<結構知らない?車のエアコン>タバコにペット、こぼした灯油…臭いの原因はフィルターの奥にある!?
季節によっては車のエアコンをガンガンきかせることもありますが、ふと「なんだか空気が臭い」と感じることがあるかもしれません。エアコンのフィルターを交換しても臭いが残っているのであれば、その原因はフィルターだけではなく、エアコンのもっと奥にある機械にあるかもしれません。そこで今回も車のエアコンの上手な使い方について、栃木県那須塩原市で車の販売や点検などを行う「株式会社おまかせオート石川」の代表・石川博之さんにお聞きしていきます。
エアコンの空気が臭い。それはフィルターだけの問題ではないかも
――第1回で、エアコンのフィルターが汚れると臭いが出てくるという話をうかがいました。車内では具体的に、何の臭いがよく発生するのですか?
石川博之さん(以下、石川さん):喫煙者の場合は、タバコのヤニの臭いですね。車内でタバコを吸う際に窓を開けているならば多少軽減されますが、窓を閉め切った状態では車内のシートなどにも臭いがついてしまって、これがなかなか頑固です。いくら拭き取っても取れない場合もあります。
――シートにも……。フィルターを交換すれば、その頑固な臭いはいずれなくなるのでしょうか?
石川さん:フィルターを交換すると臭いは改善されます。ただ車のエアコンには、もっと奥の方にエバポレーターという機械があります。エバポレーターとは、蒸発機(あるいは熱交換器)のことで、気化熱を利用して空気を冷やす装置です。車内でタバコを吸うと、エバポレーターにもタバコのヤニなど臭いの原因になるものがついてしまうのです。他にホコリや粉塵などもつきます。ここが汚れているといくらフィルターを交換しても、臭いを綺麗に取るのは難しいですね。
――エバポレーターは、誰でも掃除ができますか?
石川さん:カー用品を販売するお店には、エバポレーターを洗浄するスプレータイプの洗浄液が置かれていることもあります。ただこのタイプの洗浄液で取れるのは表面の汚れだけです。エバポレーターを直接見て洗浄するわけではないので、きちんと洗浄液が届いているのかわからないことも多いですね。
――素人がそう簡単に洗浄できる場所ではないのですね。
石川さん:エバポレーターを丸ごと洗うとなると、業者さんでないとできないでしょうね。業者さんであれば、エバポレーターを全部取り出し、分解をして洗浄しますから、洗い残しもありません。
弊社でもエバポレーターの洗浄をしていますが2〜3回繰り返し洗浄して、ようやく汚れが取れるケースが多いです。1回目の洗浄で出た水は真っ黒。それだけ汚れがこびりついているということですね。このエバポレーターを綺麗にするとエアコンから出てくる空気がほぼ無臭になります。なお洗浄頻度は2年に1回くらいがよく、費用は3万円ほどです。
車内はペット、灯油の臭いも頑固
――ほかに、車の中でなかなか取れない臭いといえばなんでしょうか。
石川さん:動物臭や灯油の臭いです。ペットを飼っている方なら、ペットと一緒に車で移動することもあるでしょう。もし車内でペットが粗相をしてしまったら、その臭いはなかなか取れません。また灯油をこぼしてしまった場合も、シートやカーペットをスチームで洗浄したところで、臭いは残ってしまいます。
――シートの臭いが残ってしまうとのことですが、完全に取りきる方法はあるのでしょうか。
石川さん:臭いを完全になくしたいのであれば、シートを丸ごと取り替える方法もあります。しかしシート自体が高額になるケースもあるため、総費用を考えると難しいかもしれません。
車内は狭い密封空間です。予防しきれないペットの粗相や灯油はともかく、タバコは自分で防げる臭いですから、普段から注意をしておきたいですね。
(編集後記)エアコンのフィルターを交換しても臭いが気になるのであれば、奥にあるエバポレーターが汚れている可能性が高いそう。ここに素人がアプローチするのは難しいため、業者さんにお願いすることになります。エバポレーターの洗浄ができるかどうかはお店によって異なりますのでご注意ください。
取材・文 川崎さちえ 編集・ここのえ イラスト・猫田カヨ
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