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続けるべき?辞めるべき?子どもが「習い事を辞めたい」と言い出したら


子どもにどんな習い事をさせていますか? ピアノ? 水泳? リトミック? 子どもの能力を少しでも伸ばしたいと思って始めたのに、子ども自身が習い事を嫌がったら、続けるかどうか迷うところです。慶應義塾大学大学院で「幸福学」の研究を行う前野隆司先生に「幸せな子育て」という観点から、子どもの習い事についてお話を伺いました。

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無理にやらせても身に付かない。子どもの習い事はいつまで続ける?

親は、子どもが小さなころから「この子の才能を伸ばしてあげないと!」と思って、乳幼児の頃からいろんな習い事をさせる傾向があります。子どもが習い事を心から楽しんでいる場合、子ども自身が幸せを実感することで創造性も伸び、習い事も身につきます。しかし、そうでない場合は時間とお金をかけても徒労に終わる傾向があります。

よくあるのが、子どもは習い事を辞めたがっているのに、ママが「せっかく始めたのにすぐに辞めていたら辞め癖がつく」といって続けさせること。しかし、僕から見ると、子どもが辞めたいといっているなら、辞めさせたほうがいいと思います。

子どもたちが成長した今、振り返って考えてみると……

うちの子どもも、3つか4つ習っていましたが、子どもたちが成人した今となっては、残っているものはあまりありません。習い事が多すぎて、1つ終わったら、また次の習い事に行くという感じで、子どもたちもとても忙しそうでした。子どもは行きたがらないこともありましたが、母親は「はじめたばかりでしょ!」とか「行けば楽しいよ!」と言って続けさせていました。子どもは子どもで、友達が通っているからといって行きたがったりもします。「習い事はつらいけど、友達に会えるから行きたい」という、そんな変な状態であったこともありました。

子どもに習い事をさせたいのはママの焦りもある?

僕がアメリカに住んでいたとき、まわりの小さな子どもは誰も習い事をしていませんでした。しかし、日本に戻ってきてまわりをみると、多くのママたちが習い事をさせているように感じます。まわりのママから「リトミックをやって子どもが成長した」と言われて通わせたり、「うちの子だけ泳げないとかわいそう」と思って子どもをプールに通わせたりするママもいます。どちらかというと、子どもの力を伸ばすというよりも、まわりの子どもができているのに「うちの子だけできないのはまずい」というママ自身の焦りがあるように思えます。

幼児期は愛されてゆったりと成長することが大切

人が成長するのは子ども時代だけではありません。僕の経験から見ると、人間は20代を過ぎても大きく伸びると感じます。幼児期はまだ人間の基礎を作っているところで、スキルをつける時期ではありません。幼児期は、愛されてゆったりと成長するとき。子どもたち同士で遊び、おじいちゃんおばあちゃんと遊び、人間の土台を作る時期だと思います。それなのに、習い事が忙しくて、帰ってきて疲れて口数が減ってコミュニケーションが減ったら、子どもは幸せを実感できるどころか幸福度が下がってしまいます。

無理にでもピアノを習わせておけばよかった!?

僕は子どもが嫌だと思ったものはやらせないし、すぐに辞めさせてきましたが、例外もあります。僕は、子どもにピアノを習わせたかったのですが、長男はやりたくないといったのです。それで「仕方がないな」と思ってあきらめたのですが、長男が大学生になったころ「子どもの頃、どうしてピアノを習わせてくれなかったんだ」と言ってきたんですよ。だから「いや、やれといったけれど、お前が嫌がったから、無理にやらせたらまずいと思ってやめたんだよ」と(笑)。そういうこともあるから、親が「これだけはやっておいたほうがいい」という自信があるものは、やらせた方がいいこともあります。

親が無理やりさせた留学で、子どもから感謝されることも

僕が教えている慶応義塾大学の学生の中には、「親に無理やり海外留学をさせられたけれど、そのおかげで英語ができるようになって、視野も広がり、今とても感謝している」という人もいました。そんなこともあるので、親が無理やりやらせたことが常に悪いとは言い切れません。親が子どものためを思って無理やりにでもやらせたことが、のちのち子どもからすごく感謝されることも、時としてあるということです。ただ、無理やりやらせない方がいい場合も多いので、よく考えて自己判断すべきだということは、覚えておいてください。

 

取材、文・間野由利子 編集・しのむ イラスト・イチエ

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