【後編】<低学年ママの悩み>家で遊ぶ子ども、親同士の価値観の違いにモヤモヤ……親も成長が必要!?
前回からの続き。新型コロナウイルス流行が落ち着くにつれ、やっと子どもたちも気兼ねなく一緒に遊ぶ約束をできるようになりました。一方で、特に小学校低学年のお子さんをもつママたちは「子ども同士の約束のあやふやさ」や「行き帰りの安全」などが心配なんだとか。そこで今回は、ともに低学年の女の子を持つママたちに「おうち遊び」について語ってもらいました。
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井伊さん:小学2年生の女の子ママ。家族3人で暮らしている。何かと気を揉みがち。「娘と同学年&第一子」ママ友ばかりのため、異年齢(とくに娘より年上)の情報を知りたい。
花田さん:小学校2年生の女の子ママ。地方都市在住。井伊さんと同じく家族3人暮らし。小学校の放課後クラブで月一回程度ボランティア活動をしている。
小野さん:小学校3年生の女の子ママ。娘が幼稚園の頃に都内から地方への移住し、子育てにおける地域性の違いを痛感している。自他ともに認める心配性。
親同士が連絡を取りあえないと……あわや大ごとに!
井伊さん:うちは基本的には「親同士が連絡を取れる」ことが“一緒に遊ぶ条件”ですが、皆さんはどうですか?
小野さん:うちもそう。連絡取れない場合はまだ不安。
井伊さん:実は以前、「遊びに来ることを親に言ってきた」って嘘ついて来た子がいて。
花田さん:えぇ!?
井伊さん:「ママに言ってきたの?」って確認したら「ママは仕事でいなかったけど、パパがおうちで仕事してたからパパに言ってきた」。私はパパの連絡先を知らなかったけど、でもママが仕事だったら連絡取れない。けど「まぁうちで1時間遊ぶだけだから連絡しなくても大丈夫かな」って軽く考えてOKしたんです。ところが仕事から帰ってきた先方のママは、「習い事の時間が近いのに子どもがいない!」って探し回ってたみたいで……。
小野さん:そもそもパパは家にいなかったの?
井伊さん:いなかったんですよ。しかも運悪く私が子どもたちから目を離したときに、その子がわが家の猫を触った手で目をかいちゃって。どうやら毛が目に入ったみたいで赤くなって……。猫アレルギーはないと親御さんから聞いてはいたんですけど、もう私も「どうしよう!」となって。さらにその子のキッズ用ケータイは充電切れ……。結果的にママに連絡取れて、目も大丈夫で、大ごとにはならなかったんですけど想定外でした。
花田さん:その子の親御さんの反応は?
井伊さん:うちの子が迷惑をかけて申し訳ないって平謝りでした。でも、うちも申し訳なかったなって。短時間でも子どもを預かる怖さを痛感しました。まだまだ油断できない。
小野さん:アレルギーとか、一人で家に帰れるかどうかとか、いくら子どもが「大丈夫!」って言っても、どこまで信じていいのか不安。
花田さん:私自身、小学校低学年のときにいつもとちょっと違う場所まで遊びにいって「一人で帰れる?」と言われて「大丈夫!」って言ったけれど、結局迷ってしまった経験があるんですよ。そのときは本当に「大丈夫」と思ったけれど、根拠はないんですよね。
小野さん:そうそう、根拠がないのよ(笑)。
まだまだ危うい子どもたち
「親に言ってきた!」と嘘をついてしまったお子さんも、しっかり反省したのではないでしょうか。遊びたい気持ちが先に立ってしまったのだろうなと思うとちょっと切ないですが、何かあったとき、相手の親御さんに連絡が取れないのは不安ですね。子どもの「大丈夫」……あなたはどこまで信じますか?
もし帰り道で何かあったら……と思うと不安
小野さん:すごく近くのおうちのお友だちでも、「もしうちから帰る途中で何かあったら……」と思うと不安でたまらなくて、結局その子のマンションのエントランスまで送っちゃう。その子のママは「一人で帰してもらって大丈夫だよ」って言うけど……。
花田さん:ちょうど夕方は道も交通量が多かったりするし。
小野さん:でも私がそうすることで先方も気を遣っちゃって、下のお子さんがいて大変だろうにエントランスまで下りてきてしまうんですよ。それで向こうのママに見つからないようにコソコソ隠れながら送るけど、子どもたちが「バイバーイ!」って言い合ってるからばれちゃう。
井伊さん、花田さん:(笑)。
小野さん:結局、「送らなくていいからね」って念を押されちゃって。
井伊さん:でも自分のためにやってるんですよね。
小野さん:そうそう。心配の度合いって人によって違うんだなって。
花田さん:「ここまでだったら大丈夫」って人によって違うよね。
小野さん:そう! 先方に「いいよ、もう、勝手に帰らせて」と言われても「いいよ、わかった!」って言えない。
井伊さん:私もそんな感じなので、旦那は過保護って言うんです。よそのお子さんに対してはまだわかるけど、自分の娘にも「自分で帰っておいで」って言わないの? いつまでたってもずっと見るの? って。同じ家族でさえも意見が割れるんで……。
小野さん:私も自分が神経質だとわかってるけど……なかなかね……。
井伊さん:子どもの行き来から親同士の価値観の違いって浮彫りになりますね。
花田さん:子どもが男の子か女の子かによっても、心配の度合いが違うかも。
小野さん:地域性もありそう。
心配の度合いは人によって異なるからこそモヤモヤ
交通量が多すぎても少なすぎても心配だし、もし帰り道に不審者に狙われたら……などと考えると不安は募るばかり。しかし一方で「もう〇年生だし」「近くだし」と考える人もいるでしょう。それに下に小さなきょうだいがいると、上の子はしっかりしているように見えがちです。それぞれの家庭や個人によってこのあたりの感覚が違ってくるので、正解を見つけるのは難しいですね。
「子ども同士の約束」で親が悩まなくなるのって、何年生から?
井伊さん:家に呼ぶ呼ばないで親が悩まなくなるのって、いくつくらいからなんだろう。外で勝手に遊んでくるのって。
小野さん:知り合いは「自転車で勝手に公園に行って、適当に帰ってくるのを許したのは小3から」って言ってたけど……。
井伊さん:マンションの中庭だったら遊ばせに行くことはあるんですけど、外の公園はまだ厳しいかな……。
花田さん:マンションの敷地内なら利用する人が限られるから、ある程度安全が保障されてますもんね。
小野さん:逆に積極的にお友だちをうちに呼ぶってママもいるよね。自分の目が届かないところで、わが子がどんな粗相をしてるか心配だからって。
井伊さん:私が子どもの頃って近所のお兄さんお姉さんを見ていて、なんとなく「これくらいから自転車乗って遊びにいって……」とか自然にインプットされてた。でも、いま私の周りにそういうのが一切ないんですよね。これからどういう風に成長していくのかわからなくて。
小野さん:何歳になったらこういうことができて、何歳になったらこれをやらせてよいっていう目安がない。親もわかってないんですよね。自分が子どもの頃と環境が全然違うし。
花田さん:私は小学校の放課後クラブの係に月イチくらいで行ってるんですよ。それでいろんな学年の子を見るようになって、「ああ、こういう感じなんだ」ってわかるようになりました。〇年生の勉強や遊びってこういう感じなんだって。
井伊さん:なるほど!
花田さん:1年生2年生は先生にもタメ口だし(笑)、大人に「かまって、かまって!」ってくるけど、3年生以降になるとだんだん大人のことはどうでもよくなるみたい。友だち同士で「あっちいこ」ってなる。
小野さん:子どものほうから線を引かれるのかな。そういうタイミングで、子どもの手を離してもいいかなってなるんだろうね。
花田さん:そうそう!
井伊さん:ちょっと寂しいけど、そこは成長ですよね。いまは娘が自分の視界に入ってないと不安ばかりで。怖いニュースばかり目に入ってきちゃうし。私自身が手を離す準備ができてない。
小野さん:ずっと親がぴたっと張り付いて、親が判断してだったら、結局それって親の言いなり……。
井伊さん:親が手綱を握ってたいというか、私が安心していたい。そう考えると親の成長が足りないのかも……。
花田さん:子どもにどれだけ許すかを考えがちだけど、親がどこまで容認していくか、子どもに成長の機会やヒントを与えていくかを考えなきゃ。
小野さん:さっきの花田さんの話で、中学年以降になると子どもも成長して、ちょっと今の状況から変わっていくのがわかってよかった。それまでは、おうち遊びも周りと調整しつつやっていこうかな。
花田さん:親によって「大丈夫」の基準が違うのは仕方ない。そこは否定せずに自分なりの緩め方をもって、親子で「ちょっとここまでやってみよう」っていうのはないとだめかな。ずっと締めとくじゃなくて自分なりに広げていかないと、と思いますね。
井伊さん:私の価値基準でしばっていると、きっと娘も窮屈なはず。娘の行動範囲を広げる心がけをしなくちゃいけませんね。
手を離す時期はもうすぐ?
おうち遊びにモヤモヤしつつも、子どもだけで親の目の届かないところへ遊びに行くことを思うと不安が募るママたち。“子離れの一歩”を前に、心の準備ができていないことに気付いたようです。「少しずつ、自分なりに」親も成長していかなくてはいけませんね。
この時代だからこその悩み?でもずっと続くわけではない
コロナ禍で子どもたち同士が遊ぶ約束をする機会が少なかった、ここ数年。それはママ同士のやり取りも少なかったことを意味しているのでしょう。子どものおうち遊びを通じて、親同士が互いの価値観や安全基準が違うことを改めて痛感しているようです。
またお互いに連絡がマメに取れるようになったからこそ安心な部分もあれば、メッセージひとつに気を遣うことが増えて疲れることもあるんだそう。LINEなどがなかったママたちの親世代とは、ずいぶん事情が異なります。「何をお手本にすればいいかわからない」という嘆きもありました。
ただ座談会で話しているうちに、この「おうち遊び」がいつまでも続くわけではないと気付いたママたち。それは新たな心配の始まりかもしれません。でも子どもが親から離れていくのは成長の証でもあります。親もわが子とともに成長していけるように……そう気づいただけでも大きなステップだと思いますよ。
インタビュー、文・千永美 編集・Natsu イラスト・Ponko
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