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あの「パンパース」のプレミアムおむつを製造する明石工場の見学に行ってきました

PandG

赤ちゃんが産まれてからはあたりまえのように使っているおむつ。毎日十数枚も使っているものだけに思いもよらないかもしれませんが、おむつがどこで、どのように作られているか考えたことはありますか?

ズバリ、おむつブランドのひとつ、「パンパース」は、兵庫県明石(あかし)市にある「P&G 明石工場」で製造されています。普段は関係者以外入れない場所ですが、今回特別に、工場内の見学に行ってきました!

普段お世話になっているモノの裏側を見るのは、大人でもワクワクする貴重な体験。工場見学とともに、おむつ製造にかかわるママ社員さんたちの想いを知ることができましたよ。

日本上陸40周年の「パンパース」。明石工場から日本全国&アジア諸国へ

P&Gの乳幼児用おむつブランド「パンパース」は、1961年からアメリカで販売され、1977年には日本でも販売開始、今年で日本上陸40周年を迎えました。

今回見学させていただいたP&G 明石工場は、1982年に稼働開始、稼働から35周年を迎えています。現在国内で販売されている「パンパース」シリーズを製造し、一部製品はアジア諸国にも輸出されているとのこと。

これまで同社のおむつの研究開発はアメリカやヨーロッパで行うこともありましたが、2017年6月に発売された「パンパースの肌へのいちばん*」シリーズは、この明石工場で研究開発が行われて誕生しました。(*P&G製品内比較)

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パンパースのはじめての肌へのいちばん(テープ)

「パンパースのはじめての肌へのいちばん(テープ)」の製造ラインの一部を見せてもらうことができましたよ。

おむつがどのように作られているか、いざ工場見学!

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ヘルメット・ジャケット・耳栓・安全靴を装着、手洗いと消毒を行い、体のホコリを落とすためのエアーシャワーを通り抜けていざ工場内へ! 扉を開けっぱなしにして虫の侵入を許せば大問題なので、素早く行動します。

工場は広大なフロアに、天井まで届く大きな機械がたくさん。(※一部企業秘密で写真撮影不可でした。ゴメンナサイ)

おむつができるまでは、大きく分けて3工程があります。

①おむつの吸収体を作る

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おしっこやゆるゆるうんちを吸収する部分が「吸収体」です。パンパースの吸収体は、3つに分割した独自の構造で、吸水ポリマーという水分を吸収する仕組みを持っています。

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写真右下側の白いロール状の原材料が左上の機械に送られます。その後は企業秘密の機械で吸収体が作られます。

②吸収体の周りに、シートを装着していく

できた吸収体は機械を通って次のステップへ。吸収体を囲むように、防水シートやメッシュシート等が装着されます。

「肌いち」の内側、赤ちゃんのお尻が触れる部分には「3D穴あきメッシュシート」が取り付けられます。

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2000個以上もの小さな穴が開いていて、ゆるゆるうんちでもすばやく吸収する機能を持っています。

足周りに直接触れる外側シートにも波状に並んだ8000個以上もの細かな穴が。

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肌ざわりもやわらかいシートです。

足周りのギャザーは、足周りを締めつけすぎず、しかも排せつ物が漏れないように、絶妙な強度で作られています。

③テープを装着する

テープタイプの場合はおむつの腰回り部分にあるテープをおむつ本体に装着します。ちなみにパンツタイプの場合は、①、②の工程を経て、ベルトと呼ばれる部分を装着するそうです。

これで出来上がり。この後は、袋詰め、ダンボール箱へ箱詰めされていきます。

この間、ベテラン従業員・”匠”のチェックが入る……!

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ここまでの工程は自動化(オートメーション化)された機械で作られているのですが、途中、100台以上のカメラとセンサーが設置されているとのこと。ラインを流れるおむつを撮影して、画像解析によって異常がないかどうかチェックしています。検査項目は100項目以上に及ぶそうです。

この検査をクリアしなかったおむつはラインから除外されます。テープの位置が1mmずれているだけで除外されることになるのだとか。

その後ラインから除外されたおむつを従業員さんたちがチェック。”匠”と呼ばれるベテラン社員さんの目が光ります。

この工場では製造のための機械は自動化されているので、一連の流れを担当する従業員は3,4人体制となるそうですよ。

品質管理の”最後の砦”品質検査室

最後は品質検査室。ここはできあがったおむつの品質をチェックする部屋で、いわば品質に関する”最後の砦”です。

たとえばこのように、おむつの横モレ防止機能(ギャザー)をチェック。

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こちらは、おむつを止めるテープの伸縮性をチェックする機械。

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右端の黒い部分にテープの端を挟んで、テープ部分の伸びを計測します。この検査結果はコンピューターに送信され、解析が行われるそうです。

工場の従業員さんたちはすべて、「赤ちゃんに触れるもの」の意識を持って製造にあたっており、安全面、品質面においては厳しく管理されているのだとか。普段私たちが大量に使っている日用品の細かな部分が、赤ちゃんへの想いと確かな技術で作られている様子がよくわかりました。

ママ社員さんの声が「パンパース」の改良につながる。3人のママ社員さんにインタビュー

P&Gさんは外資系消費財メーカーということで、さまざまな国の人々や、多くのママ社員さんたちが働いておられます。3人のママ社員さんにお話を伺うことができました。

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左:テクノロジーリーダー 荒川さん
中:インテグレ―テッドワークシステムマネージャー 井谷さん
右:テクノロジーリーダー 西岡さん

井谷さんは6ヶ月のお子さんのママさん、荒川さんと西岡さんはそれぞれ2人の小学生のママさんだそうです。仕事への情熱とやりがい、そして働くママとして選んできた道を語っていただきました。

―― みなさん産休、育休を経て、仕事復帰をされたそうですね。仕事に復帰する際は、迷いなどはなかったのでしょうか?

井谷さん「ここには多様な働き方をする従業員がおりますので、復帰に関してはできるかどうかという迷いはなかったです。新製品を使ってみての使いやすさや、ママになってみて初めてわかった不安を実感できたので、そういう部分を現場に持っていくことができる、仕事に繋げられるという嬉しさの方が勝っていました」

西岡さん「1年間ずつ育休を取りましたが、復帰するママ社員が多いので、もともと復帰することが前提でおりました。働くママが働きやすい制度が整っていて、支障なくスムーズに復帰できましたし、時短勤務制度も使いました。子どもが小さいときに担当していた新製品の開発に、母としてのフィードバックを生かしてもらったりと、復帰後の方が仕事にやりがいを感じるようになりました」

荒川さん「私は保育所に入ることを考えて、産後8ヶ月で復帰しました。上司と相談し、復帰直後は仕事の内容や出張の予定を調整しつつ、1年後には出産前と同じ水準に戻ることができました。働くママ社員はそれぞれの事情に合わせて、育休をしっかり取ったり、逆に育休を取らずに戻ったりする人もいます」

―― ママ社員さんが多く在籍されているのですね。子育てしやすい雰囲気、社風なのでしょうか?

荒川さん「今は子どもが小学生なのですが、学校行事や急な休みでも、周りに理解や助けを求めやすいですし、信頼関係があります」

井谷さん「Every baby is a miracle(すべての赤ちゃんがいることの奇跡)という言葉を社内で共有しています。どんなご家庭であっても、赤ちゃんがいてくれることの大切さは全従業員がわかっているのではと思います」

西岡さん「もうひとつ、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性&お互いを尊重すること)という言葉があります。人種、年齢、価値観など関係なく、お互いをすべて受け入れる環境が自然とあります。この”自然とある”という点が、会社の良い所かなと思います」

―― ママになって復帰してみて、育児の経験が仕事に活かされていることはありますか?

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西岡さん「私が育休を取った10年ほど前は、”やわらかさがどう肌に良いのか”を解明できていなかった時期だったので、試作品や他社製品を子どもにはかせてみて、肌の状態を見て、私なりにまとめて社内で発表したことがあります。母として戻って仕事に貢献できたということで、大きな喜びがありました」

荒川さん「私は使い勝手の面です。他社製品も含めて、実際に子どもにはかせる様子をカメラで連写して撮影し、”この部分が改善できるのでは”というように、製品開発や他の部署にフィードバックしたことがあります」

井谷さん「私はママの立場になってはじめて”安心”と”安全”の違いを実感しました。

たとえば、未使用のおむつにほんの小さな、茶色い原料の点が付着していたとします。それは品質上は赤ちゃんに害がない安全なものなのですが、新米のママがそれを見ると『赤ちゃんから少し漏れたうんちでは? おむつを替えるべき? 替えないべき?』と悩んでしまうんですね。たとえ品質的に問題ないものでも、そういう点を管理することでママがどれだけ安心するか、を社員に伝えるようにしています」

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工場の通路に飾られた、従業員のお子さんやお孫さんの写真。新商品を試してもらっているそうですよ。

―― おむつを製造する会社のママ社員として、こういう困ったときにこういう対応をすれば良い、というものがあれば教えてください。

荒川さん「イヤイヤ期でおむつ替えを嫌がるときは、おむつのデザインの違いを利用してみてください。たとえば『今日はこの色のおむつをはいてみようね』『ワンちゃんが呼んでるよ』などと、デザインの違いを利用した声掛けをします。パンツタイプのおむつはよく伸びるので、伸縮性をうまく使うと早くはき替えさせられると思います」

井谷さん「おむつのサイズアップを検討しているとき、もしおむつのパッケージに書いてある目安体重の通りにいかず迷ったら、”ゆるゆるうんちが端にいったときに、隙間から漏れるか漏れないか”も見てみてください。漏れている場合は、今のサイズでの吸収能力が限界となっているため、サイズアップのタイミングかもしれません。

もうひとつ、ママさんたちには、このパンパースの長時間吸収の特性をぜひ利用していただきたいと思います。長時間つけていても快適であることを目標に作った商品なので、おむつ替えの回数が減るかもしれません。子どもの好奇心が強くなってきてからも、おむつの不快感やおむつ替えで子どもの好奇心の邪魔をするということも少なくなると思います。

そしてぜひ、ママさん自身も休んでいただきたいと思っています」

働くママにも優しい会社。そのぶんママになってからの仕事へのモチベーションもアップし、育児の経験が直接活かされるのですね。お忙しいなか貴重なお話をありがとうございました!

取材、文・しらた まよ