あなたの食事は大丈夫?プロが教える「食後高血糖」にならない食べ方
「食後高血糖」という言葉を聞いたことはありますか?
バランスのとれた食事は健康でいるための基本です。ゼスプリ インターナショナル ジャパン株式会社が、先日食事に関するセミナーを開催。知っているのと知らないのとでは、今後の健康に大きな差がつきそうな食事法について話を聞いてきました。最新の実験結果とともに紹介されたお話は、家族の健康を守るママやパパ必見です。
糖質をカットするのではなく、食後高血糖に気をつける!
時代の流れとともにさまざまな健康法やダイエット法が流行りますが、現在流行中の糖質制限ダイエット、挑戦したことのある方も多いかもしれません。確かに一時期は痩せたと実感しますが、続かなかった方もいるのでは……? 今回お話してくださった管理栄養士の足立香代子さん(臨床栄養実践協会 理事長)によると、極端に制限した食べ方には問題があるそうです。
『カロリーや糖質を極端に制限すると長続きはしないんです。栄養バランスが崩れます。食物繊維が取れない、脂質を減らしすぎるなど、いろんなところに弊害が出るんですね。それよりも、食後高血糖が肥満や病気の大きな原因となっているんです』
この聞きなれない「食後高血糖」とは、どんな状態のことなのでしょうか? 簡単にご説明します。
パンやご飯などの炭水化物を食べると、小腸からブドウ糖として吸収され血液中に入ります。すると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて糖は肝臓や筋肉、脂肪細胞などに取り込まれてエネルギーとして利用されます。(インスリンは、余分な糖を脂肪細胞に蓄える働きもするので、糖質をたくさん摂って、インスリンを大量に分泌させると太りやすくなります)
血糖を下げようとする働きのインスリンが、加齢や肥満、運動不足などの理由から分泌量が低下すると、糖が肝臓などに取り込まれにくくなることがあります。その結果、食後の血糖値が高くなり、正常な状態に戻るのに時間がかかります。この状態が「食後高血糖」の状態です。
そしてこの状態を生活習慣を変えず放置していると、糖尿病に進行する可能性が高いそうです。ほかにも、食後高血糖は心筋梗塞のリスクを高めたり、アルツハイマーなど認知症の発症リスクも高めるというデータも出ています(※)。
この食後高血糖は食後だけに見られる状態のため、空腹時に採血する健康診断では見つかりづらいのが問題点です。
足立さんの実験では、糖尿病のリスクもなく健康診断では何も問題のなかった30代から60代までの女性10人中、5人が食後高血糖という状態が判明しました。このように検診でも気づかず自覚もないけれど、食後高血糖という状態の方が実は多いと足立さんは言います。
まとめると、食後に血糖値が急激に上がることは健康的に良くない状態で、自分ではそれに気付くことができないということです。
食後高血糖にならない食べ方とは?
今まで太ると思われていた糖質や油は、摂りすぎると肥満や食後高血糖の原因になりえますが、運動量に合った量なら問題ないとのこと。糖質や油を一切食べないのではなく、うまく付き合うことが大切なのだそうです。食後に血糖値を急激に上げることがよくないことは分かりましたが、どのような食べ方をすればいいのでしょうか? 足立さんが提案してくれました。
炭水化物は油と一緒に摂る
ご飯などの炭水化物はそれだけを摂るより、油と一緒に摂ると血糖値の上昇が穏やかになるそうです。油はコレステロールを上げにくく、抗酸化作用や整腸作用のあるオリーブオイルがオススメ。炭水化物と油を食事の中で一緒に摂ればいいので、サラダにオリーブオイルをかけたものを食べた後におかずやご飯を食べる、といった食べ方でもいいそうです。オリーブオイルは15グラム程度が胃もたれもなく理想的な量とのこと。
炭水化物は最後に食べる
野菜やたんぱく質を先に食べて、炭水化物を後から食べると食後の血糖値の上昇が穏やかになります。足立さんの実験では、定食スタイルのメニューで食事開始後15分ごろからご飯を食べることで、食事開始直後からご飯を食べたときよりも血糖値の上昇が穏やかになりました。
果物を食べて足りない栄養素を補う
果糖が多く太りやすいとされていた果物ですが、足立さんによると、果糖は血糖値の上昇を穏やかにし、食事で足りない栄養素を補う重要な働きをするそう。中でもキウイは、食物繊維がりんごやバナナより豊富で、カリウムやビタミンなどの栄養素も豊富。生のまま食べることができるため栄養素の損失が少なく、効率よく摂取できるそうです。実はカルシウムも含んでいるんですよ。
外での食事では
カレーライスのような丼物の食事はご飯を始めから食べることになるため血糖値が上昇しやすく、上記の食べ方も実践しづらいので、食べるなら定食メニューがオススメとのこと。オリーブオイルとキウイなどのフルーツを定食に足して食べ、ご飯は後から食べる、といった食べ方が鉄則です。
乳幼児の場合は
お子さんがいるママにとっては子どもの食べ方も気になるところですが、足立さんによると、脳の発達には糖質が必要なので、乳幼児が糖質から食べ始めることは問題なく、糖質制限をする必要もないそうです。
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この食べ方を普及して、国民の病気を予防したいという熱い想いを語ってくれた足立さん。今回ご紹介した油や果物を足した食べ方で、健康的で太りづらい体を目指しましょう。
取材、文・山内ウェンディ