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「エビカニクス」をかけたら、孤立していた園児が突然……。ケロポンズの二人が語る驚きの感動秘話とは

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子どもから大人まで、幅広い世代に人気の二人組ユニット「ケロポンズ」
代表曲「エビカニクス」は、保育園・幼稚園の運動会やお遊戯会などで一度は必ず踊られているといってもいいほどのフィーバーぶりです。お子さんが「エビカニクス」を踊っているのを見て、ケロポンズの存在を知ったというママも多いのではないでしょうか。

ケロポンズのケロちゃん(増田裕子さん)とポンちゃん(平田明子さん)に、ママスタがインタビュー! 意外とハードな「エビカニクス」ダンス攻略法に、双子のママであるポンちゃんと、その奮闘を見守ってきたケロちゃんの育児トーク、そして「エビカニクス」にまつわる驚きの感動秘話……。
これを読めば、もっとケロポンズと「エビカニクス」が大好きになりますよ!

「保育界のアイドル」ケロポンズって?

――「保育界のアイドル」とも呼ばれるケロポンズですが、やはり「エビカニクス」の二人、というイメージがありますね。お二人とも、保育関係のお仕事を経験されてきたそうで、ほかにも色々な活動をされているとのことですが。

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ケロ(増田裕子)さん:アイドルなんて、私たち二人ともちょっとトウが立っていますけど……(笑)。ケロポンズは1999年に結成の二人組ユニットです。子ども向けの歌の作詞・作曲や、振付を担当するほかに、私もポンちゃんも保育関係の仕事を経験しているので、それを活かして保育園や幼稚園の先生向けにセミナーを開いたり、育児雑誌に寄稿をしたり……。あとは二人とも絵本の文章を書いたりもしています。
子どもたちがみんな「エビカニクス」を踊ってくれるので、それを見たお母さんたちが「この踊りは何かしら?」というふうにケロポンズを知ってくれることが多いんです。「子どもたちが喜ぶダンスを踊っている人たち」というふうに思ってもらえているのが嬉しいですね。

意外とハードな「エビカニクス」ダンス。攻略の裏技をポンちゃんが伝授!?

――ケロポンズの「エビカニクス」といえば、保育園・幼稚園のお遊戯では鉄板ですよね。保育士さんは全員踊れるという話もでるほどですが、実は保育士さんから「子どもたちのために踊っていましたが、エビとカニのエクササイズだけあって、意外とハードで……」という声が届いています(笑)。子どもたちを満足させられる踊りのコツを伝授してほしいです!

ポン(平田明子)さん:子どもが楽しめれば、親は完璧に踊ろうとしなくていいんですよ。これは裏技ですけど、うろ覚えなところは、「イエーイ! うまいね~!! いいよいいよ~!!」って手拍子とかしちゃいながら、子どもを盛り上げてやり過ごせばいいんです。しんどくなってきたときも、「フゥ~! かっこいい!!」みたいに賑やかしに回りつつ、ちょっと休む。サビのあたりだけ、ちょっとしっかりめに踊っている感じを出せば全然オッケー(笑)。子どもからしたら「完璧に踊れた」という事実よりも、「一緒に踊れて楽しかった」という感覚の方が大事なんですよね。

――なるほど! それはとてもいい情報を聞きました。ちなみに、子どもたちからの反響はお二人のもとに届いたりしますか?

ケロさん:みんな、お手紙とかをくれますね。「エビカニクスがだいすきだよ」とか、「まいにちおどってるよ」とか。そういうメッセージをもらうとすごく嬉しいです。

ポンさん:最近だと、保育士の先生から、「エビカニクス」にまつわるびっくりするような話を聞かせてもらったり。

――「びっくりするような話」ですか!? それはすごく気になります。

保育園で孤立していた男の子が「エビカニクス」を聴いた途端……。

日本中で大ヒットの「エビカニクス」、通常の日本語バージョンのほかに、英語と中国語、そしてスペイン語バージョンがあるのはご存知でしたか?
ケロポンズのお二人は、「世界に『エビカニクス』を発信してやるぜ!」という意欲で制作をされたそうなのですが、この外国語版「エビカニクス」が、思いがけず感動的な出来事を巻き起こしたのだそう。

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ポンさん:ある日、講習会に保育士の先生が来て、「実はうちの園に両親がスペイン語圏出身の男の子が入ってきたのですが、日本語はまったく喋れなくて……」と話しかけてくれたんです。友達の輪にも入れなくて、ずっと部屋のすみでじっとしている子がいたんだって。保育士さんたちもスペイン語が喋れないから困ってしまって、その子も日に日に暗くなっていって……。
その園でもみんなで「エビカニクス」を踊っていたんだけど、スペイン語バージョンが出たときに、「あの子もスペイン語なら分かるじゃない!」って気がついた先生がスペイン語バージョンをかけてみたんだそうです。そうしたら、ずーっと部屋のすみで暗い顔をしていた子が、急にパァッと明るい表情になって、みんなのところに出てきて踊りだして。「スペイン語のエビカニクスをかけた日から、その子の様子がすごく変わったんです」って教えてくれました。

――みんなが踊っているのをずっと見ていて、でも言葉が分からなくてとけ込めなかったんですね。そこを「エビカニクス」の踊りが繋いだっていうのは、本当に素晴らしいことだと思います。

ケロさん:たとえ言葉が分からなくても、踊りは通じるところがあるから、その子は花開くことができたんだと思います。「自分たちが思ってもみないようなことが起きたりするんだ」っていうのはすごく嬉しかったですね。

「本当は、子育てに“しなければならないこと”はないんです」

――やっぱり、育児中のお母さんって、ひとりですごく追い詰められているところがあるので、ケロポンズの楽曲のように、明るくて元気が出て、子どもと一緒に楽しめる音楽っていうのはすごく心の支えになっていると思います。子育て中のママたちに伝えたいことはありますか?

ケロさん:やっぱり子どもと一対一でいると、煮詰まるのは当たり前。だからなるべく周りの人に頼って、息抜きをする場所を見つけてほしい。「○○しなければいけない」っていう気持ちは捨てたほうがいい。本当は、子育てに「しなければならないこと」っていうのはないんだと思います。私はお母さんではないけど、ポンちゃんがずっと子育てをしているのを傍で見ていて、そう思いましたね。

ポンさん:お母さんたちは子どもが好きだから「いいお母さんでいなくちゃ」って思っちゃうんだけど、ずっとそれでいるのはしんどいから、ぐうたらな自分も許してあげてほしい。お母さんになったからといって別の人間にはなれないし、自分は自分でしかないから。
子どもたちと一緒に踊る日もあれば、横にゴロンとして「うまいね~!」って言ってるだけの日もあっていいんです。

――先ほどの「エビカニクス」の裏技にも通じる話ですね。

私自身、全然いいお母さんじゃなくて、仕事で留守も多かったし、仕事をしているのを言い訳に家のことも「今日は疲れたからもう何もできないや」ってしない日もあったし……。子どもたちにもずいぶん迷惑をかけたなと思うんですが、「これがウチだから」っていう態度でやってきたら、お母さんがダメなぶん立派に育ってくれたというか。
100パーセントいいお母さんになろうとしなくても、その抜けた分っていうのは子どもが埋めてくれると思った方がいいですね。

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ケロさん:前にポンちゃんが「してあげたいことがいっぱいあるのに全然できてない」って煮詰まってたとき、ママ友から「私たちが子どもにできるのって、あったかいご飯とお布団を用意することくらいよね」って言われたんですよね。その話がすごく心に残っていて……。あったかいご飯とお布団って、日常当たり前なものかもしれないけど、それさえあれば子どもは生きていけるんじゃないかなって思います。

ポンさん:でも、子どもってすぐに大きくなっちゃうんですよね。小さかったときは、嬉しいことも大変なことも永遠に続くような気がするんだけど、本当にあっという間。うちの子も全然手がかからなくなっちゃって、当時あんなに泣いていたのは何だったんだろうっていう気分です。
今子育てを頑張っているお母さんたちが過ごしているのは、濃縮されたジュースのような時間なんだと思います。だからその時間を大切に、子どもたちと楽しく過ごしてもらえたら嬉しいですね。

 

「完璧に○○しなければならない」という気持ちは捨てて、自分を受け入れた育児をしてほしいと語るケロさんとポンさん。ぐうたらでもいい、休み休みでもいい……。ケロポンズ流の「エビカニクス」攻略法は、ケロポンズ流の育児にも通じていたのですね。
大人も子どもも、愉快な歌と踊りで元気にしてくれるケロポンズ。これからも明るい太陽のように、保育界を明るく照らし続けてくれることでしょう。

撮影・泉三郎 文・伊東杏奈

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