母さんの愛情に包まれて、自分のとった行動を素直に反省した晃士朗くん。
そして「おかあさんのかみなり」の内側にある本当の気持ちに触れ、怒られることの意味を理解するという成長を見せるのでした。
「親の心子知らず」とはよく言ったものですが、子どもの心も親知らず……ですね。
小学2年生の素直な気持ちの変化と、お母さんの気持ちが痛いほど伝わってきて、筆者は思わず涙してしまいました。
親になると、子どものために言いたくないことまで言わなくてはいけないことがたくさんあります。それが積み重なれば積み重なるほど、お互いに息苦しくなってしまう時もあるでしょう。しかし、そんなときは一度子どもを抱きしめて「大切だから怒っている」という事実を伝えてあげると良いのかもしれませんね。
晃士朗くんの作文は、母になった私たちに大切なことを思い出させてくれました。素敵な作文をありがとうございました。