<子どもの自傷行為>「注目されたいから自分を傷つけている」は間違い!親が意識しておくべき可能性は

楽しい夏休みが明けて2学期が始まると子どもの自殺が増えるという、悲しい社会問題があります。子どもがなぜその決断に至ってしまうのか、社会全体で考えなくてはいけないでしょう。
今回は「公益社団法人 子どもの発達科学研究所」が主催したセミナー「専門研究者×和久田学 子どもの自殺予防とウェルビーイング」を取材。最新の専門研究から私たち大人が子どもの自殺をどのように防ぐことができるのかについて考えます。
※本記事では自殺や自傷行為について記載しています。閲覧の際はご注意ください。
自傷行為は「注目されたいからやっている」ではない!
公益社団法人 子どもの発達科学研究所 客員研究員で、明治学院大学心理学部准教授、公認心理師、臨床心理士の足立匡基先生が、小中高生の自傷行為について教えてくれました。
日本の中高生 自傷経験は1割
日本では小中高生の自殺者数は2024年で529人、2025年で538人と2年連続で過去最高を更新。その内訳は年齢が上がるごとに増えていき、高校生が最多となっています。
また2008年の調査では、日本の中高生の約1割に自傷経験、つまり「刃物で故意に自らを切った経験」があることがわかりました。男女別に見ると男子の7.5%、女子の12.1%に自傷経験があるそうです。ただ、これは「今すぐに自殺しそうな子どもの数」という意味ではありません。
アピールからは程遠い状況で行われる自傷行為
これまで自傷行為は「誰かにわかってほしい」、「実際には死ぬ気はないが注目されたい」というアピール行動だと思われてきました。しかし96%の自傷は誰にも告げられず孤独な状況で行われていることが調査で判明。さらに自傷行為の理由は、約6割が「感情のコントロールのため」でした。子どもたちにとって自傷行為は、イライラや孤立感、不安を自分の力でなんとか和らげるため、傷を見て冷静さを取り戻す行動。死ぬためではなく、死なないために行っているのです。
自傷行為が反復すると自殺率が上がる
さらに子どもの自傷行為は、反復するほど自殺リスクが高まるということ。再び自傷行為に至れば、自殺リスクが増えることもわかっています。
ACEsがあると自殺関連行動のリスクが高まる
子どもの自殺関連行動は、性的虐待や身体的虐待、ネグレクト、親の精神疾患や離別など、ACEs(子ども期の逆境体験)があるとリスクが高くなるとのこと。親に助けを求めたくても、子どもが「どうせ助けてもらえない」と諦めると、自傷行為を隠す方向に動いてしまうそう。本人がメンタルヘルスの問題を抱えているのに養育者に見すごされている状況では、自傷・希死念慮のリスクが高くなります。
自傷行為を見つけたときに親がやってはいけないこと
親としてはどうしても「自分を傷つけてはダメ」「やめなさい」と言いたくなってしまいますが、それは逆効果となり得ます。自傷行為を妨げてしまうと、唯一子どもが心を安定させている手段を否定することになります。そして「大人は理解してくれないから何も話したくない」と子どもは思い、助けられなくなるリスクも指摘されています。
親としてやってはいけないのは、最初から自傷行為をやめるよう約束させることと、「かまって」というアピール行動だと断定することです。なぜ子どもが自傷行為をするのか、状況把握や原因究明に努めることが重要だと足立先生は念を押していました。
親は子どもの考えに気づいていないかもしれない
数々の調査結果で、親が子どもの自殺関連行動を早期に発見することは難しいことがわかっています。日本の学校調査でも、自傷した生徒の約4割は誰にも相談していなかったといいます。親が見つけることには限界があるため、「子どもが相談してこないから大丈夫」ではなく、「相談できていないかもしれない」という意識を持つことが非常に重要です。
子どもの自傷行為は自分の感情を整理して心を落ち着かせるためであり、否定すれば解決から遠ざかることもある。一方いち早く周りが気付くことがその後の自殺リスクを下げることに繋がるという、対処が難しい問題です。少なくとも子どものことをしっかり見守り、何かあれば助けるというメッセージを送り続けることが大事だといえそうです。
<相談窓口>
◆ 厚生労働省 まもろうよこころ
◆ いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
文・AKI 編集・編集部 イラスト・Ponko
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