<カスハラに該当しうる例>怒るのはみっともない?何を言われても我慢するのが正しい大人ってこと?

飲食店で「頼んだ料理はまだか!」と怒鳴る人。買った野菜を「中身が腐っていた!」と、しつこく返金を迫る人。店側に非があっても、そうした光景は見ている周囲も嫌な気分にさせられます。
令和8年10月1日、いわゆる「カスハラ防止法」と呼ばれる改正労働施策総合推進法が施行され、事業主にカスタマーハラスメント対策が義務づけられました。顧客(カスタマー)が大声で労働者を威圧したり、罵声や暴言を繰り返したりするなど、社会通念上許容される範囲を超えた言動や行動から、労働者を守るための体制づくりが求められています。
カスハラ防止法で「怒っちゃいけない」風潮に?
そんななか、ママスタコミュニティにこんな投稿が届きました。
『「怒ることはみっともない」みたいな風潮って、なんなの? ひどいことをされたり、言われたりしても、我慢するのが正しい大人なの? それだとおかしな人が増えて、やりたい放題になるけど』
自身が怒ったところを、誰かに「みっともない」とでも批判されたのでしょうか。
『そんな風潮ってある?』
コメント欄には投稿者さんが投げかけた前提を疑う声も寄せられました。
もしやカスハラ防止法の話題が、施行開始前後によくメディアで取り上げられたせい? 加害者にならないための心得を見聞きして、何か感じるところがあった可能性もあります。カスハラ防止法、うがった解釈をすれば「顧客は企業に対して、やたらと怒ってはいけない」と考えることもできそうです。
『怒ることがみっともないわけではない。みっともない怒り方をするから注目され、問題視されているだけでは』
かつては「お客さまは神さま」といわれるような時代があったとか。絶対的に立場が強いのは、顧客。相手を威圧するような怒り方も「ある程度は仕方がない」と、まかり通っていたかもしれません。しかし世のなかのアップデートとともに、その怒り方は「みっともない」と捉えられるように。ハラスメントに対抗するための法が登場したのも、そんな時代の流れといえそうです。
投稿者さんがいう「風潮」は、ひょっとしてこうした背景からの連想でしょうか。
問題なのは感情的な攻撃。怒ること自体は悪くない
『怒るのは悪いことではないし、正当な権利を侵害されたなら怒っていいと思う。その風潮は「怒るな」ではなく、怒りの表し方だと思う。ところかまわず怒鳴り散らすのは、たしかにみっともない』
人間の感情を表す言葉としてよく使われる「喜怒哀楽」。沸点の差はあれど怒ることは誰にでもある自然な感情で、怒る=悪いことではないはずです。
『怒りに任せてものを言う・行動するのは、いつの時代でもダメ。大人なら衝動を自分でコントロールすべき』
コメントにもあったようにみなさんが「みっともない」と感じるのは、怒りをそのまま相手にぶつけて攻撃するパターン。攻撃を受けた相手はそれだけ傷つきます。ヒステリックに怒鳴ったり、何かを叩いたりするような怒り方は、周囲も怯えさせます。
怒ることは悪いことではないものの、負のエネルギーを持っているのはたしかでしょう。だから成熟した大人なら、それをむき出しにするようなことはしません。その抑制ができなければ未熟=「みっともない」と思われてしまうのかもしれません。
『投稿者さんは、なぜその二択? なぜ怒るときには感情的になったり、我慢しないといけないの?』
怒ったときのもうひとつの対応として、投稿者さんが挙げたのは我慢すること。つまりは湧き上がってきた怒りをグッと堪えて、抑え込むような方法です。たしかにその場は丸く収まるかもしれませんが……。それって大きなストレスになりませんか?
『私の場合は「とにかくこの場をこれ以上こじらせないように、収めないと」と立ち回るので、帰宅してからジワジワと腹が立ってきたりする』
グッと堪えて呑み込んでしまうと、この方のように後から思い出してムカムカすることもあるようです。なぜ怒りが湧いたのかを相手に伝えないままなので、また同じことを繰り返してしまう可能性も。
怒りをぶつけるでも、我慢するでもない「第3の選択肢」とは?
『怒るか我慢するかの二択じゃないよ。適切に自分の気持ちや事情を伝えるの』
複数のみなさんが「感情的にならずに意見を言えばいいのでは」「感情に感情でぶつからなければいいのでは」と異口同音に、怒ったときには第3の選択肢があることを教えてくれました。
怒った感情をそのまま相手に伝えるのではなく、まず冷静になる。相手にもわかりやすいように、状況を伝える。ゆっくり落ち着いて話すほど、相手の耳にも届きやすくなるはずです。
『想像だけど、やりたい放題やるようなおかしな人間は、感情的に怒っても何も変わらないと思う』
相手に伝えるために怒っているのに、ヒステリックになればなるほど伝わらない。誰が相手でもそうですし、自分勝手な相手であればますますそうかもしれません。
『我慢じゃない。私は感情的にならずに、相手に言うことを心掛けているだけ』
わが子を叱るときも同じです。冷静に伝えるほど子どもの心に届きやすくなることを、実感しているママもいるのではないでしょうか。
『怒って自分の感情をぶつけても、後で冷静になると「言わなきゃよかった」「言いすぎたかな」とか……。結局後悔する私です。みなさんはそんなこと、ありませんか?』
なかにはこんなコメントもありました。怒っても、あまりいいことはない。冷静になってから考えたことが、正しかった。そうとわかっているのについ怒ってしまうこと、この方だけではなくきっと誰にでもありますよね。
となれば、その後悔や失敗を糧に「カッコいい大人の私」を目指す。すぐに実践することはできなくても、その気持ちが持てるかどうかで未来が違ってくるはずです。感情的になりそうになったら、まずは深呼吸。負のエネルギーに負ける前に「いつもの自分」を取り戻せるよう、お互い鍛錬を重ねていきましょう。
文・鈴木麻子 編集・有村実歩 イラスト・なかやまねこ
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