<幼児から性教育>小さい子どもと性について話すのは難しい?プライベートゾーンと同意の取り方

「ママにはどうしておっぱいがついているの?」、「〇〇ちゃんがお尻を叩いてきて嫌」とお子さんから言われたら、どのように対応しますか? これらの子どもの問いは、性教育の機会として捉えることもできます。となれば、適当にごまかすことなく、しっかりと向き合いたいものですよね。今回は、11月11日に行われた、はぐふる×命育共同開催「乳幼児の健康オンラインセミナーvol.05【低身長×性教育】」のレポートを紹介します。身近な大人が2歳から6歳の子どもにどのような性教育をしていけばいいのかについて、講師の、助産師であり、思春期保健相談士、一般社団法人ココツリー代表理事も務める田中まゆ先生が教えてくれました。
性教育は性的な行動を教えるだけのものではない!
まず「性教育」と聞くと、なんとなく思春期の子どもを対象とするイメージがありますよね。しかしユネスコが国際基準として出している「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」によると、性教育は「人間の体と発達」や「性と生殖に関する健康」とともに、「人間関係」や「ジェンダーの理解」、「暴力と安全確保」といった項目も含められると田中先生は言います。「性教育=性的な行動について教える」ではなく、人間関係や人権など広い話を含めて性教育だと捉えることが大事だそうです。
家庭内の性教育、目標は?
家庭内における性教育では、子どもが自分の心身について「私のものであり、大切」ということをきちんと理解し、扱うことを目指します。大切な自分と相手との関わりを尊重するためには、子どもの意見をまっすぐ聞き受け止める環境づくりが大切。
さらには子どもだけでなく大人自身も、自分の体や気持ちを大切にしながら子どもと関わることも重要です。「性教育をすること」は「性にオープンな親子を目指す」ことではありません。「大人も自分の体と心をすべてさらけ出す必要はなく、また子どもにもすべてをさらけ出させる必要もない」と田中先生は念を押していました。
はじめはプライベートゾーンを教えるところから
性教育はたくさんありますが、はじめに子どもに伝えたいことは、プライベートゾーン(口、胸、お股、お尻)は自分だけの大切な場所であることです。
プライベートゾーンを大事にする方法は
プライベートゾーン(口、胸、お股、お尻)は、自分で見たり触ったり、綺麗な手で理由があってケアしてもらったりするのはOKです。一方で、誰かに見られる、触られる、見せられる、カメラで撮られるなどはNGであることも伝えます。伝えるときも、「そんなところ触ったら汚いよ」、「恥ずかしいよ」ではなく、「大切な体だから守って清潔にするんだよ」と必要性をわかりやすく伝えることが大切になってきます。
プライベートゾーンを触るときは声をかける
プライベートゾーンに触れるときは、その前に「オムツ替えるよ」、「お尻拭くよ」など一声かけること。子どもが小さい頃ほど子どものプライベートゾーンを完全に見ないのは不可能なため、「こういう理由で今からこうするね」とちゃんと伝えることが大事と田中先生は言います。
親のプライベートゾーンも知ってもらう
親も「ママのここは触らないでね」、「今やめてね」などと断ってもOKです。このようにお互いの体のことを相手に聞いて伝えることは日常的にできますよね。子どもが大きくなったら「何食べるの?」、「どれにする?」と選択できるようになるでしょう。
とはいえゆるくでOK
ただこうした声かけができなくても、「さっき理由を言うの忘れててごめんね」と後から言ったり、イヤイヤ期はゆるくやってみたりと、完璧にできなくても問題ありません。特にオムツ替えなど、子どもが「いや!」と言ったとしてもやらないといけない場面は子育て中こそ多いので、完璧に頑張ろうとする必要はないそうです。
「同意」の概念は難しい?気軽にできる「同意ごっこ」
「同意を取る」という行為は相手を大切にすることに繋がります。小さな子どもがいる家庭でも気軽に性教育に取り組むために、田中先生がおすすめするのが「同意ごっこ」。ぎゅーやちゅーの前に、「ぎゅーしてもいい?」と子どもに聞き、返事が「いいよ」ならスキンシップをするというものです。返事が「ダメ」なら、「わかった」といって拒否を受け入れます。このやりとりを練習することで、「同意を取る」ということを学んでいけるそうです。
どんなに親しくても同意は必要で、「いいよ」も「ダメ」もあること、「拒否=嫌い」ではないこと。遊びながら繰り返していくうちに、こうした学びや気付きを深めていけるでしょう。
みなさんも田中先生のお話を参考に、家庭内で今からでもできる楽しい性教育をやってみてはいかがでしょうか。
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取材、文・AKI 編集・編集部 イラスト・猫田カヨ
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