バスケットボール・河村勇輝選手の幼少期「親から強制されたことは一度もない」【第3回】
前回からの続き。
さまざまなスポーツが盛り上がりを見せています。アスリートたちの活躍を見ていると、「スポーツを仕事にできるなんて、いったい親御さんにどのように育てられたのだろう」と疑問に思うことはありませんか?
ママスタセレクトでは、プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝選手(以下、河村選手)にインタビュー。第3回となる今回は、河村選手が感じたご両親の影響や、親が子どものスポーツを応援する上で必要な心構えなど、リアルなお話を伺いました。
親から強制されたことは、一度もありません
――コートに入る際に一礼するなど、礼儀正しい河村選手。こういったルーティン、ご両親の影響はありますか?
河村選手:両親の影響は大いにありますね。実は、コートに入る際の一礼も両親からのアドバイスで始めたことなんです。かねてから自分もプレイ以外にコートでなにか表現をしたいと思っていたので、すんなりと両親の言葉を受け入れることができました。
――「表現したい」ということですが、一礼には、どのような思いを込めているのですか?
河村選手:自分がコートに立てることは、決して当たり前のことではありません。コートに立ちたくても立てない選手もいますし、今までの積み重ねがあってこそコートに立つことができます。コートに入る前の一礼でそのことを改めて自覚し、全力で試合に戦うことを誓っています。
――思春期・反抗期などもあるなかで、なぜご両親の言葉を素直に受け入れられたのですか?
河村選手:もちろん反抗期は人並みにあったと思います。でも、それ以上に両親を尊敬していたことが大きいですね。僕の両親は厳しい人ですが、自分はそれが愛からくる厳しさだとわかっていましたし、自分に否があるときに厳しくしてくれたので、素直に両親の言葉を聞けたのだと思います。
スポーツ選手が悩みがち?スポーツと勉強の両立について
――ところでスポーツと勉強は、両立できていましたか?
河村選手:両親が教師をしていたこともあり、家の方針は「勉強第一」でした。スポーツや部活はあくまで勉強の「付属」。なので、勉強をおろそかにしたことはありません。バスケットボールに打ち込みつつも、勉強第一でがんばってきました。
――勉強が嫌になるときはありませんでしたか?
河村選手:練習のあと学習塾に通っていたので、塾では「眠たいな」「早く家に帰りたいな」と思うことはありました。でも“勉強第一”という意識でいたので、重たい身体を起こして行っていましたね。
――スポーツを頑張るうえで、ご両親のサポートや印象に残っていることを教えてください。
河村選手:もちろん褒められるのはすごく嬉しかったです。しかしそれ以上に、両親は常に自分が努力できる環境を作ってくれたことが印象に残っています。たとえば、思いっきり勉強できるように、参考書を何冊も買ってきてくれたり、学習机を用意してくれたり。庭にバスケットゴールを設置してくれたり、バスケットボールに打ち込めるような環境も作ってくれました。やりたいようにやらせてくれたことが、嬉しいというか……本当にありがたいなと感じましたね。
――スポーツを本気で頑張る子どもをサポートする親へ、何かアドバイスをお願いします。
河村選手:子どもには強要しないことが一番大事だと思います。スポーツが上手くなったり努力したりするためには、「好き」でないと長続きはしません。親が子どもに無理やりスポーツをやるように仕向け、子どもがスポーツを好きでなくなってしまうのが一番もったいない。自主的に「やる練習」と誰かに言われて「やらされる練習」は、成長度合いが明らかに違います。これは自分自身の経験から実感したことです。ですから、子どもには強制はしないようにして、その代わりに環境を整えてあげてほしいなと思います。
取材・北川麻耶 文・安藤永遠 編集・荻野実紀子
<ワールドカップ開催!>
8月25日から9月10日の間、フィリピン、日本(沖縄アリーナ)、インドネシアでFIBAバスケットボールワールドカップ2023が開催予定。予選を勝ち抜いた32カ国が優勝目指して集う。