【災害対策:第5話】マスクにトイレットペーパー、次に備えておくべき備蓄品は?
新型コロナウイルス感染症の影響で、マスクやトイレットペーパー、消毒薬が一時的に購入できなくなったり、値段が高くなったりしました。次の感染症対策や地震、台風災害、首都直下地震などのために備えるべきものは何なのでしょうか。『マンション防災の新常識』(合同フォレスト)の著者であり、防災コンサルタントとしても活躍するマンション防災士の釜石徹さんに、詳しくお話を伺いました。
デマに振りまわされたトイレットペーパーショック、なぜ起きた?
――新型コロナウイルス感染症の影響でマスクやトイレットペーパーが一時品薄になりました。この騒動をどうみますか?
今回、国内でマスクが不足したのは、マスクの生産の9割を中国から輸入していたことが原因です。その影響で、国内でのマスクの需要が急激に高まり、需要と供給のバランスが崩れてしまったのです。
これに対してトイレットペーパーは、9割を国内で生産していました。にもかかわらず、マスクショックもあり、トイレットペーパーがたりなくなるといううわさが独り歩きしてしまいました。その結果、一時的に市場から消えてしまいました。人々がうわさをうのみにしてしまったことが原因と言えるでしょう。
トイレットペーパーがなぜなくなるのか、生産国が中国なのか日本なのかを調べればわかることだとは思いますが、心配でつい買いに走ってしまう人もいます。
まずは、日ごろからしっかりと日用品を備蓄することを心掛けてください。備蓄をしていない人ほど不安に駆られてあれもこれも買いに走ってしまいます。今回、トイレットペーパーやマスクを買いに走った人は、トイレットペーパーとマスクに限らず、これからしっかりと備蓄をしておけば何も心配することはありません。
――感染症や災害などで在庫が減りやすいものはあるのでしょうか?
新型コロナウイルスではマスクと消毒液が不足しました。 東日本大震災のときは、水、乾電池、ガソリンが特に不足しました。ただ、首都直下地震や南海トラフのような大規模災害が発生した場合は、食料品や日常の生活用品のすべてが手に入らなくなると想定しています。
感染症や地震、台風災害で役立ったグッズは?
――新型コロナウイルスによる感染症や地震、台風災害などの際にあって役立ったといわれているグッズはなんですか?
新型コロナウイルスのときに役に立ったものは、マスク、うがい薬、消毒液を多くの人が必要としました。それ以外にも、スーパーに入場制限がかかるかもということで、一時的に食料品を買いに走った人も多くいました。そう考えると、食料品の備蓄というのも常日頃からしっかりと対策をしておくことが大切です。
地震・台風に備えておくべきものの一つは停電対策。急な停電でも家の中に灯りがあると慌てなくて済みます。停電時に慌てなくて済むように、自動点灯ライトを寝室、リビング、廊下、玄関、階段に設置しておくことです。
その他は、立地条件、家族構成、生活環境など家庭ごとに必要なものは異なります。「もし、今物を買うことができなくなったら、家から出られなくなったら困るものはなにか」を考えて、必要なものがあれば備えておくことが大切です。
首都直下型地震を想定して今備えておくべきものは?
――次の災害に備えて、今準備するべきものはなんですか?
次の災害として、首都直下地震を想定していただきたいです。この災害に備えて、自宅で怪我をしない対策と 10 日以上自宅で籠城する備えをしてほしいと思います。
自宅で怪我をしない対策は、耐震性のある家に住み、家具や家電の転倒落下防止やガラス 飛散フィルム貼付、照明器具を非ガラスのLED化、小型家電も固定された棚などに耐震ジェルパッドで固定することです。
10日以上の自宅で籠城するためには、食事と水とトイレとその他の備えが必要です。食事を作るためは食材とカセットコンロでポリ袋調理に慣れて、飲料水や生活用水の確保の方法を知り、災害時トイレのノウハウを身につけることです。 その他にも、照明対策、バッテリー確保対策、疎開対策などがあります。
今回の感染症の影響で、備蓄をしていないことを実感した家庭は多かったかと思います。反面、何の影響もなく、実感しづらい家庭もあったと思います。日本では、台風や地震などの災害がいつどこにきてもおかしくありません。他人事と軽視せず、今なにかあっても家族が安心して過ごせるように、今から備蓄をしておくことを心掛けてください。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ