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【奈良県 山下真知事 第1回】歴史ある土地で女性の社会進出。隠れた課題は?

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奈良県といえば、歴史的建造物や自然を感じられる公園がたくさんある観光地というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。奈良県は自然豊かで、子どもと出かける場所もたくさんある、魅力的な土地です。その一方で奈良県には、他の都道府県よりも根深い「男女の役割についての固定的な価値観」に関する課題があるといいます。

そういった奈良県では子育て世帯に数々の支援が実施されています。ママスタセレクトでは知事就任2年目の山下知事にインタビューを実施。奈良県ならではの子育て事情に迫りました。

※取材は2024年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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奈良県ってどんなところ?

――まずは奈良県の魅力を教えてください。

山下真知事(以下、山下知事):みなさまよくご存じのように、奈良県には数多くの歴史遺産、文化遺産があります。世界遺産に登録されている地区が3つ、「法隆寺地域の仏教建造物」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」があり、国内外の多くの観光客のみなさまが訪れてくださっています。今「飛鳥・藤原の宮都」を奈良県4つめの世界遺産とするべく、国からユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の方に推薦する候補としていただいています。同時に、奈良県は、住宅地としても人気を博しています。

※2025年1月28日、文部科学大臣より、「飛鳥・藤原の宮都」の推薦書をユネスコに提出することについて、閣議了解を得られたと発表がありました。

――般サイトの住みやすさを比較したランキングなどで、奈良県や奈良の市町村が人気の住宅地としても名前があがっているのを見かけます。

山下知事:奈良県は大阪府・兵庫県・京都府に近く、他府県への通勤がしやすい土地です。そのうえ大阪府・兵庫県・京都府の平野部ほど開発がされておらず、非常に豊かな自然と、水田を中心とする素晴らしい景観もあります。

専業主婦が多い奈良県の課題

――奈良県では子育て世代に関しての施策を進めていますよね。若い世代に関して、奈良県の課題は何でしょうか?

山下知事:奈良県は専業主婦の方の割合が多いです。女性の就業率も低く、人口あたりの保育所数が少ないという問題があります。保育所数が少ないということは、女性の就業の観点からすると、「お子さんを預けて働きに行きたい」というお母さんにとっては、マイナスになってしまいます。ただ昔に比べると人口あたりの保育所数は改善されてきています。

――なぜ奈良県には専業主婦が多いのですか?

山下知事: 理由のひとつとして、夫が他府県で働いているケースが多いことがあげられます。奈良県は通勤時間が60分以上の人の割合が全国で 4番目に高い県です。大阪や京都で働いている人が多いので、どうしても通勤時間は長くなってしまいます。
通勤時間が長いと朝に家を出るのも早く、帰りも遅くなるので、夫が保育園の送迎などをすることは難しいでしょう。夫が働いている間に、お子さんを預けて自分も働きに行こうと思っても、子育てに関する負担が偏ってしまいます。そうなると結局夫婦のどちらかが仕事を諦めて、子育てに専念せざるを得ないというケースがあるように思います。

その他の理由としては、女性が働きながら家事・育児をすることについて、理解ある高齢者親世代が少ないから、ということもあるかもしれません。

――ママスタセレクトの読者のなかには、「女性が働くことに対して義両親の理解が得られない」と悩みを寄せてくれる人もいます。奈良県でも似たような価値観を持つ人がいるのですね。

山下知事:県庁の職員でも、働きながら子どもを育てるにあたり、「自身や夫の両親の理解を得るのが難しかった」と涙ながらに話してくれる職員がいました。「女性である私は、仕事より家庭を優先すべきと周りから思われている」と感じている人も多く、これでは女性自身が「働きづらい」という気持ちを深めてしまいます。そこで奈良県では、まずは県からその価値観を払拭していこうと考え、女性の就業支援と子育て支援について、取り組みを進めてきました。

(編集後記)
奈良県ならではの、就業事情をうかがいました。同じように親世代から理解を得られないという経験をしたママは多いのではないでしょうか。今回の山下知事へのインタビューでは、奈良県ならではの課題と対策を4回にわたり特集していきます。

【インタビューをもっと読む】バスケットボール・河村勇輝選手、教育評論家・親野智可等さん、そのほか専門家多数

※取材は2024年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

取材、文・編集部 編集・いけがみもえ イラスト・うーにゃ

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