<足元チェック!靴選び>意外と知らない子ども靴のポイント。ファーストシューズはどう選ぶ? 第1回
毎日の生活の中で欠かせない「靴」。自分に合ったサイズや形を選ぶ必要がありますが、子どもの靴を選ぶのは特に大変! 服とは違い、靴が足に合っているかどうかは子ども自身の感覚に頼る部分が大きいため、親も判断しにくいのではないでしょうか。そこで今回は幅広いジャンルの靴を手がけるアシックス商事株式会社 国内事業統括部 事業戦略本部 ブランド戦略部 プロダクト戦略チーム プロダクト戦略担当の横田侑子さんにお話をうかがっていきます。今回はファーストシューズについてです。
ファーストシューズを買うタイミングとポイント
――子どもが最初に履く「ファーストシューズ」について、アシックスさんにはどのような悩みが寄せられますか?
横田侑子さん(以下、横田さん):ファーストシューズを選ぶときのことでお客様が悩まれるのは、いつから履かせればいいのかということです。目安となるのは、立ち始めて自分の足で10歩ほどよちよちと歩けるようになるタイミングです。
――ファーストシューズを選ぶポイントを教えてください。
横田さん:ファーストシューズを選ぶポイントは、履き口が大きく開くタイプ ですね。
自分で脱いだり履いたりができずに親御さんが履かせることになるので、足を入れやすいものがよいです。ベルトとベロがフルオープンになるようなものがよいでしょう。
――他に注意したいポイントはありますか?
横田さん:ソールの形状です。ファーストシューズを履くお子さんは、歩くことにも慣れていません。よちよち歩きでは、足をあまり持ち上げることができずに、つま先を引きずるようにして歩くこともあります。そのため、できるだけつま先が地面に引っかかりにくいような形がよいですね。アシックスのファーストシューズは靴底全体のエッジを丸くして、引っ掛かりを少なくするようにしています。
――大人が思っている以上にソールの形状は重要なのですね。ソールの厚みや、やわらかさについてはいかがでしょう。
横田さん:厚みはできるだけ薄い方がよいです。この時期のお子さんはまだ踏ん張る力がないので、足の裏が地面を掴み、しっかりと蹴れるようにしたほうが歩きやすくなるからです。他には、足なりに曲がること。地面を蹴る力が弱いので、歩行中にソール部分が足裏に合わせて曲がることも重要ですね。
アシックスの場合には、子どもの足が屈曲する位置に合わせて靴底に横線が入っています。
これがあることで、足の自然な動きを妨げないようになっています。
――シューズの重さについてはいかがでしょうか?
横田さん:足への負担を考えると、できるだけ重くならないタイプがよいです。先ほどお話ししたソールも厚いと重くなりますから、やはりソールは薄い方がよいですね。
――気にする人は少ないけれども実は大事、というポイントはありますか?
横田さん:肌に接する面の素材(裏材)にも注意いただきたいですね。皮膚トラブルをもつお子さんは、人工繊維に対してアレルギーを起こすこともあります。その原因の1つは人工繊維によって肌の水分が奪われてしまうことです。そのため、できるだけ肌の水分を奪わないような素材を使ったシューズであれば、肌に不安をお持ちのお子さんでも快適に着用できると思います。
試し履きでかたまる子どもも。できるだけ靴に慣らしてみよう
――ファーストシューズはミドルカットになっているようですが、これにも理由がありますか?
横田さん:歩き始めのお子さんは、まだ足首が安定していません。そのため、できるだけ足首を固定できるように、ファーストシューズはミドルカットにしています。
――購入する際には、試し履きをしてからの方がよいですか?
横田さん:そうですね。今まで靴を履いたことがないお子さんが、急に締め付けられるような靴、しかも足首まである靴を履くのは、大人が思う以上に戸惑いのあることだと思います。店頭で販売をしていても、試しに履いてみたらそのままかたまってしまって、一歩も歩かないお子さんもいます。
できるだけ靴に慣らすという意味でも、お子さんが立ち上がるようになったら店頭などで試し履きをしてみて、購入後は室内で使って違和感をなくしてから外で履くようにするのもよいのではないでしょうか。
編集後記
歩き始めの子どもが使うファーストシューズは、大人の靴とは選び方が違ってきます。大人と歩き方が異なるため、安全に歩くためには子どもにとって歩きやすいファーストシューズを選んでいきたいですね。
取材、文・川崎さちえ 編集・編集部 イラスト・水戸さゆこ
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