実はメリットがいっぱい!「園庭がない保育園」
保育園を選ぶときに「園庭があったほうがいい」と思う人もいるでしょう。とはいえ必ずしも全ての保育園に園庭があるとは限りません。そのため、保育園によっては園庭がないことで日中の過ごし方を工夫している園もあります。「グローバルキッズ飯田橋こども園」園長の小松﨑珠美さんと、保育士資格を持ち保育園運営のサポートしている讃井素子さんにお話を伺いました。
いろんな公園にたくさん出掛けて、さまざまな体験を積める
――都心部を中心に、園庭がない保育園が増えています。園庭がない保育園のメリットとデメリットを教えてください。
グローバルキッズ:園庭がない保育園のメリットとしては、いろんな公園に出掛けられるということが挙げられます。子どもたちの中には、毎日違う公園に遊びに行けるから、それを楽しみに登園してくる子もいるんですよ。公園に行くと、ブランコや滑り台の他にも、それぞれの公園にしか置いていない遊具もあり、子どもたちはとても楽しそうに遊んでいます。
――公園に行くと地域の人との交流も増えそうですね。
グローバルキッズ:そうなんです。まだ保育園・幼稚園に通っていない子どもたちも遊びに来ていて、園児と一緒に遊ぶこともあるんですよ。地域の人たちも見守っていてくれて、「保育園の子どもたちはおもちゃや遊具の貸し借りを上手にするのね」と褒めてくれることもあります。子どもたちも、地域のいろんな方との交流ができるので、お散歩をとても楽しんでいますよ。
また、私たち保育士は公園に遊びに行って子どもたちを遊ばせると同時に、そこに集まる親子にも気を配っています。子どもを連れたお母さんの様子を伺いつつ、困っていないか見守るのも、保育士の仕事のひとつとして捉えています。
園庭がないことで春夏秋冬を感じられる
――お散歩に行くと、まわりの様子の変化にも気づく力が身につきそうですね。
グローバルキッズ:地域にもよりますが、お散歩の途中に商店街があると、お店を見たり買い物をする人と出会ったり、子どもたちの地域への関心が高まっていくのを、私たち保育士も実感しています。以前、保育園で廃材を使って、街の様子を再現してみようということになったんです。そしたら「これは駅に貼ってあるよね」「ここに新しいお店ができたよ」など、子どもたちは街の様子を上手に再現していました。子どもたちがお散歩にいくたびに地域に関心を持ち、さらに目的を持つことで、得るものがたくさんあるんだなと感じました。
――つい園庭があったほうがいいと思ってしまいますが、メリットもたくさんありますね。
グローバルキッズ:ほかにも、毎日外に出ることで、季節を感じられるのもいいですよね。春になったら桜の木を見に行き「桜吹雪って知っている?」なんて会話をすることも。街行く人の半袖と長袖の衣替えの変化を見ている子もいれば、車の色や形、数字を見ている子どももいます。
「冬になったらみんなコートを着ているね」「でも、あの人は半袖を着ているよ」「冬でもコートを着る人、半袖を着る人がいるんだね」「半袖と長袖の境目って何だろう」など、街行く人の服装についても子どもたち同士で話をしているんですよ。保育園の中にいたらなかなか気づかないことですが、お散歩に行くことでいろんな変化に気づけるようになるのも、いいことだと思います。
園庭がないことのデメリットは?
――逆に、園庭がないことによるデメリットはありますか?
グローバルキッズ:すぐに外へ出て遊べるところがない、というのはデメリットになるかもしれません。園庭のある保育園だったら、登園してから園庭に出て自由に遊ぼうと思ったらできます。ただ、園庭の有無に関係なく保育園ではお散歩に出かけているので、どちらの園もほとんど変わりはないと思います。
園庭がないということで、保育園の希望先から外してしまっていたとしたら、それはとてももったいないことだと思います。お散歩は年齢に応じて距離が伸びていくので、子どもたちは足腰が丈夫になります。自転車や車での移動が多いご家庭なら、お散歩に出掛けるのはいいことではないでしょうか。毎日楽しく戸外に出て、たくさんの発見をして、すこやかに成長してくれることを願います。