【離婚後の共同親権】賛成派は2割。あなたは賛成ですか?反対ですか?<ママのリアル調査>
2024年1月、法務省の法制審議会が「家族法制の見直しに関する要綱案」をまとめました。注目されるのは、両親の離婚後「その一方を親権者として定めなければならない」としていたところを「その双方又は一方を親権者と定める」とした点。つまり離婚後の子どもの養育にあたって、「共同親権」の導入が検討されています。そこで今回ママスタセレクトでは「離婚後の共同親権に賛成ですか? 反対ですか?」というアンケートを実施。選択肢に「賛成」「反対」「どちらともいえない」の3つを設定したところ、1,400人を超えるママたちから回答が寄せられました。
共同親権、半数近くのママが「どちらともいえない」と回答
もっとも多かった回答は「どちらともいえない」を選んだママたちで、全体の4割強と半数に迫る数字に。そこにはママたちの複雑な胸の内が見え隠れします。
『離婚した理由によって選択肢は違うと思うから』
『それぞれの家庭の事情があるから』
なかでも多かった声が「どういう理由で離婚したかによる」というもの。離婚の理由が「性格の不一致」だけでは片づけられないことも多くあるのが現実です。それだけに、一概に「共同親権」が適切かどうか判断できない、と考える人が多いのでしょう。また共同親権を「協議」できることには賛成する声も多く、DVを避けるためなどの深刻な離婚理由の場合には「協議を不可としてほしい」というコメントもありました。
離婚後の共同親権「反対」は3割強に
次いで多かったのが、共同親権には「反対」だと考えるママたちで、3割強となりました。理由は大きくわけて次の3つにあるようです。
理由1. DV被害者はさらに苦しむことになる
『DV被害者がますます苦しむことになる』
『子どもがDVの親から逃れられない危険がある』
DVやモラハラが理由で離婚を決めた場合、安全が守られないのでは? と心配する声も多く寄せられました。DV被害者にとっては共同親権にすることで、子どもとの交流や別れた配偶者との面会が頻繁に行われるのは避けたいところでしょう。それだけに慎重にならざるを得ないともいえそうです。
理由2. 子どもが混乱する
『子どもが板挟みになるから』
『大人の事情に子どもが振り回されるのはかわいそう』
離婚するのはあくまでも親の都合。子どもの意志を尊重したい、と訴えるママたちも少なくありませんでした。
理由3. 再婚するときに大変なのでは?
『再婚するとなると絶対に揉めそう』
離婚した夫婦が別の人と改めて婚姻関係を結ぶ可能性も十分に考えられます。その際の影響を心配するコメントもありました。
賛成派は2割にとどまる
一方で共同親権に「賛成」と答えたママは2割にとどまりました。理由はこちらも大きくわけて3つにあるようです。
理由1. 親であることは変わらない、子どもの権利だから
『子どもの権利だから。 片方の親が決める権利はない』
『どちらも両親に変わりはないので』
『親子であることに変わりはないから』
子どもにとって“両親”であることは変わらない、子どもの権利である、と考えるママたちも少なくないようです。
理由2. シングルで育てるのは大変
『シングルで育てるのは大変だと思うから』
『シングルだと金銭的、時間的に子どもに寄り添えません』
シングルで子育てをするママ、パパも珍しくありません。とはいえひとりで子育てを担う現実は厳しい、と考える人もいるようです。
理由3. 養育費支払いの義務を果たす(果たさせる)ため
『養育費の支払いを親権がないからと言い訳できない』
『子の養育のあるべき形だと思う。親権と表裏一体で養育義務も負うべき』
離婚後の養育費の支払いについて言及するママもいました。一方に親権がある場合に、たとえ取り決めをしていたとしても他方からの養育費支払いが滞るケースもあります。親権がある以上、養育費も含めた養育義務を果たすべきだという考えでしょう。
個々の事情が尊重される法整備になるように
「共同親権」への反対派、賛成派のいずれからも共通して聞かれたのは「離婚後も子どもの意志と生き方を守りたい」という声でした。たとえ自分たち親は離婚しても「子どもファーストでいたい」と考えるママたちの強い気持ちが伝わってきます。
共同親権が選択できるようになれば喜ばしいと考える人も一定数いるでしょう。しかし今回のアンケートで「どちらともいえない」と答えた人が約半数にのぼるように、実際には迷う人や悩む人、離婚を諦める人、不誠実な配偶者から逃げられないと絶望する人が出ることも予想されます。どちらを選択するのがベストであるかは個々の家庭によって異なります。それぞれの事情が尊重される法改正が行われるよう、まだまだ慎重な議論が必要ではないでしょうか。今回の要綱案を元にした民法などの改正案が、今国会で提出されました。共同親権が選択肢として提供されることで今後多様な家庭の状況に対応した支援が行われるかどうか、注目したいものです。
総回答数:1,428票
調査方法:インターネット
調査月:2024年2月
調査・分析:ママスタセレクト編集部
文・編集部 イラスト・Ponko