2歳での卒乳と5歳での「ひとり寝」。成功した理由とうまくいかなかった理由
「卒乳はいつごろがいいんだろう?」
離乳食が本格的になってくると、だんだん卒乳の時期が気になってきます。筆者もそんな1人でした。
筆者の周りでは、1歳前後で卒乳したという話をよく聞きましたが、「子どもからいらないといわれるまではあげる。ほしがるまではいつまでもあげていい」という考え方がいいな、と思っていました。
筆者は当時、娘に細々と、1歳過ぎても毎日眠る前におっぱいをあげていました。おっぱいはすでに出ていなかったのかもしれませんが、スキンシップだけでもいい。
とことん子どもに付き合うつもりでしたが、根性なしの筆者。だんだん別の欲が出てきました。
大人が計画した「卒乳」、その結果は……
おっぱいよりも、絵本を読んだり話をしたり、上の子も一緒に眠る前の時間を過ごせたらいいな、とだんだん思うようになったのです。
それだけでなく寝かしつけは時間がかかるし、自分も寝落ちしてしまうこともしょっちゅうで、「早く子どもが寝てくれれば、私も片付けや残りの仕事ができるのに」と眠る前のおっぱいが少々億劫にもなっていました。
結局、2歳の誕生日におっぱいをやめられるように、と計画を立てました。
カレンダーの誕生日に娘の好きなキティちゃんのシールを貼って、娘に説明します。
「今日は、ここ。この日は〇〇ちゃんの誕生日、あと3週間で、2歳になるんだよ。お姉さんになるね。お姉さんになったらもう寝る前のおっぱいはやめようね。おっぱいはバイバイだね」
そんな話をカレンダーの前で、繰り返しました。
そして誕生日。寝る時に、
「今日は〇〇ちゃんの誕生日だから、おっぱいはもうバイバイだね」
カレンダーに貼ったものと同じキティちゃんのシールをパジャマに貼って話すと、
「あ、そうだった!」
と思い出したような表情になった娘は、そのまま納得して、私の横でおっぱいなしで眠りました。
「親の言い聞かせでこんなに簡単に卒乳してしまうなんて」
あっさりうまくいって拍子抜け、というか、かえって寂しい思いさえしました。ママである筆者が決めた卒乳の日でしたが、勝手すぎる筆者のママとしての気持ち。ちょっと後悔するような、罪悪感さえ感じてしまいました。
そして3年後、娘の5歳の誕生日。似たような場面に遭遇することになったのです。
うまくいった卒乳と同じ方法でひとり寝に挑戦。しかし……
今度はパパが
「誕生日がきたら5歳のお姉さん、自分ひとりで夜寝ようね」
と娘に言い聞かせ、娘と約束しました。
卒乳後、夜の寝かしつけはパパになり(基本的にパパっ子の娘なのです)、パパのベッドに一緒に眠る娘。しかし5歳近くになって大きくなった娘と夫が隣り合って眠るのは窮屈になってしまっていたのです。
3年前の卒乳の時に筆者がやったのと同じように、何度もカレンダーの前でその話をするパパ。
そして誕生日。
「今日は誕生日。お姉さんになったから、ひとりで寝てみようね」
「うん、わかってる!」
娘はそう言って自分の部屋でひとりで寝ました。
卒乳の時と同じ。
「娘は手のかからない子なのかな」
筆者は当日そう思いましたが、違いました。
翌日の朝起きると、筆者の横には娘が眠っていました。夜に起き出して、筆者のベッドに入ってきたようです。パパとはひとりで寝る約束をしていたので、その約束を破ることになるのが悪いと思って、夫ではなく筆者の布団に入ってきたのかもしれません。
「まだ娘はひとりで眠れるようになる準備ができていなかったんだ、親がタイミングを間違えた!」
娘がひとりで眠るようになったのは、それから1年後。このときは、娘自身が「ひとりで寝たい」と言うまで私が添い寝して付き合いました。卒乳時の寂しい気持ちの穴埋めというか、罪滅ぼしというか、筆者自身はそんな気持ちでした。
「2歳の娘にはおっぱいをやめる準備ができていたからやめられたけど、5歳の娘にはひとりで寝る準備ができていなかったということかも。親の言い聞かせだけでうまくいくことなんてないんだな」
当時のことを思い出すと、卒乳もひとり寝も、子ども自身が準備できていないと、いくら親が言い聞かせたり仕向けようとしたりしても実際には無理、と今は思うようになりました。小さい子どもだからって、親の思い通りにさせるなんてできるものではなくて、子ども自身は自分のできることを少しずつ増やそうとマイペースに成長している、そんなふうに思えます。
子どもの成長を見守り、親はタイミングを見極めていきたいですね。
文・野口由美子 イラスト・マメ美