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本当に「専業主婦」は楽なのか

こんにちは、斗比主閲子です。

ママスタさんから、こんなお題をいただきました。

最近ママスタFacebookでは「専業主婦 = 楽?」というテーマで非常に議論が盛り上がっていました。
https://www.facebook.com/mamastar.select/posts/983263141709866
このあたりのテーマで斗比主様に切り込んでいただけないかな、と考えていたところでした。

紹介されたFacebookのページを見てみると、専業主婦とワーキングマザー(WM)のどちらが楽だとか、どちらが大変だとかそういう比較をすることに対する憤りコメントが数多くありました。

私もこのコメントには賛成で、どちらかをくさすような単純比較は意味がないと考えています。しかし、巷では専業主婦が楽ではないかという話題は昔からされていますし、特に最近はよく見かけるような気がします。

ということで、なぜ最近専業主婦が楽だという話が話題になることが増えているのかといったところから、はたして専業主婦は本当に楽なのか等を考えてみたいと思います。

専業主婦の比較対象は「夫→WM & 過去の専業主婦」に

専業主婦が楽なのではないかという議論は昔からされていました。その際の比較対象は、もっぱらフルタイムで働く夫とのものでした。夫は外で苦労しているのに、妻は家でぬくぬくしているという描写は、ドラマや小説など多くのフィクション作品で見かけたものです。

これが最近は、夫というより、WMとの比較が多く見かけるようになりました。背景としては、皆さんご存知の通り、ここ10年ぐらいでWM世帯が増え、専業主婦世帯が減ったからだと考えられます。女性の選択肢としてもそうだし、社会的にもWMの存在が当たり前になっています。

加えて、効率的に家事ができる電化製品の登場、惣菜や冷凍食品の普及、子育て人数の減少ということから、昔に比べて専業主婦業は楽になったという見方もあるでしょう。

楽か楽ではないかというのは、何かとの比較で行われるものです。それが、働いている男性に限らなくなったというのが、専業主婦が楽かという話題が以前より多く聞かれるようになった背景ではないでしょうか。

専業主婦の辛さを測る軸としての「仕事の内容」「賃金」「人間関係」

では、はたして、今の専業主婦は楽なのでしょうか。

一般に仕事の苦楽を測る軸としては、仕事の内容が本人に合っているか/楽しいか、賃金が適切か、人間関係で問題がないかというものがあります。

専業主婦も一つの職業形態と言えますから、この軸でどれだけ大変かどうかを考えてみると、必ずしも楽ではないというのが見えてきます。

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まず、仕事の内容としてはやって当たり前と思われることから評価がされない傾向があります。次に、賃金は毎月それなりの金額が安定して自由になることはあまりありません。そして、人間関係は一緒にいる人が固定されるため、夫や子どもはもちろん、姑などと良い関係が築けないと逃げ場はない。

専業主婦は元々はっきりした評価が得られない傾向があるんですよね。家の中という密室での仕事が大半だから、外界との接点も乏しくなり、気持ちがどうしても内向きになる。

育児や介護がほとんどない専業主婦業であれば時間的には比較的余裕があるでしょう。ただ、時間的に余裕があれば、その状態が楽かというと、そういうわけではありません。誰にも評価されない仕事を続けるのはキツいものです。

そして、現実には育児に関する家事は減ったとしても、今度は介護が専業主婦の大きな仕事としてのしかかっています。介護は育児以上にやりがいを感じにくい傾向があります。仮に、姑の介護をしても、専業主婦をしている嫁に相続財産が遺されるとか、生前贈与がされるというのはほとんど聞かないように、経済的なリターンもあまりありません。

苦楽は本人が判断するもので、他人が決めつけるものではない

物事の苦楽をどう捉えるかというのかが人それぞれというのもあります。

箸の上げ下ろしさえ苦痛だと感じる人は極端だとしても、外から見て楽にやっているように見える人が必ずしも本人が楽かというとそういうことではありません。物凄く大変な仕事もそれを楽しむ人はいます。そういう人に「大変ですよね?」と声をかけても本人は当惑するものです。

物事をどう捉えるかは個人の判断であり、他人がとやかくいうものではありません。

専業主婦批判をしても幸せにはなれないが、溜飲は下げられる

そう簡単に専業主婦が楽だとは言えない一方で、それでも「専業主婦は楽だ」として、専業主婦をくさす人はいます(具体的に特定の人物を楽で羨ましいと言うこともある)。

こういう人の心理にあるのは隣の芝生が青いという発想です。今の自分の生活が上手くいっていないから、他人と比較して、他人下げをすることで自分上げをする。

だから、専業主婦が楽だ、WMが楽だとか言って他人の状況を外から勝手にああだこうだ言う人がいたら、「ああ、そういうことをしないと自分の心を安定させられないんだな」と考えるといいと思います。ムキになるのは損です。

おわりに

最初の方で触れた通り、WMが一般的になっていますから個人の判断として、専業主婦とWMのどちらを選択するか比較検討するのは特に不自然なことではありません。自分にとってどちらが向いているかを検討するのはとても重要なことです。

ただ、そうして専業主婦を選択した人を、外野から楽をしているのではないかととくさすことは生産性がありません。先に書いたように、人それぞれの部分が大きいですし、受け止め方も千差万別ですから。

なお、専業主婦とWMの比較という観点では、単純に短期的な労働負担の大小よりも注目すべきは、家庭内不和に遭遇した時のリスクヘッジが可能かだと私は考えています。

日本では、一旦専業主婦になり、経歴に空白期間が生まれると、その後それなりの給料を安定して得られる仕事を見つけるのが難しい傾向があります。たとえ夫との関係が悪くなったり、経済的DVを受けたりしても、経済的な自立が困難であると、夫に依存せざるをえなかったり、離婚を選択できなかったりします。

結婚した三組に一組が離婚をし、大企業でも頻繁にリストラがされるようになっています。家庭の主軸が一本ではリスクがありますから、専業主婦を選択する際は、主軸に何かあっても家庭が成り立つか、自分は自立できるかを検討するのは重要なポイントだと考えています。

文・斗比主閲子

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