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山口智充:第1回 「人を楽しませるということは、社会をハッピーにする」今思えば、子ども時代から楽しいことが大好きでした

“ぐっさん”の愛称で、コメディアンとしてだけでなく役者や司会、歌手などオールマイティーに活躍中の山口智充さん。かつて「理想のお父さんランキング1位」に選ばれたこともあるように、多くのママたちが持つイメージは“よきパパ”。さて実際のところはどうなのでしょう?
今回から全8回に渡ってぐっさんの子育てに対する思い、今も手をつなぐという奥さまとの仲よしぶりなどをインタビューします。パパとして、ママとしてはもちろんなのですが「人としてこうありたい」と思わせてくれた熱いトークにご期待を!
第1回目は、山口さんご自身の子ども時代についてです。

テレビで拝見していると「絶対に子ども時代からクラスの人気者だっただろうな」と思えるのですが、どんなお子さんでしたか?

山口智充
人気があったかなかったかでいうと……ありました(笑)! 小学生のころは自分が人を楽しませることを、身体で感じた時期というか。当時命をかけていたのが、給食の時間に女子の牛乳を吹き出させることなんですよ。わかりやすくいうと、そんな子でした。今思えば牛乳を吹き出させるというのは早すぎても遅くてもダメ、タイミングが重要なんですよね。当時は何も考えていませんけど、そこから”間”みたいなものを学んだ気がします。男子と遊ぶことももちろん大好きで、「おもろいなぁ」と言われるのが快感でした。
そのまま中学校に行っても似たようなことばかりやっていましたけど、当時学校が荒れていたんですよ。何か問題が起こると先生が出ていくので、自習が多かったんです。で、その時間に間をつなぐ担当をしていました。

誰に頼まれたわけでもなく、ですか?

頼まれていないですね。教室の前方が空いているので「あ、つながな」と。この世界に入った後で当時の先生にお会いする機会があったんですけど、僕は知らないと思っていたのに先生はご存知だったそうなんです。「学校は荒れていたけれど、君がよい雰囲気に盛り上げてくれていた」と言ってくれて。もうこの仕事はしていましたけど、そのとき「人を楽しませるということは、社会のムードもハッピーにしていくんだな」というのをより実感しましたね。ま、そのときは自分が前に出たいだけで、何も考えずにやっていましたけど。

教室の前で何をされていたんですか?

ものまねですね。先生や芸能人のものまねをひと通りやって、レパートリーがそんなにないので時間がまだあると「アンコール!」と言われてまた最初から繰り返して。視聴覚室のマイクを使ってやったこともありますよ。先生がまだ来ていないと思ってはじめたんですけど、最後までやって振り返ったら先生が「もう、ええか?」。丸々1時間やっていました。

小さいころから人を楽しませるのが好きだったんですか?

”楽しませる”といえばそうなんですけど、僕にしてみたら”楽しませる”というのもおこがましいというか。自分が楽しみたいんでしょうね。一方がしゃべって一方が笑っているという図式にはなっているんでしょうけど、自分がやったことに対して相手がリアクションを起こした、その空気を瞬時に楽しんでいるんだと思います。
僕は自分ひとりだけでも楽しめている人なので、ラクだなと思います(笑)。人がいなくても楽しめていて、それをたまたま誰かが見てくれている。で、「楽しいなぁ!」と言われたら「そうでしょう?」と。「どんどん見てください!」と、楽しさが相乗効果で広がっていくというか。

そうした性格は、ご家族のどなたからの遺伝ですか?

わかりやすいものはないですね。ただオフクロが奄美大島出身なんですよ。穏やかなんだけど明るい島の雰囲気というか、大きくなって島の宴会を見たときに「あ、ここか」と思ったことはありました。「俺を見てくれ!」としゃしゃり出るような人はいないんですよ。みなさん普通のおじさんおばさんなんですけど、宴会になるとサッと三線が出てきてアドリブで唄って踊るっていう。完璧に全員を沸かせて、自分の番が終わったらスッと座るんですよ。それを見たときは、ゾクゾクしました。僕も子ども時代から、目立ちたがりというわけじゃないんですよ。自分の出番が来たら、行く。自分の番じゃないと思ったら、行かない。そのかわり行った以上は確実に何かをつかんでくる、と。そこは似ているなと思いました。
山口智充

いつもおもしろいことばかりしているようなご家庭ではなかったんですね。

そうですね。あ、もちろん楽しいことに否定的なわけではなかったですよ。兄貴がいるんですけど、ふたりで何かおもしろそうなことを探していました。物心がつくと近所の友達と、自分たちで遊びを作っていましたね。マニュアルのあるものじゃないんですよ。棒きれひとつでいつまでも遊べるんです。冒険をしたり。今思えばそのひとつひとつの景色や経験が、たとえばこの世界に入ってからネタになったり歌になったりしているんですよ。ひとつひとつが蓄積しているんだなと思うと、無駄なことなんてないと。無駄だと思えるようなことも、ちゃんと血になり骨になるのだと思いますね。


やはり想像通りの人気者! 今の山口さんのイメージそのままの少年時代だったのですね。
さて次回は奥さまとの出会いから、結婚まで。芸人仲間で一番早くの結婚だったそうですが、くわしくその流れをうかがいます。

取材、文・鈴木麻子 撮影:山口真由子

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