横山だいすけさん「音楽の道へ送り出してくれた父のように、オキノ役を演じたい」
今年3月、惜しまれつつも『おかあさんといっしょ』の11代目うたのお兄さんを卒業した「だいすけお兄さん」こと横山だいすけさん。歴代最長の9年間にわたり、全国の子どもたちや子育て中のママたちに毎日元気を与えてくれました。そんな横山さんが次に立つステージは、あの『魔女の宅急便』のミュージカル! 横山さんはこの舞台で、主人公・キキの父親(オキノ)という大役を演じます。
このたびママスタでは、新しい人生のスタートを切った横山さんに独占インタビューを決行。現役時代の思い出、気になる今後の活動、そしてミュージカル『魔女の宅急便』のオキノ役にかける思いなどを伺ってきました。
ミュージカルの衣装を身にまとい、「あまりインタビューに慣れていないのでドキドキしています」と言いながら、ひとつひとつの質問に丁寧にお答えくださった横山さん。そこにいるだけで周りの人たちが笑顔になれるような人柄の良さが伝わってきました。これを読めば、もっともっと横山だいすけさんのファンになってしまうかも!? ボリュームたっぷりの独占インタビュー、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。
「うたのお兄さん」をやめたいと思ったことは一度もありませんでした
——「うたのお兄さん」時代を振り返ってみて、9年前と今ではどんなところが変わったと思いますか?
9年間で、子どもとの関わり方が大きく変わりましたね。もともと子どもは大好きだったのですが、自分から進んで関わっていけるようなタイプではなかったんですよ。それがうたのお兄さんになってからは、どんどん積極的に関わっていけるようになりました。
『おかあさんといっしょ』の収録現場に来てくれる子どもたちは、親御さんから離れるのは初めて、という子が多かったんです。だから緊張をほぐして、自然と入ってこられる空気感を作ってあげようと思って。「みんなが喜んでくれるなら、変顔でもなんでもしよう」と思ってがんばってきた結果、今ではプライベートでも変顔してしまうくらいの性格になりました(笑)。
——9年間の長い期間の中で、「うたのお兄さん」をやめようと思ったり、くじけそうになったりしたことはありましたか?
全くなかったですね。途中、自分の声が出なくなってしまって苦しい思いをしたことはありましたが、うたのお兄さんの仕事について「つらい」とか「もうやめよう」と思ったことは、9年間で一度もありませんでした。卒業を決意するにあたっても、「次の世代にバトンタッチをしよう」という、すごく前向きな気持ちだったので。
——ハードスケジュールの現役時代、まとまったお休みはとれたのでしょうか。また、お休みの日は何をして過ごされていましたか?
収録の年間スケジュールは決まっているので、夏と冬にはまとまったお休みをもらえていました。休みの日は結構のんびりでしたね。何もしない日もありましたし、近所を散歩したりとか、旅行に行ったりもしましたよ。
スタジオ収録が終わったあとは、今までお世話になった人たちに会いに行っていました
——番組を卒業後、休業期間を設けようとは思わなかったのでしょうか?
そうですね。「旅行にいったり遊んだりするのは、この先いつでもできるだろうな」と思ったので、最後のスタジオ収録が終わったあとは、スケジュールが空いている日を見つけて、家族や今までお世話になった人たちに会いに行っていました。現役時代にはそういう時間もなかなか取れなかったので、いいリフレッシュ期間にあてられましたね。
お会いしたみなさんからも応援のメッセージをいただいたりして、「今まで頑張ってきてよかったなぁ」と心から思うことができました。同時に、「これがあるからまた次もがんばっていけるんだな」という前向きな気持ちにもなりました。だから、休業期間を設けなくても、すでに心の充電は完了しています! たくさんのパワーをもらって「これからもっと頑張ろう!」という気持ちでいっぱいです。
——横山さんのところには、子育て中のママたちからの応援メッセージもたくさん届いていると思います。それらを読んで、どんなお気持ちになりましたか?
本当にたくさんのお手紙やメッセージをいただけて、とっても感動しました。「子どもが喜んでくれました」というものや「初めて親になって、不安だったときに励まされました」という親御さん自身の声など。「こんなにたくさんの家族が成長する一部分に関わることができたんだ」と感じられて、本当に嬉しかったです。
一つ一つがあったかい文章で、胸が熱くなって、泣けてきちゃうこともありましたよ。親御さんの思いを通して自分も学んでいけるというか、みなさんの声が僕の原動力になっています。今後も、もっともっとその成長のお手伝いをしていけたらいいなぁと思っています。
ミュージカル『魔女の宅急便』では初の父親役に挑戦! 現役時代から考え続けてきた「父」の気持ち
——ミュージカル『魔女の宅急便』のオファーを受けたとき、どんなお気持ちでしたか?
僕はジブリ映画が大好きで、その中でも『魔女の宅急便』は子どものころからよく知っている作品でしたから、主人公・キキの父親役といった大事なポジションにお声かけいただいて、本当に嬉しかったです。ちょうどうたのお兄さんを卒業して「これからどんな世界に挑戦していこうかな」と思っていたところだったので、初めての父親役に、今はとてもドキドキわくわくしています。
——ミュージカルの中では、オキノ役をどんな風に演じていきたいですか?
これまでは、うたのお兄さんとして主に3歳から4歳くらいの子どもたちと関わってきました。今度のオキノ役は、13歳の娘をもつ父親役ということもあって、また違ったアプローチの仕方になるのかなと思っています。
自分にはまだ子どもはいないんですけど、「子どもができたらどういう気持ちになるのかなぁ」ということは、もちろん現役時代にも考えていました。この役をやらせていただく上で、子どもを優しく見守って送り出してあげるような面だけでなく、子どもには見せない父親としての不安や葛藤といった部分も表現して、見ている方たちに共感していただけるようなお芝居ができればと思っています。
音楽の道へ送り出してくれた父のように、オキノ役を演じたい
——オキノは、娘であるキキが旅立ちの日を迎えたときに、すごく優しく送り出してあげますよね。もし横山さんご自身が父親になったとき、人生の岐路にたった我が子に対して、オキノのような態度がとれると思いますか?
そうですね。やっぱりオキノのように送り出してあげたいなと思います。僕自身の父親も、僕が「将来は音楽の道に進みたい」という話をしたときに「自分がやりたいことだったら、一生懸命がんばりなさい」と言って送り出してくれたんです。
両親とも「その道に進めば、いろいろと大変なことがあるのでは……」と心配もしていたみたいですが、反対もせずに、ずっと僕のことを応援してくれていました。「どんなに大変なことがあろうと、自分の子どもがやりたいことがあるなら全力で応援するのが親だよ」と話してもらったこともあるので、もし僕自身が父親になったら、自分の両親と同じことを子どもにしてあげたいと思っています。
台本を読んでいると、オキノって自分の父に似ているなと思う部分もあるんですよね。父もオキノのように、言葉であれこれ説明するのではなく、後ろからじっと見守ってくれるタイプ。だから、役作りには自分の父親を参考にさせてもらおうかななんて思っています。ちなみに、母はチャキチャキ系で、結構なんでも言うタイプです(笑)。
——素敵なご両親ですね。ちなみに横山さんは幼少時代、どんなタイプのお子さんだったのでしょうか?
小さいころは、今のように前に出るタイプではなくて、内気で女の子みたいな性格だったそうです。それが成長していくにつれ、だんだんと面白いことが好きになっていって、いつの間にかこんなにひょうきんな人間になってしまいました(笑)。
「子どものために歌をうたっていきたい」という気持ちが、生き方の真ん中にある
——ママたちは、今後の横山さんが舞台俳優としてやっていくのか、またテレビのお仕事もされるのかというところも気になっているようです。そのあたりのご予定は?
僕は本当に子どもが好きで、「子どものために歌をうたっていきたい」という気持ちが自分の生き方の真ん中にあるので、とくに舞台に絞るとか、テレビに絞るといった線引きはしていません。
機会があれば、いろいろなところで子どもや親御さんたちに歌を届けていって、応援してくれる方たちがあったかい気持ちになれるような、そしてみなさんが歌や音楽をもっと身近に感じられるような環境を作っていきたいと思っています。
それがどんな形なのかはまだわかりませんが、これから僕も外の世界に出て冒険していくなかで、“僕にしかできないこと!”を見つけられたらいいなぁと思っているところ。今回のお芝居で初めて父親役に挑戦するように、いろいろな経験を積んでこれからの活動に生かしていきたいです。
——ありがとうざいます。これからのご活躍を楽しみにしていますね。最後にママたちに向けて、メッセージをお願いします。
たくさんの応援メッセージ、本当にどうもありがとうございました。「育児で大変だったところを支えてもらった」という声をたくさんいただいたので、これからも僕自身の歌や音楽活動を通じて、ほっとできるようなあったかさを届けていけたらと思っています。ぜひお楽しみに。これからも応援よろしくお願いします!
「感謝の気持ちを忘れずに、ずっと歌をうたい続けていきたい」と話す横山さんのその瞳は、これから先の未来を見つめてキラキラと輝いていました。そうそう! インタビュー後の写真撮影時にも現役時代の話題で盛り上がり、知り合いの“かぞえてんぐ”が最終回に葉っぱのうちわを落としたのは「完全にアクシデントだった」らしいことも教えてくれましたよ(笑)。
新しいステージに踏み出す横山さんを、ママスタはこれからもずっと応援していきたいと思います。これからはどんな形で、私たちに心のこもった歌声を届けてくれるのでしょうか。とても楽しみですね!
取材&文・赤石みお 撮影・泉 三郎
ミュージカル『魔女の宅急便』
今なお色あせない「魔女の宅急便」が、若手新進気鋭の制作チームにより、新しいミュージカル版として上演決定!
【東京公演】
会期:6月1日(木)〜4日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
【大阪公演】
会期:8月31日(木)〜9月3日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
公式サイト:http://www.musical-majotaku.jp/