窪塚洋介:第6回 息子と外を歩くときは、意識して知らない人に道を尋ねたりします
2015年に元ダンサーのPINKYさんと結婚、2017年6月には、PINKYさんとの間に長女あまとちゃんが誕生した窪塚洋介さん。14歳になる長男の愛流くんを含め、4人家族となりました。
インタビュー第6回目は、窪塚さんの「育児」についての考え方、家族との楽しみ方についてのお話を伺います。窪塚さん流の子育て論とは?
14年ぶりの赤ちゃんとの生活で感じたことはありますか?
愛流が赤ちゃんのときは、いろんなことを見逃してたんだなと思うことがあります。仕事が忙しかったのもあったけど、ちゃんと見れていなかったなって。今は、ほんとにゆっくりと、日々の成長を見れている気がします。
14年という年月の中で、ご自身がパパとして変化したことを感じますか?
大事なことは変わらないにしろ、俺自身14年前とは環境が全然違う。愛流が生まれた14年前は、まだ(マンションから)落っこちる前で、それからさまざまな経験をしてきたことで心境も大きく変わりました。
今のほうがずっと落ち着いて子どものことを見られるし、考えられるようになったかな。
根本は変わってないけど、用意してあげられる選択肢や、気持ちの余裕とかは全然違う。より快適な環境で育ててあげられているかなという気持ちはあります。
窪塚さんが子育てしている中で、テーマはありますか?
男は男らしく、女は女らしくというのはありますけど、それよりも「その子らしく」と思っていますね。
息子の愛流に対しては強要するということはあまりなくて、自分で決めさせることが多いんですよ。自分がしたいことさせてきたつもりだし、これからもそれはきっと変わらないかな。どうやったら「今/ここ」にしかない自分が楽しめるのか?「楽しんで」ってよく言います。
あとすごく良いなと思っているのが、ネイティブアメリカンの教えの「乳児は肌を離すな 幼児は肌を離して手を離すな 少年は手を離して目を離すな 青年は目を離して心を離すな」という言葉。これは、常に頭の中にありますね。
14歳の息子さんに対して、意識しながら伝えていることがあれば教えてください。
人と関わらせるということを意識しています。愛流と一緒に歩いてるときは、意識して知らない人に道を尋ねたり、話しかけたりするようにしています。何かあったときには、見ず知らずの人とでも助け合えるということを知ってほしいから。
あとは、「パパ、これで良いことがあるわ~」と冗談見たく言いつつ、愛流の前で席譲ったり、ゴミを拾ってる姿を見せるようにしています。神社、海、山に出かけたときは、特に意識してゴミを拾ってますね。そういうことを当たり前の習慣にしていきたいなと思ってるんです。
言うだけではなく、行動して見せるほうが伝わると思うんですよ。
愛流くんに伝えてきたことで、「ちゃんと身についているな」と感じることはなんですか?
「ありがとう」をちゃんと言います。これは小さい頃からずっと教えていたんだけど、今も身についています。「愛流くんは、ちゃんと感謝の気持ちを伝えてくれるね」といろんな人からすごく褒められるので、良かったと思いますね。勉強は、、、だけど、とても優しい子です。(笑)
息子さんを怒ることはありますか?
怒るときはがっつり怒りますね。うちの母親に、「チンピラが子どもをいじめてる」なんて言われたこともあるけど(笑)、必要なときには目を見てしっかり怒ります。
そんなキレ方を他人にされることはあまりないだろうし、自分の親父にそういうキレ方をされてたら、ちょっとやそっとのことではビビらないようになるかなという期待もあるんですよね。免疫がつくというか。
でも基本的には褒めて伸ばす方がいいなと思ってます。愛流にもあまとにも怒ることはあるかもしれないけど、できるだけ褒めてあげて、自分の力に自信を持ったり楽しんだりできる子になってくれることが一番大事だと思っています。
お話を伺っていると、「伝える」ということをとても大切にされているんですね。
行動が一番ですが、言葉で伝えるって大事ですよね。だから俺は、子どもにも「愛してるよ」と言います。最近は照れる歳になってきて「アイラブユー」になったりしてるけど(笑)。
でも俺は言葉ではなく行動で人を判断することが多い。「ご飯行きましょうね」だけではなくて「いつにしますか?」と具体的に行動してくれる人のほうが信じられるんです。だから子どもにも、人の行動も見ることを身につけてもらいたいと思っています。
お話の中に出てきた「乳児は肌を離すな 幼児は肌を離して手を離すな 少年は手を離して目を離すな 青年は目を離して心を離すな」という窪塚さんの言葉は、親の心に響きますね。次回は息子さんとの「絆」について伺います。お楽しみに。
取材、文・上原かほり 撮影:chiai