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【後編】子どものいのちを守るために、今あなたができること

pixta_64855035_M前回の記事では、「災害=見えない敵」と仮定し、災害に備えるための具体的なステップ、そして避難所のリアルについてご紹介しました。そのうえで、やはり気になるのは自分たちにできる備えのこと。備蓄や防災リュック、そして家の整え方について防災ママカフェ®代表のかもんまゆさんに聞いていきます。

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まずはリビングと寝室を中心に。自宅に「安全地帯」を確保しよう

かもんまゆ(以下、かもん):災害時、乳幼児がいる場合はできるだけ避難所には行かず、自宅で過ごせればベストです。たとえ免震マンションに住んでいたとしても、部屋中ガラスまみれになってしまったら家にいることができなくなってしまいますので、平時からわが家を安全な場所にしておくことが大切です。まずは比較的長時間過ごす寝室とリビングの安全を確保してもらえればと思います。

基本は「倒れてこない」「動かない」「落ちてこない」ように家具を留める

直下型地震で亡くなる理由のほとんどが「家屋の倒壊」「家具の転倒」です。家具や大型の家電(冷蔵庫やテレビなど)が倒れてこない、動かない、落ちてこないように、ストッパーや金具などで固定しておきましょう。開き戸や引き出しもフック等を利用して留めておくことです。

「何も置かない」安全なスペースを確保

また部屋の一角に何も置かない安全なスペースを確保しておきましょう。このとき窓のそばではない、上の棚に落ちてくるものがないかなどもチェックして。地震の揺れを感じたら家族みんながその「安全地帯」に逃げ込む習慣をつけておくといいですね。

危険なものを減らす

地震が起こるとすべてが凶器と化します。地震が起こると停電し、掃除機は使えなくなるので、ガラスや陶器などの割れ物は極力減らし、食器棚は開かないようにしておくこと。プラスチックなど落ちても割れないアイテムを選んでおくのもひとつのアイデアです。また逃げることを考えて、ドア周りや階段周辺には物を置かないようにすることも重要です。

寝室には何も置かない

寝ている間に地震が来たら、起きているときのようには動けません。2階建ての場合はできるだけ2階を寝室として使いましょう。ベッドや布団はガラス窓や重たいエアコンの下から離れた場所に。極力家具を置かないことも重要です。できなければ、倒れる方向を考えて設置を。また枕元には常に懐中電灯やLEDのタッチライト、スリッパや靴、ホイッスルなども用意しておきましょう。

これらの準備は、災害が起きたその日にすることではありません。普段から災害を想定して、家の中を整えておく必要があるということですね。定期的に家の中をチェックするなども必要かもしれません。たとえばですが衣替えの季節に、家じゅうのものを点検して、家具や家電を移動する、不要なものは処分するなどの対応もしておくといいのではないでしょうか。

家族に「今あるものしかあげられない」としたら、わが家の備えは大丈夫?

かもん:次は備蓄についてです。備蓄のカギとなるのは「今、自宅にあるものしか家族に与えられない」「今買えなくなると困るものかな?」という視点を持つこと。避難所の備蓄品に期待するのではなく、自分たちで備えておくことが何よりも重要です。

道路が寸断されれば物流が途絶え、たとえお金を持っていても長時間行列に並んでも、お店に品物は何もない状態が長い期間続くことになります。避難所に行けば水や食べ物はもらえると思っている人が多いですが、避難所に行けても配給は長蛇の列。何が届いているのかもわからないので、すぐに必要なものをもらえるわけではありません。赤ちゃんを抱っこして、あるいは小さいお子さんの手を引いて、何時間も列に並ぶことができるでしょうか?

非常食についても、大人は「非常時だから「明日来るかわからないから今食べておこう」と頭で食べることができますが、小さな子どもたちは地震だろうが何だろうが、まずいと思えば食べないし、食べ慣れないものは食べなかったそうです。

購入の目安は「今、買えなくなると困るものは少し多めに」

じゃあ何をどれくらい買えばいいの? ということになりますが、今家にあるものしか家族にあげられないとしたら、「ちょっと足りないかも」「ちょっとこれじゃあ心配かも」と思うのであれば、「今、買えなくなると困るものは少し多めに」買っておくクセをつけてほしいと思います。日々、子育てに奮闘していると、つい「明日でいいか……」と後回しにしてしまうこともあると思うんですが、その“明日”が“災害に遭わない日”とは限らないのです。「昨日スーパーに行っておけば」「昨日粉ミルクを買っておけば」「昨日水を買っておけば」そんな後悔をしなくて済むように、できることはやっておきましょう。

防災リュック、女性が持てる量は約10キロ!両手が空くことで助かる命がある

女性が持てる防災リュックの量は、なんと10キロ程度が限度だそう。赤ちゃんが5キロなら、荷物は5キロということ。あれこれバッグに詰め込みたい気もしますが……?

かもん:防災リュックの目的は、何よりも「逃げられる」リュックであること。災害時には高台に逃げたりする場面にも遭遇します。そのとき両手を空けておくことが、生死を分けるといった場面も実際にあるので、肩に掛けたり手に持ったりするバッグではなく、両手の空くリュックであることが必須です。同じく、赤ちゃんをしっかりと抱っこ紐などでママの身体にくくりつけておくことも重要。

リュックに入れるものは、「あると家族が安心できるもの」

備蓄や防災リュックの中に入れるものは、「あると家族が安心できるもの」という視点で考えてみることが大切。よく食べる子がいるなら、食べ物を多めに。きれい好きなご家族なら除菌シートや歯ブラシ、紙パンツなどの衛生用品を入れておくことで避難先でも安心させることができるかと思います。

地震はごく当たり前に起き続けている自然の現象。正しく恐れることが大切です

ママが災害への備えについて知ると同時に、どのように子どもたちに伝えていけばよいのかも気になるところ。かもんさんは「災害をタブー視しない」ことが大切だと話してくれました。

かもん:災害への備えについては、前回「災害=敵」と仮定して3つのステップの備災の話をしましたが、本当は自然災害は私たちの敵、というわけではありません。子ども向けの防災ワークショップでは「地球は生きている」「地震は地球のくしゃみのようなもの。毎日当たり前に起き続けている自然現象なので、止めることはできないもの」と説明しています。いつもたくさんの恵みをくれ、ときどき荒ぶる自然と共に、私たち人間が楽しく生きていくにはどう備えればいいかという視点を持たせることが大事です。

「質問ごっこ」「想像ごっこ」で、親子で考えるきっかけを

また実際の場面を想定した「質問ごっこ」「想像ごっこ」もおすすめです。「校庭で遊んでいるときに緊急のサイレンがなったらどうする?」「ママがいないとき、家で地震が起きたらどうする?」「学校のどこで待ち合わせる?」そうやって質問することで考えるきっかけを与えることができるんです。大人だからって震度7を体験したわけでもありません。子どものほうがいい意見を出してくれることもしばしばですし、子どもが「何がわかっていて、何がわかっていないのか」を知る機会にもなるので、しっかり耳を傾けてほしいと思います。

編集後記~今できることを後回しにしない、大切ないのちを他人任せにしない~

どこの被災地でもよく聞かれる「あのとき、こうしていればよかった……」という後悔の言葉ではなく、「あのとき、こうしていて本当によかったね!」そんな会話をしたい。と語ってくれたかもんさん。そのために今、私たちにできることはたくさんあります。「災害」をタブー視しないこと、そして敵を知り、適切に備えること。ママひとりで抱え込む必要はありませんが、ママの意識の変化がパートナーや家族を変え、ひいては家族の未来を変えていくのだと思います。

「何をどれくらい備蓄したらいいですか?」「防災リュックには何を入れておくべきでしょうか?」そんな疑問が生まれる気持ちはよくわかります。でも、どれだけ情報を収集しても防災に正解はなく、わが家にぴったりの答えは他人が導き出すものではないのです。災害という生死を分ける緊急時だからこそ、正解を他人に求めず、自分たちが納得できる備えを見出すという視点が何よりも必要だと感じます。

また子どもたちとともに学び、一緒に考えていくという姿勢も必要です。園や学校などで学ぶ機会があったとしても、大好きなママの言葉ほど子どもに染み込むものはありません。「あのときママがこう言っていたから」そのひとことで救える命がきっとある。守りたい命があるからこそできることを、今日からスタートしませんか?

取材、文・一ノ瀬奈津

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