いつでも、どこでも、ママに寄り添う情報を

戸田恵子さん&中山秀征さんが語る、子ども映画祭「キネコ」の魅力<前編>

1992年にスタートし、今年で25周年。「夢を育てる世界の映画を子どもたちへ」を合言葉に「キネコ国際映画祭2017」が開催されます。
長らくそのサポーターを務めるのが、女優・戸田恵子さんと司会者/俳優の中山秀征さん。戸田さんはジェネラル・ディレクターとして、中山さんはプログラミング・ディレクターとしてかかわる一方、声優さんたちが生で吹き替えをする「ライブ・シネマ」にも毎年参加されています。25周年という記念すべき開催を前に、おふたりにあらためて「キネコ」の魅力を語っていただきました。

1S1C1828_S

戸田さん「子どもたちと気持ちを共有できる喜びは大きい」

──近年は「キネコ」に続けて参加されているおふたりですが、「また今年も!」と思われるのにはどんな理由があるんですか?

戸田さん:もともと私は「生で吹き替えをしてください」と頼まれ、「おもしろそう」という軽い気持ちで参加して(笑)ここまできました。続けたくなるのはひとえに(上映される)作品のよさ。作品たちと出合うたび「めちゃくちゃおもしろい!」と思うので、役者としてすばらしい作品に参加できる喜びが理由のひとつですね。
あとは生吹き替えを通して、子どもたちと気持ちを共有できる喜び。本当に、めったにできない経験をさせていただいているなと思います。

中山さん:僕は7年めになるんです。自分の日常が変化してきた時期に参加させてもらって、まったく新しい世界観を感じました。手作り感満載だったので、「こんな作り方もあるんだな」と感心した覚えがあります。
あとは戸田さんがおっしゃったことにもつながりますけど、生でアフレコをやるという斬新さ。緊張感は、もう脂汗をかくレベルなんですけど。

戸田さん:そんなことはないでしょ(笑)?

中山さん:いや、本当ですよ! 戸田さんはじめ声優の方々のすごさを感じるイベントでもあるんです。プロの技を横で見せていただいて「あ、もっと自分も精進しなくちゃいけないな」っていう。みなさんノッてできるのは、観てくれるお客さんの存在と作品自体のすばらしさが大きいでしょうね。やる側も観ている側も、いつもとは違う空間なんですよ。それがこれまでの6年間で感じる、この映画祭らしさかなと思います。

──毎年参加されていて、何か変化を感じるところはありますか?

戸田さん:今でももちろん手作りで、それがよいところでもあると思うんですけど、最初のころはなかなか行き届かないところもあって。現場でも汗をかきながら走り回ったりしていたんですけど(笑)、薄い階段でも着実に上に登れてきているなという思いはありますね。
あと、去年からは(東京都世田谷区)二子玉川というホームグラウンドを得ることができて。

1S1C1654_S

──今年も同じく、二子玉川での開催となりますね。

戸田さん:海外では、とくにヨーロッパではひとつの地域でみなさんにバックアップしていただくやり方が多いんですよ。映画はもちろんですけどお店が出たり、アトラクションがあったり。子どもたちが素敵な映画と出合えるためのチャンスを、大人たちがバックアップしているんです。「キネコ」も地域の方々に応援していただいて、そんなやり方に近づけたらいいなと思っています。

中山さん「映画の世界に入っている姿に、喜びを感じます」

──上映されている映像を観ながら俳優の口に合わせてアフレコする「ライブ・シネマ」は、やはりご苦労が多いでしょうね。

戸田さん:この仕事を続けている私も、ほかでは一度も経験がないくらい無謀なことですよね(笑)。スタジオでお金をかけてキレイに録音したものを披露できたらいいんでしょうけど、その予算がないから「生で一度だけやって済まそう」とスタートしたことなんですよ。無謀だけど、みんなでがんばればできるかな?って。
だからみんな、それぞれがお家で地味な努力を重ねてくるんです。何度も何度も作品を観て練習してきて、それを当日一発でみんなと合わせるっていう。(映画祭にゲスト来日する)海外の監督さんは、みなさんびっくりされますね。海外では、通訳の方が出てきてしゃべるだけなので。それは誇れることかなって思います。

中山さん:(スタートの合図)キューもきっかけもない中で、自分たちで間を作って俳優の口の動きに合わせて役になりきるわけですからね。ひとりズレたら、大変なことになるんですよ。

戸田さん:ゆっくりしゃべっているシーンならまだしも、たくさんの人が次々しゃべるシーンとか。

中山さん:しっちゃかめっちゃかになるんですよ(笑)。だからそんなことにならないように、それぞれ家でトレーニングをしてきてもらって本番で勝負する、と。

1S1C1792_S

──それをまた子どもたちがキラキラした眼差しで観てくれる……。

戸田さん:そう! 喜んでくれているのは熱で感じるし、おもしろいシーンだと笑ってくれるんですよ。感動しているときはじーっとしていて、無音でも「あ、今感動しているぞ!」ってちゃんと感じられるんです。

中山さん:不思議ですよね。横でしゃべっているから気になっちゃうかな?って思うんですけど、子どもはみんな映像を観ているんです。食い入って観ていてくれる。それがやっていてうれしいところなんですよね。その映画の世界に入ってくれているというのが。

「ライブ・シネマ」は観ている側の反応をダイレクトに感じられる、おふたりにとって希少な機会でもあるのですね。
今年は戸田さんはドイツの長編映画『ウェンディと白い馬』、中山さんはアメリカの短編映画『チョコレートの兵隊さん』に参加予定です。どうぞお楽しみに!

続く後半ではおふたりが子ども時代に観た映画や、子どもに観せたい映画についてお聞きしました。ご期待ください。

キネコ国際映画祭2017

会期:2017年11月2日(木)~6日(月)
会場:109シネマズ二子玉川(シアター9)、iTSCOM STUDIO&HALL、二子玉川ライズ、兵庫島公園 ほか
入場料:子ども(3~17歳)700円、大人(18歳以上)1,200円

詳細は公式HPへ

取材、文・鈴木麻子 撮影・泉 三郎

鈴木麻子の記事一覧ページ

関連記事

戸田恵子さん&中山秀征さんが語る、子ども映画祭「キネコ」の魅力<後編>
子どもたちが世界中のすばらしい映画と出合うことのできる、日本最大規模の子ども映画祭。今年で25周年を迎える「キネコ国際映画祭」の開催が間近です。 ジェネラル・ディレクターを務める女優の戸田恵子さん、...
『にじ』『世界中のこどもたちが』の産みの親、新沢としひこさん&中川ひろたかさんはコンビ結成30周年
幼いころに親しんだ歌を、ふと思い出すことはありませんか? そんな曲は今では我が子が歌っていることもありますね。 子どもたちが歌っている姿を見て、自分の子ども時代に照らし合わせてみたり、懐かしく思...
茂木健一郎×小幡和輝:「学校に行きたくない」子どもに対する“親”としての選択肢
「学校に行きたくない」 子どもがそう言い出したら、皆さんはどうしますか? 「自分の子は大丈夫」と思っているママは少なくないかもしれません。しかし不登校児の数はここ数年で増えているそう。実際に自分...