交通事故がダントツで多い「7歳男子」。その理由とは?
ショッピングモールなどにいると聞こえてくる、迷子のアナウンス。耳に入ってくるのは「5〜6歳の男の子」が圧倒的です。それより小さな子はベビーカーに乗っていたり、親がしっかり手をつないでいたりするからでしょう。
しかし5〜6歳の、とくに男の子はじっと手をつないでなんかいられません。動き出したくてウズウズ、好奇心も旺盛なので後先を考えず興味のままに走っていってしまいます。迷子になることが多いのも、納得ですよね。
それに比べれば少しはしっかりしてきたように思えるのが、7歳ごろ。小学校1年生〜2年生に当たる時期です。公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京都)の調査によれば、歩行中に交通事故に遭った死傷者を年齢別でみた場合、ダントツで多かったのがこの7歳でした。なかでも学校生活に慣れた2年生はとくに注意が必要のようです。
小学校入学をきっかけに、ひとりで行動するように
これまでは5歳刻みで調べていたという同調査。今回過去の記録も含めてあらためて1歳刻みで調べてみたところ、平成23年〜27年の過去5年間で毎年7歳だけが突出していたそうです。平成27年の歩行中の事故死傷者は合計5万6,962人。1歳以降少しずつ増加するのですが6歳では1,057人、7歳では1,462人、8歳は1,104人。毎年7歳をピークに、8歳以降は減少していきます。
たしかに幼稚園・保育園のころは、子どもは送り迎えが前提。どこかに遊びに行くときもかならず大人が一緒です。つないでいる手を振り切られてしまうことはあっても、そのほとんどはショッピングモールなど屋内。事故につながる可能性は、屋外に比べればうんと低いといえます。
大人の保護を離れて行動することが増えていくのは、やはり小学校への入学がきっかけ。「本当にひとりで登下校できるのかな?」という親の心配もよそに、「大丈夫、大丈夫」と自信たっぷりです。
それでもやっぱり事故が多いのは、「慣れていない」ことが大きな要因。ひとりで行動する解放感も手伝って、事故につながる危険を察知できないのです。もちろん親はあれこれ注意をしておくでしょうが、そこはやはりまだ7歳。「こうすると危ないんだ!」という小さな危険を身をもって何度か経験しないと、なかなか理解することが難しいようです。
ちなみに平成27年の7歳死傷者数は男の子が女の子の、なんと2倍だそう。よく複数で下校している小学生を見かけますが、実際のところふざけながら歩いている男の子集団はかなり多い! 危険な行動をしがちだったり何かに夢中になるとほかのことを忘れてしまうといった、男の子の特性とも大きく関係している気がします。
ふざけ歩き、飛び出しがとくに危険!
ヒヤッ!とするような思いを何度かしなければ、危険を察知できない……。親としてはゾッとしますが、少しでもそんな体験を減らすためには事前に親の「あれこれ注意」をより具体的に、何度もくり返して行う必要があるでしょう。
小学校に入る年齢の前から、通学路を歩く練習をしておく。何度か一緒に歩いたら、前を子どもひとりで歩かせ後ろから親がついていく。「この横断歩道は、こっちから曲がってくる車があるから気をつける」など、危険が潜んでいそうなポイントを一つひとつ時間をかけて教えていくしかありません。
警視庁の「なくそう子どもの交通事故!!」によれば、子どもの交通人身事故で多いひとつが「道路横断中」だそうです。道路は横断中も右と左をよく見て、車がこないことを確認しながら進むこと。さらに歩行者の信号は青でも、右折左折などで横断歩道に入ってくる車があることをよく教えておきましょう。
「飛び出し」も多いそうです。友達とふざけて歩いたり、公園の延長のようなつもりになって道路に飛び出したりしないよう、厳重に注意を。
とくに危険なのは自宅から500m以内の近所だそうです。「いつも歩いている道だから」と油断しがちなこともあるでしょうね。小学校に入る前から、そしてひとり歩きに慣れてきたころでも、親の注意はうるさく思われるくらいでちょうどよいと覚えておきましょう。
また、いくら子どもが気をつけていても、突然バイクや車などが突っ込んでくることもあります。交通ルールを守るのはもちろんのこと、毎日家を出る前に、お子さんに「車やバイク、自転車に気をつけてね」と、必ず声をかけてあげてください。事故で亡くなるお子さんと、悲しむ家族が少しでも減りますように……。
<参考>
読売新聞「7歳の交通事故、突出…小学入学で単独行動増加」
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6213661
<出典>
交通事故総合分析センター「特集 子供の歩行中の事故」
http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info116.pdf#page=4
警視庁「なくそう子どもの交通事故!!」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/kids/kodomo01.htm