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加藤ローサ:第5回 フランスと比べて、日本での出産・育児は至れり尽くせりでした!

2011年12月にフランスで第一子を出産されたローサさん。今回は「初めての育児」、そして第2子を日本で出産した時の違いについてお話を伺っていきます。フランスと日本、2つの国で出産を経験したローサさんだからこそ語ることのできる、日本とフランスの違いとは?

■フランスでの生活で、忘れられない思い出はありますか?

フランスの家は、バスタブはあったのですが、洗い場がないようなお風呂だったんです。しかもお湯もずっと出続けるわけではなくて、(お湯をタンクに貯める方式なので)決まった量のお湯しか出ない仕組みでした。だから、3人一緒に入らないとお湯がなくなっちゃうんです。最後のトリートメントは水で流さなきゃいけない、みたいなことは何度もありましたね。使えるお湯の量が決まってるから、節水のため毎日3人でお風呂に入ってました。今となっては良い思い出ですね。

■海外でスタートした育児の日々ですが、辛かったことはありますか?

夫は毎週末、試合でいなかったのですが、近くに日本語を話せる友人もいなくて、ずっと家に籠ってるか、出かけても公園か、という生活だったんです。

ホッとできる瞬間がなくて、「今、何かあったら……」という気持ちが常にあって。その国の言葉で自分の住所を伝える準備と救急車の番号のメモだけはしていました。そんな常に緊張した状態での生活を送ったのが辛かったですね。

■日本に比べて、海外のほうが子育てがしやすいという声もあります。実際に経験されてどう思いますか?

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私には、日本の方が合っていると思います。東京の事情はわからないんですが、今暮らしている静岡は今までで一番、子どもと過ごしやすい場所です。

フランスは、エレベーターが無い建物が多かったんです。だから、ベビーカー移動が大変でした。階段は持ち上げて登ったり……。特に子どもが新生児の時はベビーカーが畳めなくて本当に大変で。こういうとき障害者の方はどうしてるんだろう?と思ってました。段差もすごいし、エレベーターはないし、車いすの方にも、とても大変な街だと思います。

■外出時のおむつ替えはどうされていたんですか?

フランスはトイレ自体少ないんです。そして、「便座」がないんです。「盗まれちゃうから」という理由みたいです。だから、最初から陶器のところに紙を敷いたり、お尻を浮かせたりして用を足すんです。

そんな街なので、オムツ替えをするような場所も当然なくて、オムツ替え用の敷物を持ち歩いていました。授乳室もないので、授乳ケープをつけてどこでも授乳していましたよ。
カフェで授乳してても、「あの人、授乳してる」という風に思う人はいないんですよね。他人の事は気にしないんです。そういう点では楽ですけど、日本はどこに行ってもキレイなトイレがあるし、オムツ替えの個室や授乳室もあるし、本当にすばらしいと思います。

■ローサさんにとって、海外生活はどのような日々でしたか?

海外には3年程いたんですが、その間に国も3カ所変わったので、本当に落ち着かない日々が続いたんです。フランスも、産後半年ほどしかいなくて、その後日本に4カ月くらい帰って、次はブルガリアに10カ月行って……という生活で。とにかく落ち着かなかったんです。どの国も素敵な国だと思うんですが、今考えると引越しばかりしていたので、落ち着いて安心して生活できる場所も良かったなと思いました。言葉も違う国で生活していたから、心に余裕がなくなって、上のお兄ちゃんにちゃんと愛情をかけてあげられたか不安に思うこともあります。やっぱり子育てする時は、お母さんが安心して暮らせる場所で過ごすのが子どものためにも良いと思います。

■フランスでの出産、その後3か国での育児を経て、第2子を日本で出産しましたね。どんな気持ちでしたか?

次男を出産したのは鹿児島の病院だったんですが、驚いたり、感動することがたくさんありました(笑)。

たとえば「お祝い膳(※)」てなに?とか(笑)。ご飯がおいしくて感動したり、あらゆることが新鮮で、驚くことばかりでした。出産するなら日本が絶対良いですね。フランスの病院は、内装が無機質な感じなんです。診察台がシルバーの台だったり。それに比べて、日本の病院は温かみがある感じがします。

※一般に、出産された方に対し、赤ちゃんの誕生のお祝いと健やかな成長を願う気持ちを込めて産院などから出される食事のこと。

■日本では快適な入院生活を送られたんですね!

そうですね。病院の下にカフェがあって、電話すると母乳の出にいいといわれる「たんぽぽコーヒー」などを持ってきてくれるんですよ。産院はお部屋もすごくきれいだし、エステも併設している場所だったので、産後は酸素カプセルに入って、翌日は骨盤マッサージをして、その次の日はエステ、みたいな感じで。しかも、その間は赤ちゃんを見ててくれてるんです。もう、天国でした(笑)。フランスでは、母子同室で一切ノータッチなんです。どんなに大変でも「預かるサービスはない」と言われていました。

■ご主人は、2人目の時も立ち会いですか?

次男の出産予定日の頃、パパもちょうど鹿児島合宿だったんです。予定日まで鹿児島にいるかいないかのスケジュールだったんですが、予定より5日くらい早く産まれてくれたので、パパは練習試合の後に駆けつけてくれました。その時2歳2ヶ月だった長男も立ち会ったんですが、(現在5歳の)彼はあまり覚えてないみたいです。「生まれたのは覚えてる」って言うんだけど、「赤ちゃん、おへそから出てきたよね」って(笑)。

■海外では日本にはない便利な育児グッズはありましたか?

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すごく便利だけど、日本ではあまり必要ないというものはあります。実はヨーロッパのレストランは子ども用の椅子を置いていないことが多いんですよ。パリならあるかもしれないですが、パリ以外のフランスやブルガリアにもないんです。その時に便利なのが、携帯用の子ども椅子です、大人用の椅子に乗せられて、高さも自由に変えられるんです。それがすごく便利で、移動の時はその椅子を持ち運んでました。あまりにも便利すぎたから、日本に戻るときにも持って帰ってきたんですが、日本は子ども用の椅子がどこのレストランにもあるから、結局必要なくて家で使ってました(笑)。

■逆に、日本で感動した育児グッズはありますか?

チャイルドシートひとつにしても、日本の商品は回転したり子供の成長に合わせて変化できたりするじゃないですか。海外は、月齢に合わせてどんどん買い替えるパターンが多くて、ずっと使い続けられるような物があまりないんですよね。日本の育児グッズはいろんな機能がついているので、驚きました。たまにそれいる?って機能もありますけどね(笑)。


近年「日本は子育てしにくい」と議論を呼んだりしますが、実際にフランスと日本の両方の育児を経験してきたローサさんから「日本最高!」というお話を聞くと、日本の子育て環境も悪くないかも、と思わされますね。さまざまな経験をしたからこそ、今の生活の豊かさに感謝できるというローサさん。次回は男の子2人のママとしての日々について伺っていきます。お楽しみに♪

(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)