産後うつを経験したママはいる?どんな状態になるの?もしうつになったらどうすればいい?
赤ちゃんを待ち望んで出産。ようやくわが子に会えたのに、出産後に育児にやる気が出なかったり、面倒だと思ってしまうこともあるでしょう。それはもしかしたら「産後うつ」かもしれません。産後うつについて、あるママがママスタコミュニティにこんな質問をしています。
『産後うつになった、なりそうだった人はいる? そのときどんな気持ちだった? 「産後うつかもしれない」という自覚はあった? 赤ちゃんに対してどう思っていた?』
この投稿を寄せてくれたママは「もしかしたら自分は産後うつではないか?」と心配しているのかもしれませんね。まずは「産後うつ」とは何なのか。それを確認していきましょう。
「産後うつ」とは
そもそも女性は、約12人に1人が一生のうちに1度はうつ病になると言われるほど、うつ病にかかりやすいと言われています。とりわけストレスのかかる事案が増える妊娠中や出産後は、ホルモンのバランスが変化し、脳のストレス耐性が低下するため、うつ病にかかりやすくなります。これが「産後うつ」です。産後うつになると、自分が置かれている状況を悪い方へ悪い方へと考えてしまいがちです。例えば「この子を育てていく自信がない」「子育てが面倒」「赤ちゃんが可愛くない」などネガティブな考えが起き、さらにはそんな気持ちを抱く自分を責めてしまい、「私は母親失格」などと考えるようになってしまうこともあります。こういったネガティブな感情は子育て自体にも大きく影響します。「子育てに自信がない」と思うようになれば、本来の愛情を持った子育てができなくなり、子どもの発達にも悪影響を及ぼしかねないのです。また周囲からは「子育てが大変なのは当たり前」と思われて、ママの辛さが理解されないことも。いろいろなマイナス要素が重なってしまい、どんどん追い詰められ、症状が悪化する人も少なくありません。
では実際に産後うつになったママたちの体験談を見ていきましょう。
「産後うつ」を経験したママたち。どんな状態だったの?
子どもの声や子ども自体を受け付られない
『2人目育児のときになったよ。泣いている子どもを見ながらもう駄目だと思った』
『2人目から産後うつ。とにかく子どもたちの声が嫌だった』
子どもが泣いてばかりだと、「どうして泣くのだろう」「どうすれば泣きやむのだろう」と考えてしまいます。何をしても泣き止まないことも少なくなく、そうなると「私だって泣きたいのに」と思い、行き場を失ってしまうようです。また育児に疲れた心や体には、子どもたちの声が耳障りな音としか感じられなくなってしまうことも。そんなときは「もう静かにして!」と叫びたくなってしまいます。
赤ちゃんに対して疑問ばかり湧いてイライラしてしまう
『赤ちゃんに対しては、「なんで寝ないの?!」「なんでミルクを飲まないの?!」と疑問ばかりだった。上の子が育児書通りの子だったから余計に』
ママは一生懸命ミルクをあげたり、寝かせようとするのですが、肝心の赤ちゃんは全くそれに応じてくれない、そんなことが重なる場合があります。こちらは必死になってお世話しているというのに、思い通りにならない赤ちゃんの様子に慣れることができず、「なぜ?」の気持ちが募ってしまい、それがイライラに変わります。
赤ちゃんに対して申し訳ないと思えた
『子どもは可愛いと思えるのに気力が湧かなくて、最低限のミルクやオムツ替えをするのがやっと。この子はこんなにいい子なのに、「ごめんねごめんね」ととにかく申し訳なかった』
赤ちゃんのことはとても愛おしいと思うけれど、完璧な育児をするには気力も体力も追いつかない。頭で考えているはずのことと、現実のバランスが取れなくなると、浮かぶのは申し訳なさ。「不甲斐ないママでごめんね」といった感情が湧き上がります。
赤ちゃんが怖かった
『赤ちゃんに対して可愛いとはあまり思えず、ただ怖い存在だった。寝かし付けてもまた次いつ泣き出すのか、怖くて怖くて仕方なかった。毎日泣いて、死にたいと思っていた』
『わが子がどんな目で、どんな表情で自分を見つめているのかと思うと、怖くて直視できなくて。子どもの顔を見ないように抱っこして、泣き声が聴こえないようにイヤホンを使って大音量の音楽を聴いて、子どもと2人で泣きながら旦那の帰りを待ったりしていた』
赤ちゃんは寝てもすぐに起きてしまうこともあって、そうするとママたちはまた寝かしつけをしなければなりません。毎日毎日この繰り返しで、こちらももはや意識が朦朧としてくる、出産直後はそんな瞬間が何度も訪れます。やってもやっても休まらず、泣き声に追われ、いつまでたっても報われないような感覚……。でも赤ちゃんはそんなことにもお構いなしです。ひたすら泣いて訴え続けます。それを恐怖と感じてしまうとしても、不思議はありません。
周囲はどうしてくれた?
『親に心配された』
『とにかく手のかかる子で、周りの迷惑にならないことばかり気にしていた。すごく大変で旦那に打ち明けたら「俺も仕事を頑張っているんだから。お前も頑張ってくれよ」と言われて「あ、私は頑張っていなかったのか」と誰にも相談できなくなった』
『旦那は子どもを産むと変わるんだろうと、気にかけてもくれず』
「産後うつ」に陥ったママが頼りたいのは夫や両親です。彼らがママの様子を見て心配してくれる場合もいれば、産後うつのことがよくわからないために、ママが願うようなサポートをしてくれないこともあります。ときに夫からの配慮に欠けた言葉がけが、ママを追い詰めてしまうことも。「もっと頑張れ」という言葉はエールのように聞こえますが、実はママたちの頑張りを認めていない、とても残酷な言葉といえます。
「産後うつ」になったらどうすればいい?
病院に行って診察を受ける
『産後うつの診断を受けて約1年通院、薬を飲んでいました。今思えば子どもも全然手のかからない子でした。家に赤ちゃんといることが不安で怖くて、いてもたってもいられず、しばらく実家で過ごしました。その後も1週間ごと、その次は2週間ごとで行ったり来たりを繰り返していました。家族の理解があったのと、比較的実家も近かったのでできたことですが……。こんな自分で情けないのと、母親失格という思いもあり辛かったです。何をそんなに悲観することがあるのか? と思われてしまいますが、こればかりはなった本人にしかわからないです。絶対治るので病院へ行って薬をきちんと飲んでください』
うつ病を治療しないでいると、重症化や再発の可能性が高まります。そうすると症状に苦しむ期間が長くなってしまい、ママだけではなく子どもや家族も辛い思いをしまいますね。早めに適切な治療を受けることで改善されるケースも少なくありません。もし少しでも、「自分は産後うつかもしれない」と思ったり、周囲の人から指摘されるようなことがあれば、まずは専門の病院で診察を受け、必要に応じ、薬を処方してもらいましょう。
実家に戻ったり他の人と関わるようにする
『ずっと泣いている子どもを抱っこしてあやしていたら、気づいたら布団に投げていたみたいだったことがある。すぐに旦那に連絡をして、「このままだと殺しかねないから実家に帰るよ」と伝えて帰った。実家でのんびり過ごした後で家に戻り、後はどうにか。できるだけ家にこもらないように託児付の教習所に通った。2人で出かける自信もついたし、子どもも意思疎通ができるから楽しい気持ちも出てきた。その後転勤で他県社宅に入って以降はママ友や話し相手ができて、訳がわからなくなることはなかったよ』
子どもと2人でいることに疲れを感じたり、子育て自体が嫌になってしまうとママさんが辛いだけではなく、無意識のうちに子どもを危険にさらすこともあります。万が一のことが起きてからでは手遅れになってしまうので、実家に助けを求めるのも手です。また子どもと2人きりにならないように外出をしたり、ママ友を作るのもいいですよね。ママのストレスを溜め込まないようにする方法を見つけていくことも大切です。
子育てが辛かったらは逃げてもいい
「産後うつ」は決して他人事ではなく、誰でもなる可能性があります。このトピックをきっかけにして改めて過去を振り返ってみたのですが、筆者も「あのときは産後うつだったのかもしれない」と思い当たることがあります。長男が1歳になる前のことです。長男が夫と一緒にお風呂に入っていて、そろそろ上がるというタイミングで私が迎えにいくと、子どもが私にお湯をかけました。その瞬間カッとなって、無意識のうちに子どもにお風呂のお湯をかけ返してしまったのです。日中は子どもと2人で過ごしていて、イライラや疲れも溜まっていました。今思えば、あんなことでやり返すなんて……という些細なことなのです。すぐに夫がフォローしてくれたのですが、それからはできるだけ実家に戻ったり、夫に子どもをお願いするようにしました。筆者の場合、実家が近かったこと、夫も子育てに協力的だったことが幸いしたのですが、今でもあのときの光景は鮮明に覚えています。きっとこの先も、あのときの子どもの悲しそうな目を忘れることはできないと思います。
この経験からも、筆者は育児が辛い、子どもが可愛くないなどの気持ちが浮かんだら、そのときは子育てから逃げてもいいと思っています。少なくとも筆者は実家に逃げました。逃げたからこそ、あのとき以降子どもにカッとなることもなく、自分自身がひどく追い込まれることもありませんでした。また、産後うつを恥ずかしがらず、どんどん周囲に相談していくことも大切ではないでしょうか。電話ですぐに相談ができるホットラインを活用するのもいいでしょう。イライラや不安を吐き出すだけでも、気持ちは軽くなりますよね。子どもを傷つけてしまうと、筆者のようにずっと後悔することになってしまいます。「逃げてもいい」ということを忘れずにいてほしいと切に願います。
文・こもも 編集・blackcat
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