子どもを叩くことは「体罰」?児童虐待防止法の改正案のポイントとママたちの意見
殴る、お尻を叩く、長時間の正座をさせる、食事を食べさせない……。しつけのつもりで保護者が行ったことでも、今後は体罰とみなされ禁止されるというニュースを耳にしたママもいるのではないでしょうか。2020年4月から施行される「改正児童虐待防止法」では、親権者による体罰の禁止が法律に明記されることになりました。この法改正のポイントは大きくわけて3つあります。1つ目は親から子どもへの体罰禁止。2つ目は児童相談所の体制強化。3つ目は虐待した保護者への対応。法改正の具体的な内容とともに、ママたちの間で「体罰」についてどのような意見があるかについてみていきます。
児童福祉法と児童虐待防止法の改正案のポイントは?
千葉県野田市で小学4年生の女の子が「しつけ」と称して、親から暴力を受けて亡くなった事件。これをきっかけに、児童福祉法と児童虐待防止法の改正案が2019年12月19日に閣議決定されました。改正法案は今国会での成立と、2020年4月施行(一部を除く)を目指しています。具体的には以下のポイントについて法改正される予定です。
『・体罰の禁止。体罰によらない子育ての推進
・親権者だけでなく、児童福祉施設長らによる体罰も禁止
・児童相談所の機能強化として、家庭に「介入」して子どもの一時保護をする職員と、親への「支援」を行う職員を分けて、迅速な保護を行う
・各児童相談所に、医師と保健師を1人以上配置する
・学校や教育委員会、児童福祉施設の職員に守秘義務を課す
・児童相談所と警察の連携強化』
数ある改正ポイントのなかでも、特に今ママたちの間で話題になっているのが「親から子どもへの体罰禁止」のようです。改正案に対してどう感じているのか、ママたちの声をご紹介します。
ときには叩いてしつけることも必要。全面的に禁止するのは難しい
筆者は子どもの頃、親から「危ないこと、いけないことをしたら、子どもを叩いてでも叱ることが大切」と言われて育ってきました。厚生労働省の資料でも『我が国においては、「しつけのために子どもを叩くことはやむを得ない」という意識が根強く存在』していると指摘されています。ママたちのなかには親となった今、何度言っても子どもが言うことを聞かなかったら、しつけの目的で「叩くことは必要」だと感じる人もいるようです。
『悪いことをしたら、危ないことをしたら、人に迷惑をかけたら、叩いてしつけることもときには必要だよ! なんでも体罰っておかしい』
『殴るとかはおかしいけどさ、危ないこととか、何度言っても悪いことをして言うこと聞かないときにお尻を叩くくらいはアリじゃない?』
『体罰がダメなのはわかるし、私も反対派。でも、子どもは言っても聞かない場合はあるし、話し合いでなんとかなると思えない。中学生の娘が夜遊びをしたいって聞かないときに一度だけ叩いたことがある。親で教師でも、ときには叩いてでも止めなきゃいけないときはあると思う』
『体罰はしないけど、「やみくもにダメと言うのではなく、なぜダメなのか? 理路整然と説明することが大事」と言われるけど、実際はそんなにうまくいかない』
叩く=体罰。「改正児童虐待防止法」の改訂に賛成
子育てにおいて「叩くのもひとつの手段」だと思う人がいる反面、たとえどんな事情があっても体罰を加えることは反対というママたちもいます。親は、叩くことも含めてきつく叱ると親の本気度が伝わると思うのかもしれませんが、子ども自身はどう感じるのでしょうか。
『改正はいいと思う。親に体罰を受けてきたけれど「ああ、申し訳なかったな」なんて思ったことない。なんの教育にもならない』
『私も帰りが遅くなったときに父からビンタされた。帰ってくるまで心配で寝られなかったのか、って思って確かに反省した。でも冷静に考えると、叩かれたから心配が伝わったわけでもないし、もしお母さんが泣いてたらそれだけでビックリする。父も教育のためと考えて覚悟の上でしたことでもないよね』
育児がつらい。「女性=ママ」にばかりに負担がかかる
何もかも法律で規制されてしまうと、子育てを主に担っている女性にばかり負担がかかるという意見も。
『今の日本って、子育て世代の女性がマジで生きづらいよね。子どもは産め! 核家族だから1人で育児は当たり前! 保育園を増やしてやるから働け!
一方では、子どもが小さいうちから預けるなんてかわいそう! たまーに子守りするイクメン様は讃えろ! ストレスがあろうが子どもが悪さしようがお尻すら叩くな! 通報するぞ! なんて無理すぎる』
『日本の母親は忙しい中リフレッシュもできず、相談する相手もいないなか一人で育児しているため、育児に行き詰まり体罰という強行に出るしかなくなるんじゃないかな。虐待を減らしたいなら体罰云々より、育休やサポートなど親の負担を減らす必要があると思います』
「体罰等によらない子育て」の意味は?
改正のきっかけとなった事件では、親の「しつけ」と称した体罰がエスカレートし、結果として女の子が亡くなってしまいました。最初はちょっとした体罰だったのかもしれませんが、徐々にエスカレートして深刻な虐待につながっています。子どもたちの命を守るのは大人全員の責任であり、虐待防止の強化策を急ぐ必要もあるでしょう。
たとえ体罰を受けたことで子どもの行動が変わったとしても、それは叩かれた恐怖等によって行動した姿であり、自分で考えて行動した姿ではありません。体罰は子どもの成長の助けにならないばかりか、心身の発達等に悪影響を及ぼしてしまう可能性があり、子どもの健康的な成長・発達の妨げにもなり得ます。まずは何が体罰に当たるかを考え、「体罰」によらない子育てをするためにも、一人ひとりが意識を変えていく必要があるでしょう。今回の法改正は子育て中の親への支援も含めて、社会全体で虐待防止に取り組んでいこうという考えのもとで行われることを知っておきたいですね。
ママスタコミュニティではたくさんのママたちが「体罰」について話し合っていました。「お尻を叩くくらいは体罰にあたらない」という意見もあれば、「いつも母親だけが育児について批判される」と感じた人もいます。あなたは「体罰禁止」の改正案についてどう感じましたか? これを機に家族やママ友などと、体罰によらないしつけの方法について話し合ってみませんか。
文・長瀬由利子 編集・井伊テレ子
- 参考トピ (by ママスタコミュニティ)
- 尻をたたく 長時間の正座をさせる 夕飯を与えない これらは親の体罰