首かけ式の乳幼児用浮き輪、お風呂で使って大丈夫?【朝ごふんコラム】
プールなどで赤ちゃんの首につけて使う首かけ式の乳幼児用浮き輪(以下、首浮き輪)。これをお風呂で使っている人はいませんか? 首につけて湯船に浮かばせている間に、お母さんはササッと頭を洗えるから便利かもしれませんね。でも実はこれ、大変危険な行為なんです。今回は、首浮き輪の危険性について、小児科医で「子どもを事故から守るプロジェクト」代表の出口貴美子先生にお伺いしました。
東京都内の住宅で親と入浴中の乳児が、首掛式の首浮き輪を使用している際に一時窒息し、救急搬送されました(4カ月)。
親が入浴時に、首浮き輪を乳児に着けて浴槽に入れ、長くて2~3分間、目を離して気付くと、製品のベルトが外れ、乳児の顔が浮き輪から下がって鼻の下まで湯に浸かっていた。すぐに抱き上げて2回水を吐かせた後、救急搬送した。入浴時にはいつも首浮き輪を使用しており、製品の上下2か所に あるベルトのうち下1か所を留めていなかった(6カ月)。
親が乳児に首浮き輪を着けて浴槽に入れたら、親が1~2分ほどの間、シャワーで自分の髪を濡らし浴槽内を見ると、首浮き輪が外れて乳児がうつぶせで浮いていた。すぐに乳児を抱き上げて手当をすると、咳をして泣き出した(4カ月)。
親が乳児(4か月)と幼児の3人で入浴した際、浴槽で首浮き輪を着けている乳児から少しのあいだ目を離し、幼児の世話を行った。その後で乳児を見ると、顔面が蒼白で唇が紫色になっており、呼吸が停止していた。応急処置をしたところ、顔色と呼吸が回復し、その後救急搬送された。
首浮き輪、本来の利用目的は?
本来、首浮き輪は、プールで乳幼児が水に親しむものとして、海外で開発されたものです。継続して使用することでバランス感覚や持久力、安定した機能の発達を促すということで、小さなお子さんを持つお母さんたちの間で流行したようです。
それがいつの間にか、「子どもを待たせるのに、湯船に一人浮かばせておくのが便利」という誤った使い方が、日本で広まっているようです。それによって何人ものお子さんが大変危険な状態に陥っています。消費者庁や東京都など、各所から不適切な利用はしないようにと呼びかけがありますが、そのことを知らずに使っているお母さんたちはまだまだいそうですね。
首回りの重要性、知っていますか?
首浮き輪は、運動能力が未発達の赤ちゃんに使うことが多いようですが、口や鼻のすぐ下に水があるという状況は大変危険です。さらに、首は神経や血管などが集中したとても大切な部位です。首と接触する浮き輪のミスマッチが原因で起こる危険は未知数です。また、首浮き輪が外れて溺れそうになって、子どもの命が危険にさらされることに。
消費者庁のページには、事故の詳細と「首浮き輪」を使ったテスト結果が写真つきで公開されているので、一度確認してください。
便利な育児グッズよりも赤ちゃんの安全を第一に
赤ちゃんを抱えての入浴は本当に大変です。子どもが湯冷めしないように気をつけながら、わずかな間で自分の体や髪の毛を洗わなければいけません。「5分でもいいから、自分のための時間があったらいいのに……」と思わずにはいられませんよね。
首浮き輪は、そんなお母さんたちにとっては役立つ育児グッズの1つかもしれません。しかし、目を離した隙に事故が起きてしまったら……と思うと、怖くなりますよね。一見便利そうなグッズでも、使い方を誤ると重篤な事故につながります。まずは子どもの安全を第一に考えて行動しましょう。
新しい乳児用製品が出て便利になる反面、それによる事故が増えることがあります。1件でも事故の情報を聞いたら、消費者庁のサイトで確認するなどして安全に使えるものを正しく使いましょう。
「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとって欲しい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも5分で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
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