働く主婦が考える少子化の原因って?子どもの数によって意識の大きな違いも
子どもを育てるためにはお金がかかりますね。働くママにとっては保育園に安心して預けられるかどうかも子どもを産むときには重要な問題になるでしょう。ママの中には「もう一人、子どもを産みたいけど……」と思いつつもとさまざまな事情で諦めている人もいるのではないでしょうか。お金があれば、仕事があれば、夫がもっと家事育児に協力してくれれば……。
主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関しゅふJOB総研は先日、働く主婦713人を対象に少子化に関するアンケート調査を実施。その調査結果から、現代のリアルな少子化の原因を探っていきます。
働く主婦が考える少子化の原因は、子どもの数によって異なる
まずは、少子化の原因となっていることについて、さまざまな項目の中から複数回答可で答えてもらいました。
すると、7割以上の回答が集まったのは「子育てと両立しやすい仕事が少ない」(70.3%)でした。僅差で2位となったのは「子育てにお金がかかり過ぎる」(69.7%)となり、働く主婦たちは子育て費用を捻出する大変さを抱えていることがうかがい知れます。
「子育ての負担が女性に偏っている」(67.0%)という回答も、高い割合となりました。家庭での旦那さんとの子育ての分担が進んでいないケースもあるのかもしれませんね。
こうした少子化の原因について、子どもの人数別に比較すると次のような結果が見られました。
「子育てと両立しやすい仕事が少ない」と「子育ての負担が女性に偏っている」の項目について、子どもが2人以上の人よりも子どもが1人の人の割合が高くなっていることがわかります。
しかし「子育てにお金がかかり過ぎる」の項目では、子どもが2人以上の人が群を抜いて高い割合に。やはり子どもが2人以上となると学費や生活費などが大変になっているご家庭が少なくないのでしょう。
少子化は解決可能?不可能?
次に少子化について考えが近いものを選んでもらいました。
48.1%と約半数の人が「解決することが可能な社会課題である」と回答した一方で、34.4%の人が「解決することが不可能な社会課題である」と回答しています。
「解決することが可能な社会課題である」と回答した人の具体的な声を見てみると、
・解決は可能と思うが、とても難しい。なぜなら、日本社会の「常識」「ステレオタイプ」が深くかかわるから。男性だけではなく、女性の意識の問題も大きい(50代:2人以上)
・子は宝です。国として、子ども及び子どもを育む世帯を優遇する必要がある。それにより自ずと課題は解決できるはずである。それはばらまきの給付だけでなく、減税や学費援助等、世帯の所得を守るような政策により解決可能と考える(30代:2人以上)
・安心して預けられる場所が確実にあれば、仕事復帰できるから。若しくは夫の収入だけで教育費や老後費用の心配をしなくて良いなら。経済的な問題が解決すれば、私は3人でも4人でも産みたい(30代:2人以上)
・もっと子育てにポジティブな意見が、世の中に発信されて、物質的な豊かさだけが幸せではないという意識が広まれば、少子化も改善されそうと思うから(40代:1人)
といった意見がありました。国の子育て世帯への支援策や保育所の開設、男性の育児参加、賃金アップなどはもちろんのこと、個人の意識や世の中に発信される情報などに言及している人もいました。
ワンオペ育児ママの多さが少子化にもつながっている?
一方、「解決することが不可能な社会課題である」と回答した人の声も見ていきましょう。
・男性はもちろんのこと、女性ですら、家事と子育ては女性だけがするものと考えているのに、誰がどうやってこの社会通念を変えられるのだろうか(40代:2人以上)
・実際に出産、育児をしてみて辛いと思ったから。ワンオペ育児ママがかなり多い。世のパパの協力体制が弱すぎる。もう妊娠も出産もしたくない(30代:1人)
・仕事と子育ての両立は難しく、不妊で子どもが欲しくてもできない人もいるなど子どもをたくさん産むことができない理由がたくさんあり過ぎ、その解決はそう簡単にはできそうにないから(50代:1人)
・子どもがいない、いてもお金に困らず生活できる人たちだけで行う政治だから(40代:2人以上)
男女の性的役割分担や、意思決定権を持つ政治家たちが子育てのリアルに無縁な高齢男性で固められている政治の現状について諦めている人も少なくないようです。また、ワンオペ家事育児の辛さを吐露している人の絶望にも満ちた意見には、共感してしまうママも少なくないのではないでしょうか。
そもそも少子化ってどうして解決しなければいけないの?
最後に、どちらも2~3%と少数派だった「個人の自由なのだからそもそも解決する必要はない」と「社会問題とは思わない」と回答した人たちの意見もご紹介します。
・欲しければ、余裕があるなら作ればいい、余裕がないのに産むべきではない(40代:1人)
・社会問題ではあるが、まず大人一人一人が生きやすい社会を整えるのが急務(40代:いない)
・社会問題と捉えた所で、産む側やパートナーの意識が変わらないと何も変わらないのでは?(40代:1人)
中には「出産や子育てに縛られない生き方の多様化や、個々人の事情があるのだから皆にあてはまるようにルール化すべきではない」、「時代の流れだから少子化は仕方ない」、「少子化がどんな問題が起きるのか想像がつかない」といった意見もありました。
社会では「少子化を改善するために、子どもをたくさん産みましょう!」と叫ばれることがあります。一方で子どもを産み育てている当事者のママたちは、産みたくても産めない現状があったり子育てをする上で社会に対する不満を抱いたりすることもあるでしょう。こうしたリアルな声が詰まったアンケート調査を見て政治や子育て社会全体について考えてみると、それぞれのよりよいライフプランの選択に役立てていけるかもしれません。皆さんも今一度、「日本はどうして少子化なの?」「そもそも少子化って解決しなきゃいけないもの?」といった疑問を自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。
文・AKI 編集・しのむ