子どもたちがディオールのドレスをデッサン ― 「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展
2017年7月5日から2018年1月7日までパリ装飾芸術美術館にて「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」が開催されました。これは、クリスチャン・ディオールが1947年に初めてコレクションを発表してから70周年を祝う回顧展。3,000平米もの空間に、1947年から発表した作品から、オートクチュールドレスや帽子、バッグ、靴、ジュエリーなど厳選された約300点もの作品が展示されたのです。
普段は目にすることのできない作品に出会える貴重な機会とあって、ファッションに精通している人はもちろん、そうでなくても「ぜひとも見ておきたい!」と考える人たちで連日大盛況でした。
そんな展覧会の会場に、パリの子どもたちが色鉛筆とぬり絵を持って足を踏み入れたという動画が公開されています。美術館中に飾られた歴史的な作品に触れる子どもたちの様子とともに、展覧会の様子も垣間見えます。
子どもたちが展覧会でディオールのドレスをデッサン
動画では、Baby Dior 2018 春夏コレクションを着た子どもたちが、会場に元気よく飛び込むところから始まります。赤いドレス、水玉模様のTシャツ、刺繍が施されたジャンプスーツなど、一流のデザインに身を包み、まるで映画の登場人物のような子どもたち。好奇心いっぱいに館内を見回しています。
「下に降りて服を見に行きましょう」と先生らしき人に声をかけられ、展示されている作品について「このスーツの名前はわかりますか?」と質問されました。
その答えは「“バー”スーツ」と言うのだそうです。この“バー”スーツとは、クリスチャン・ディオールが1947年に発表した当時画期的とされた作品です。ウエストをキュッと絞りその下にスカートがふんわりと広がったデザインで、今見てもまったく古さを感じさせません。
続いて「シルエットをデッサンしてみましょう」とデッサンの時間に。
「逆さまにしたら花みたいになるよ」
「私はスカートから描き始めてブラウスはこんな風にしたの」
「帽子は消しちゃった 上手に描けないんだもの!」
などと言いいながら、思い思いにデッサンしていく子どもたち。
そのうちさまざまな色紙を使ってスカートを作り、デッサンに貼りつけ始めました。それぞれの子がまったく異なる色を選んで、色とりどりのドレスが出来上がりました。どの子の作品を見ても、その色選びのセンスには驚かされるほどです。
デッサンに夢中で美術館の床に腹ばいになりながら描く子どもに、Baby Diorの服が汚れるのでは……とそんな心配をしてしまう庶民の筆者にはこの服を子どもに着せることはできませんが、幼い頃から一流の服を身にまとい、一流のアートに触れる機会があることで豊かな感性が刺激され、子どもたちが得ることは思っている以上に大きいのかもしれないと感じました。
【クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ】
開催場所:パリ装飾芸術美術館
開催期間:2017年7月5日から2018年1月7日まで
文・山内ウェンディ