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【前編】緊急避妊薬が薬局で買える時代へ。子どもに正しく使ってもらうために

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性交直後の服用で妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」。この薬について、医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにする方針を政府が固めたとの報道がありました。そもそも緊急避妊薬ってなに? もし使ったらどんな影響があるんだろう? 悲しい思いをする女性が減るのはいいけれど、もしかして安易な使い方をする人が出るのでは……? そんなふうに感じた人もいるのではないでしょうか。

そこでママスタセレクト編集部では、「緊急避妊薬が、医師の処方箋なしで買えるようになること」について座談会を実施。性行為に絡む話ではありますが、現役ママとして疑問に思ったことや体験談を正直に語り合いました。

「緊急避妊薬が薬局で販売」の報道。最初に聞いてどうだった?

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とう子:そもそも緊急避妊薬が薬局で販売されることになるってご存じでしたか? あまり報道されていないような……。
ひょう:ですよね! 恥ずかしながら私も販売されることを報道で初めて知りましたし、もっと言うとじつは緊急避妊薬についてもあまり知らないです。

◆緊急避妊薬とは……
緊急避妊薬(別名:アフターピル)とは、望まない妊娠を避けるため、性交渉から72時間以内に服用することで妊娠を防ぐことができる薬です。100%の効果が望めるわけではありませんが、かなり高い割合で防げると言われています。
使用シーンとしては、性行為中にコンドームが破れた場合、デートレイプを含む性犯罪などが関係する場合など。また緊急避妊が必要なのに、地方において産婦人科を受診しにくい状況や、性被害などの場合は受診をためらうなどの状況が想定されることから、緊急避妊薬の薬局での販売が検討されてきました。
ただ「薬局で買えることになれば、他の適切な避妊がなされなくなるのではないか」などの懸念もあります。
(参考:COML 会報誌 2019 年 6 月号 <No.346>より 参考資料5、緊急避妊に係る取組について|厚生労働省)

あい奈:もともとは性犯罪も含めて望まない妊娠を防ぐための薬なのですが、ネットでは「緊急避妊薬が安易に使われるのではないか」という話題が盛り上がっています。

「避妊に失敗しても緊急避妊薬があれば安心」と軽く考えそう?

あい奈:薬局で買えるようになるので、お付き合いの中で性行為があったとして、避妊をせず、「この緊急避妊薬を飲んでおけばいいや」という考えの人が出ないか心配ですよね。
とう子:あ~それは嫌ですね。もし私の息子が、「何かあっても彼女に緊急避妊薬を飲ませればいいや」なんてことを言ったら、「それはクズだ、絶対ダメ」と叱ると思います。
あい奈:避妊をしっかりすること、基本はコンドームなんだぞ! とまず教えておきたいですよね。
とや香:そうですね。ただ緊急避妊薬の存在を男の子が知ってくれるだけでもいいと思います。何かあったときに、自分の中に知識があるかどうかで次の行動が変わりますから。

望まない妊娠を防ぐのも、女の子ばかりが負担になる?

ふく代:女の子の親としては、もしわが子が性行為で避妊に失敗して親にも言えず、彼氏に言われて1人で薬を泣く泣く飲んでいたら……と想像するだけで、辛いです。
とや香:そうですよね、女の子ばかり負担になるかもしれませんよね。先日も、望まない妊娠の末に生まれた赤ちゃんを遺棄したお母さんだけが罪に問われて、男はとっくに逃げていた……という報道を見ました。お父さんの責任は? って。
あい奈:聞くだけで痛ましいですよね。そういえば私の妹が、性行為中にコンドームが破れて私に相談してきたことがありました。妹も彼氏も真っ青で……でも彼氏は逃げず、妹と一緒に産婦人科へ付き添いました。結果なんともなかったのですが、その彼氏は今、妹の夫です。彼は避妊に失敗してもちゃんと責任を持って次の行動が取れていたので、妹のことを大事に考えていたんだなと思います。
とう子:それくらい女の子の体を気遣って、誠実であってほしいですよね。

もし緊急避妊薬を使うとしたら……

ひょう:緊急避妊薬を薬局で購入するには、薬剤師と対面での服用が条件(※)になっていますね(2020年10月8日時点)。
とう子:今は購入にあたってのチェックがありますが、将来的には風邪薬のように、お守り代わりに持つようになるのでしょうかね?
ちば美:ちょっと想像がつかないですね。持たせなくないような気も……。
あい奈:もし気軽に持ち歩けるようになったら、たとえばお友達の間で、風邪薬や生理痛の痛み止めのように「これ持ってるからあげるよ~」のような感覚になるのかもしれませんね。そうなると性行為がかえって軽々しく思われるのかも……?

※内閣府の「第5次男女共同参画基本計画の策定に当たっての基本的な考え方(案)」には、
『避妊をしなかった、又は、避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性の求めに応じて、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師が十分な説明の上で対面で服用させることを条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する』とあります。したがって現在のところは薬の買い置きはできない方針です。
参考・引用:第5次男女共同参画基本計画の策定に当たっての基本的な考え方(案)|男女共同参画局

ふく江:私は既に子どもが大きいのですが、薬を家に置いておくくらいなら、先に産婦人科へ行くかもしれません。「避妊に失敗した」と子どもが話してくれたのであれば、次の行動は薬を使うか産婦人科に行くかの違いですから。
ちば美:高校生と大学生ともなると、本人の交友関係や、親の目が届く範囲など、事情も違ってきますよね。
ふく江:確かに、何もかも話してくれるかというとそうでもないような……。真剣にお付き合いしている仲なら親に言うかもしれないですけれど、一夜のお付き合いなら言わないかもしれない。ただ未成年なら親として話しておかないとと思いますが、大学生ともなるともう、本人の責任になってしまうのかなと思います。
ちば美:そう考えると早めの性教育が大事だと思えますね。
ふく代:親としては子どもに何でも話してほしいと思うけれど、振り返ると私もお付き合いを親に言わなかったです。ただ友達には言っていたんですね。友達同士で情報交換になると、間違った情報を知りそうで心配です。
あい奈:性行為自体が悪いことと思われるのもちょっと違いますしね。
ふく江:ただ親に話す環境は作れると思いますね。近所でも助産師さんが「命の話」をしてくれたことがあります。性教育というとハードルが高く話題にしづらいものだと感じますが、「命の話だよ」というと自分に関係してくることと親子で思えました。

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やはり緊急避妊薬に頼る前に、避妊の基本を抑えておくことは大事ですよね。座談会後編では、なかなか人に聞けない性教育について、話が進みました。

後編へ続く。

取材、文・しらたまよ

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