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玉城デニー沖縄県知事 第2回「沖縄県で広がる子育て支援、ひとり親への支援を聞く」

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前回からの続き。観光地として全国でも人気の高い沖縄。その一方で、県民所得は全国最低水準、生活保護の受給率やひとり親家庭の割合が多いなど、経済面での課題も見受けられます。沖縄県ではこのような問題解決にどのように取り組んでいるか玉城デニー(本名:康裕)知事にお話を伺いました。
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妊娠した女性へ、母子健康包括支援センターの取り組みは?

── 沖縄県では、妊娠した女性に対して今どのような取り組みをしていますか?

玉城デニー知事(以下、玉城知事):妊娠した女性が安心して妊娠中を過ごし、出産、子育てができるように、「母子健康包括支援センター」を各市町村に設置しようと進めています。現在1村のみアンケートで設置の予定がないとの回答がありましたが、それ以外の市町村では設置をする方向で動いています。

── 母子健康包括支援センターでは、具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?

玉城知事:たとえば妊娠期、出産前後、子育て期などに、お母さんたちの相談にのったり、情報提供したりしています。出産前の不安や、赤ちゃんが泣き止まない、生活が苦しいなどの相談に対して、保健師・助産師などの専門職が対応に当たります。

沖縄県としても各市町村と連携し、子育て中の保護者の声を一か所でまとめて受け止めて、責任を持って問題解決する取り組みを進めています。

こども医療費制度やバス通学費支援を実施

── 子どもは体調をよく崩します。医療費助成などは何歳まで補助がでますか?

玉城知事:これまで沖縄県のこども医療助成制度は、市町村によってばらばらでした。2022年4年からは通院対象年齢を中学校卒業まで拡大するとともに、中学校卒業まで窓口無料化(現物給付)としました。医療費が気になり、病院へ行くことを控えていた家庭も通いやすくなっていると思います。

── 中高生へのバス通学にかかる費用の負担も行っているそうですね。

玉城知事:非課税世帯など低所得の家庭の子どもたちに対して、バス通学等が無料でできる「沖縄県バス通学費等支援事業(バス・モノレール通学費支援)」を行っています。
家から学校まで通うのにバス通学等が必要になり、バス代にかかるお金をアルバイトで捻出するため勤務時間を増やす子もいます。そういった子は勉強する時間が取れず、結果的に成績が下がり希望する進学先に進めなくなる可能性があるのです。子どもたちが少しでも勉強に集中して、道を切り開いていけるよう支援を行っています。

ひとり親への総合的な支援も。窓口で相談してほしい

── ひとり親家庭に向けた支援はどのようなものがありますか?

玉城知事:沖縄県では、ひとり親世帯への支援として、無料の資格取得講座の開催や民間アパートを活用した生活支援、就労支援、子育て支援、子どもの学習支援など、ライフステージを通じた総合的な支援を行っています。まずは市町村の窓口で相談していただければと思います。そのうえで私たちは可能な限り支援の方法を考えていきます。
貧困問題は、各家庭の問題だけではなく地域、社会の問題でもあります。正規の仕事に就けない若い人たちもたくさんいます。これから結婚し、家庭を持つ人たちへ支援を行うことで生活基盤を安定させ、子育てがしやすい環境を整えていくことも、我々行政の役目だと思っています。こちらも各市町村と連携しながら取り組んでいます。

(編集後記)
全国ニュースなどで耳にする「貧困問題」。沖縄県では、各市町村と連携し、相談施設の増設や経済支援、お仕事支援など一丸となって取り組み、今後も親子が安心して暮らせる沖縄を目指していくということでした。
第3回では沖縄県の「地域ぐるみで子どもを育てる文化」について伺っていきます。

第3回へ続く。

※本記事は2023年8月に取材を行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

取材・編集部 文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子 イラスト・ゆずぽん