【奈良県 山下真知事 第4回】つらい思いは1人で抱え込まずに。奈良県の子育て支援は
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前回からの続き。奈良県では県と市町村が協力して、多様な子育て支援のニーズに対して応えています。数ある子育て支援のなかから、比較的新しい取り組みについて、奈良県の山下真知事にうかがいました。最後に、山下知事から子育て中のママへのメッセージもあります。
奈良県ならではの子育て支援は?
――子育て支援もさまざまな施策に取り組まれていると思います。奈良県でとくに力を入れているものはありますか?
山下真知事(以下、山下知事):子育て世帯を対象に、物価高による経済的負担感を軽減し、県内消費を喚起するため、奈良県で「はぐくみキャンペーン2024」を行っております。子育て世帯を対象とした5,000円のプレミアム付き電子クーポンの給付です。県内の対象店舗で使っていただくことができます。
――経済的な支援は、子育て世帯には嬉しいと思います。ほかに、何か進めていることはありますか?
山下知事:「ぬくもりあふれる公園プロジェクト」という、県営都市公園を改修する取り組みを実施中です。奈良県には県が直接管理している公園が10か所あります。鹿がたくさんいることで有名な奈良公園も、県営都市公園の一つです。
たとえばベビーカーで公園内を移動するときに、段差があったら移動しにくいですよね。授乳期の赤ちゃんがお腹を空かせたとき、授乳をしたくてもオープンななかでは授乳はできません。そういった問題を解消すべく、公園の段差を解消してバリアフリー化したり、授乳施設を設置したりしています。あと障害がある方へ配慮され、なおかつおむつ交換などにも使えるトイレの整備も既に進めています。県営公園は昭和40~50年くらいにできたもので、現代社会のニーズに合致していないものもありますから、必要なところを改めていきたいと考えています。
「自分1人だけが、こんなにつらい思いをしている」と抱え込まないで
――制度と施設と、支援はさまざまですね。
山下知事:子育て支援に関する予算は、2023年度(令和5年度)の約49億円から、2024年度(令和6年度)の約74億円へ、約1.5倍に増やしました。教育に関しても、市町村の管轄である小中学校における先生の業務負担の問題に対して、県が支援に動いています。今後も子育て支援を充実させていきたいと考えています。
――最後に、奈良県に住む子育て世帯や、奈良県での生活に興味を持つママたちへ、山下知事の思いを伝えていただけないでしょうか。
山下知事:夫と自分と子どもという、いわゆる核家族において、お母さんが主体となって子育てにあたるご家庭は、まだまだ多いと思います。そうしたご家庭が、物的、精神的なサポートが必要ということ、そしてそれらのサポートは行政が行っていく責務があると、私自身も認識しています。
もし今何か問題や悩みを抱えていても、「自分1人だけが、こんなにつらい思いをしている」と、1人で抱え込まないでください。行政では物と心の両面のさまざまな支援メニューを用意していますので、遠慮なく県や市町村に相談していただきたいなと思います。
(編集後記)
奈良県 山下真知事へのインタビューを4回にわたりお送りしました。奈良県では女性の就業支援や子育て支援に対して、物と心の両面でさまざまな取り組みがなされていました。関西でお住まいを探す際には、自然豊かな奈良県も候補に入れてみるのはいかがでしょうか。
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取材、文・編集部 編集・いけがみもえ イラスト・うーにゃ