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【前編】食物アレルギーの子どもの転校。同じ自治体でも学校の対応が違う場合があるので注意!

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筆者の息子は、乳幼児期から食物アレルギーがあります。高校生になった今も、卵・エビ・カニ・イカ・タコ・貝類は食べられません。わが家は転勤族のため、引っ越すたびに転校先に給食のアレルギー対応をお願いしなくてはいけませんでした。息子が通った小学校は2校、中学校は3校。対応の仕方は、行く先々でかなり異なりました。

地域で違う給食の食物アレルギー対応事情について、筆者が体験してきたことをご紹介します。お子さんにアレルギーがあり、なおかつ転校の可能性があるご家族へ、ご参考になれば幸いです。

転校が決まったら、まず確認すべきこと

文部科学省は学校現場に対し、各アレルギー疾患について、公益財団法人日本学校保健会が発行した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づき対応するように求めています。しかしこれらはあくまで学校や調理場の状況に合わせた対応を求めたものであり、実際には設備面や人員の配置など各自治体によって状況は異なります

また同じ自治体内でも、学校によって対応が異なる場合があります。校内・校外(給食センターなど)の調理場によって設備が異なるためです。実際わが家でも「あっちの中学校を担当する給食センターはアレルギー対応をしてくれるのに、うちの中学校を担当する給食センターはしてくれない」という場合がありました(設備が古かったためと思われます)。また生徒数の増減や給食センターの改築などによって担当センターが変更になる場合もありました。

わが家の場合は基本的に「学校の対応に家庭が合わせる」スタイルでしたが、もしアレルギー対応が充実している学校を望むのであれば、ネット上の学校の口コミなどを鵜呑みにせず、転入先の学校もしくは役所の担当部署に直接確認することをおすすめします。

転入前にわが家が準備したもの

転居が決まったら、転校先に電話で転入希望を伝えます。その際に必ず「息子に食物アレルギーがあるので、必要書類について教えてほしい」と申し出るようにしていました。「転入してから説明しますよ」と言われる場合もありましたが、「できるだけ早くアレルギー対応をお願いしたいので、前もって書類を準備していきたい」と伝えました。医師に書類を記入してもらうには引っ越し先で新たにアレルギー専門医を探す必要があり、すぐには予約が取れない場合も多いからです。引っ越し前に、それまでのかかりつけ医にお願いして書類を用意していきました。

自治体によって異なる場合もありますが、どこでも必ず持参するように言われたのが医師に記入してもらった「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」。学校生活管理指導表は医師の診断書代わりともいえる書類です。この書類で学校側に、学校での対応が必要であることを伝えることができます。

注意しなければいけないのは、「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」は○○県版・△△市版など自治体によって仕様が異なる場合があることです。引っ越し前の自治体の学校生活管理指導表で問題ないか確認が必要です。もし転入先の学校生活管理指導表の様式に沿う必要がある場合、前もって準備するためにはその自治体から様式を取り寄せなければいけません。わが家の場合はどこも引っ越し前の自治体のものでOKと言われましたが、「この項目は記入必須」など細かい注意点を伝えられることもありました。

書類を用意していけば、転入手続き後、比較的早い段階で学校側とアレルギー対応の面談をしてもらえます。一番早いときは2週間後から対応食を出してもらえました(ちなみに一番遅かった学校は2ヶ月近くかかりました)。その後、夏休みなど比較的時間に余裕がある時期に新しいアレルギー専門医にかかるようにしていました。

【体験談】丁寧に対応してもらえた小学校時代

原因となる食物を給食から除いた給食を「除去食」、除去での対応が難しい場合に何らかの食材を代替する給食を「代替食」といいます(例:いかフライ→鶏の唐揚げに変更)。「除去食」、「代替食」の対応は学校によって異なりました。

息子の小学校入学当時のアレルゲン(食物アレルギーの原因食物)は、卵(魚卵含む)・エビ・カニ・イカ・タコ・貝類・ソバ・ナッツ類・トロピカルフルーツ類とかなり多め。しかし通った小学校2校はどちらも校内に調理場があり、細やかに対応してもらえました。

また息子の場合は給食でアレルギー症状が出た場合に備え、医師から処方された内服薬を持たせていました。

A県(校内に単独調理場。除去食・代替食あり)

毎月下旬になると、次月の献立と一緒に原材料などが表記された資料一式が子ども経由で渡されました。すでに栄養士の先生がアレルゲンが含まれるメニューにチェックを入れてあり、漏れがないか保護者がチェックするシステムでした。

B県(校内に単独調理場。除去食あり・卵のみ代替食あり)

転入後、最初の面談のときに栄養士の先生から「早速4月の献立のアレルゲンを確認してもいいですか?」と言われ、その場で一緒にチェックしました。その様子を見ていた校長先生が「毎月、直接会って一緒にチェックしたほうがいいでしょう」と提案してくださり、月に1回の面談を継続することに。栄養士の先生も「仕事の関係などでお会いできない保護者さんもいらっしゃるんですけど、直接お話しできるほうが私も安心です」と言ってくださり、対応をお願いする立場の保護者としては本当にありがたかったです。

B県としていますが、実はこの時期わが家が住んでいたのは、それまで所縁のなかった沖縄県。「うっちんライス」「ミヌダル」「中身汁」「マース煮」……メニュー名を見ただけではさっぱり分からない郷土料理もよく出てきました。またナーベラー(ヘチマ)やパパイヤなど、今までおかずとして口にしたことがない食材も……。そういった見慣れぬメニューについて、事前に栄養士の先生に詳しく教えてもらえたので安心につながりました。私自身も沖縄の食文化についての知識が増え、息子と学校に感謝しています。

小学校を卒業する頃には、魚卵・ソバ・ピーナッツ・トロピカルフルーツ類が食べられるようになり、貝そのものはダメでもオイスターソースは使用可能になりました。

しかし中学校入学と同時に給食センターからの配食となり、かなり事情が異なってきたのです……。

後編へ続く。

文・千永美 編集・しらたまよ イラスト・きたがわなつみ

※この記事は、2019年頃までの出来事を元に作成しています。

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