<噛むって大事!>高齢になると歯の衰えも気になる。ガムを噛んでも大丈夫? 第4回

ガムを噛むことで、学習面や美容などでプラスの効果が期待できるとのこと。一方で年を重ねると歯がもろくなるため、かたいものを噛んだときに歯が欠けてしまう心配も出てきそうですね。「噛むのがいいと言われても……」と感じる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は「口周りの衰え」をどう防ぐのかを株式会社ロッテ 中央研究所 噛むこと研究部の菅野範さんに教えていただきます。
口の機能低下「オーラルフレイル」
――年齢を重ねて口周りが衰えると、どのようなことが起こりますか?
菅野範さん(以下、菅野さん):年齢が高くなってくるとどうしても歯や歯茎、口周りの衰えなども出てきます。たとえば「かたい食べ物が噛めない」「飲み込みにくい」「滑舌が悪くなる」などですね。これらの口の衰えの状態を「オーラルフレイル」といいます。
口の衰えは、約2年後には身体的なフレイル(運動器の障害で移動がしにくくなる、筋肉の衰えなど)、約4年後の要介護、9年後の認知機能低下のリスクを高めることがわかっています。
――なぜ口の衰えが介護や認知機能低下につながってくるのでしょうか?
菅野さん:歯がなくなってしまうことに加え、口周りの筋力が衰えると、噛む能力が低下してしまいます。うまく食べられないとより食べやすいものを選ぶことになるので、栄養の偏りが起こることがわかっています。また、噛む能力が低下することで噛んだときの脳への刺激が少なくなり、脳の神経活動の低下の要因にもなります。この結果、介護が必要になったり認知機能が低下したりする可能性があります。
またオーラルフレイルには「滑舌が悪くなること」も症状のひとつです。舌の運動の悪化によって会話がしにくいと感じると、他の人と会って会話をする意欲や機会も減ってしまうかもしれません。そうすると社会性の低下になりますから、これも認知機能低下の要因になる恐れがあります。
口の機能を維持するためには?
――将来を考えると、口の機能を維持することはとても大切になりそうですね。どのような方法があるのでしょうか?
菅野さん:口の中のケアとしては歯磨きや義歯のお手入れは毎日できる基本的な方法です。他にも定期的に歯科検診をすることも大切ですね。定期的に検診をしていれば、むし歯や歯肉炎になったとしても早い段階で治療が可能です。また日常生活では、食事のときにはよく噛むこと。そして食べる以外にも話す、歌うなど口や舌を使うこと意識するとよいですね。他にもお口のエクササイズがありますのでご紹介します。
口の周りや舌を動かすトレーニング
1.唇をしっかり閉じて、右頬→左頬→鼻の下→下唇の下の順で空気をいっぱいためて3~5秒ずつ膨らませる。
2.唇を「いー」、「うー」の形に3~5秒開く。
3.舌をべぇーっと出したり、左右の口角につけたりする。
ガム噛みエクササイズ
1.ガムを口に入れて、舌で1番右の奥歯に送る。
2.唇を閉じたまま奥歯でガムをしっかりと10回噛む。このときガムが奥歯よりも前にこないように、舌で奥歯に送り込むように。口はしっかりと閉じて、鼻の下をやわらかく伸ばすことを意識する。
3.ガムを奥歯で噛みしめたままで唾液を舌の上に集めて飲み込む。唾液を飲むときには、舌の奥がゴクンと持ち上がるのを意識する。
4.ガムを舌の左の奥歯に送って、2と3のエクササイズを行う。2〜4を5分ほど繰り返す。
ガムを取り入れたトレーニングは手軽ですし、何かをしながらでもできると思います。日々のちょっとしたエクササイズで口周りの衰えを防ぐことが期待できます。高齢の方だけではなく、まだ衰えを感じていない人でも予防という形で取り組んでほしいですね。ただし、もしガムを噛んでいて歯の痛みや顎に違和感などがあったら、歯科医師に相談をしてください。
編集後記
歯や歯茎など口に関する衰えを感じると噛むことが怖くなる場合もあります。でもそのままではさらに悪化してしまい、認知機能低下につながるとのこと。それを防ぐには日々のトレーニングや毎日の歯磨き、そして定期的な歯科検診などが必要になるのではないでしょうか。歯は一生使うもの。年齢に関係なくしっかりとケアしていきたいですね。
そして、おまけの情報。服にガムがついてしまった場合は、付着してすぐならガムを氷などで冷やして固まったら剥がします。服ごと冷蔵庫に入れて固めるのもOK。髪の毛にガムがついた場合には、濡らさずに(濡れているようなら乾かして)、ヘアクリームを髪にすり込み、4〜5分後に乾いた布で時間をかけて取り、その後でシャンプーをします。ガムがついてしまっても焦らずに、このような方法で対処するといいでしょう。
取材、文・川崎さちえ 編集・ここのえ イラスト・水戸さゆこ
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