【ミキティさんのお悩み相談】悩んでも立ち止まらずに済む、ポジティブの秘訣は?
前回からの続き。「ミキティ」の愛称で、ママたちからも絶大なる人気を誇る藤本美貴さん。登録者数84万人超えという、自身のYouTubeチャンネルから珠玉の言葉を集めた単行本『ミキティ語録 前しか見ない』が発売されました。YouTubeチャンネル「ハロー!ミキティ」での人生相談にまつわる、あれこれをお聞きします。
こだわったのは、読みやすさ。本に馴染みのない方も手にしてほしい
──単行本『ミキティ語録 前しか見ない』を発売されることになったきっかけは何でしょうか?
藤本美貴さん(以下、藤本さん):YouTube配信をするなかで、私は普通に喋っているつもりでも「いい言葉だな」みたいなコメントをいただくことがあって。最近は、「私も心に“小さなミキティ”を飼っています」「ちょっと強くなれた」といった言葉をいただく機会が増えたんですよ。相談で答えたことをまとめたら、喜んでくれる方もいるのかな、と。そんなふうに考えていたタイミングでお話をいただいたので、すごくうれしかったです。
──完成した本をご自身で読んだ感想は?
藤本さん:自分が何を言ったかなんて、はっきりとは覚えていないじゃないですか(笑)。「あ、こんなことを言ったんだ」というのもそうだし、「わ〜、私が言いそうなことだな」と思いながら読みました。自分の言葉を自分で読んで、改めて「たしかに。本当にそう!」と思うこともありましたね。
──読者の方にどんなふうに受け止めてもらえるとうれしいですか?
藤本さん:こだわったのは読みやすさです。普段、本に馴染みがない方にも手に取っていただきたいな、と。私自身、文章を読むのがあまり得意でないこともあります(笑)。ひとつの言葉が見開きで完結するし、語録の言葉だけ読んでもなんとなく意味がわかる本になったので、大満足です。
配信を通して初めて気づいた「私って、ポジティブだったんだ?!」
──人生相談企画は配信のたび注目を集めますが、当初これほどの反響を予想していましたか?
藤本さん:まったく! 「こうじゃない?」みたいな感じで、本当に好き勝手に喋っていて、要は雑談みたいな感覚だったので(笑)。ただ「私はこう思う」ということが、「意外にみんなはそう思わないの?!」と。普通に思っていたことを言うと「目からウロコです!」みたいな反応だったりして、気づくことは多かったですね。
──たくさんの相談を受けるなかで、どんなことを感じていますか?
藤本さん:「みんな悩むのが好きだな〜」と思います(笑)。悩んでいる人が一歩前に進むかどうかは、結局は自分次第。「ひとつにこだわらず、もうちょっと違う目線から見てみるといいんじゃないかな?」と、毎回思いながら答えています。右から見たら右しか見えないから、「だって、右から見るとこうだもん!」となるけど、でもじつは左もある。なんなら前もあるし、後ろもあるので。
──配信を続けていて、ご自身のなかに気づきのようなものはありましたか?
藤本さん:気づいたのは「私ってポジティブなんだ」です! それまで自分がポジティブかなんて、考えたことがなくて。私は基本的に何も考えない人なので(笑)。一方でみなさんは、すごく考えているな〜と思います。「考えすぎなんじゃない?」ってくらい。今回の本のタイトルも『前しか見ない』ですが、悩んだらなんでもいいからとりあえず進んでみて、って思います。止まっていると暇だから、いろんなことが見えたり聞こえたりしちゃうんですよ。見えたり聞こえたりしないくらい、前に進めばいいんです。私は「とにかく今日を過ごすだけ!」と、日々思っていますから。
──お子さん3人を育てていれば、自然とそうなりそうです。
藤本さん:そうなんですよ。1日がすぐに終わっちゃうから、悩んでいることがもったいないというか。そんな暇があったら配信動画を観たいし、洗濯物をたたみたい(笑)。「動いて、動いて!」と思います。
──ミキティさんの回答はいつも的確で、ごく一般的な感覚に近いと感じます。長く芸能界にいて、その感覚を持ち続けられるのはなぜですか?
藤本さん:大事なのはどんな仕事をしているかというより、人としてどうか。私が自分のなかで一番大切にしているのは、周りの付属品に左右されず「自分がどうか」ということで。自分が何をしたいのか、そこに向かってどう前に進むか。それしか考えていないんですよ。
隣の芝は青いけど、でも自分の芝だってそんなに悪くはない
──今回の本でもすごく素敵な、子育てについての語録がありました。たとえば「大変なことだけにフォーカスを当てると、いっぱいある。でも、楽しいことにフォーカスを当てても、いっぱいある」。
藤本さん:大変なことは、毎日たくさんあるんですよね。自分じゃなくて子どものことだからこそ、上手くいかなくてイライラすることもいっぱいある。でも、もうちょっと子育て以外にも、自分が楽しいことを見たほうがいいのかなとは思います。「隣の芝生は青い」というけど、じゃあ自分の芝生はそんなに悪いのかな、と。
──日々頑張って芝を整えているママも、少なくないでしょうし。
藤本さん:それに子育てや生活で絶対にやらなきゃいけないことって、それほどないと思うんですよ。作らなくても、ご飯は食べられる。買ってくることも、外食もできるし。死ぬほど辛い思いをしてまでやらなきゃいけないことは何ひとつないから、やれるときにやっておく、くらいの余裕を持つのがいいのかなと。子育てはひとりの人間を立派な大人にしなくちゃいけない使命はあるけど、その成果がいつわかるのかといえば……。明日ではないですよね。聖人が育てたらすごくいい子に育つわけでも、多分ないと思う。子どもを見て向き合うことは大事だと思うけど、「自分がどれだけやってあげたから」というのとは、また違うのかなとも思います。
──真面目で一生懸命なママほど、悩みも増えがちですよね。
藤本さん:「寝ないからイライラする」のではなく、逆に「寝てないのだから、そりゃあグズグズして当然だよね」くらいに考えたほうが楽ですよね。いつも減点方式で考えるのではなく、できること、できた自分に目を向ける。そもそもひとりの命を育てていること自体に責任があるので、大変で疲れるのはよくわかりますが。でも今日明日怠けたからといって、あなたの子どもはダメにはならないから大丈夫。できるときに、できることをやりましょう!
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(取材後記)
今回だけで「新たな語録が作れるのでは?」というほど、前向きな言葉がたくさん飛び出したインタビュー。本のタイトルにもなっている「前しか見ない」ミキティさんに、背中を押されるママたちも多いのではないでしょうか。悩んで立ち止まるくらいなら、なんでもいいのでとにかく進む。一歩だけでも進んだその先には、きっと別世界が広がっているはずです。
藤本美貴さんの著書『ミキティ語録 前しか見ない』(Amazon)は、人気YouTubeチャンネル「ハロー!ミキティ」のお悩み相談企画から生まれたたくさんの「語録」を楽しめる1冊。恋愛、仕事、夫婦、子育て、人間関係といったさまざまなお悩みに共感し、ズバズバと答える藤本さんの言葉に背中を押されます。
取材、文・編集部