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「友達とのトラブル」はママの育て方が原因ではない?「ADHD」の真実とは

子どもは元気が一番。そう言いつつも、「いつも落ち着きがない」「友達にも乱暴に接してしまう」など、ママとしてはちょっと気になることもあるでしょう。このまま「元気な子」として見守っていても大丈夫?
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その後もなかなか馴染めない学校生活。学校から連絡があるたびにママもイライラしてしまい、つい子どもをきつく叱ってしまいます。そのためか、子どももストレスを感じている様子。いつになったら落ち着いた学校生活が送れるのでしょうか。

「落ち着きがない」「友達とのトラブル」「忘れ物が多い」。なんとなく気になってインターネットで検索してみると、我が子と同じような悩み事が書かれているページに「ADHD(注意欠如・多動症)」という文字が……。ママとしては心配になってしまいますよね。

ADHD専門医 本田先生が語る!「ADHD」の真実とは

ADHDの子どもに対するママの対処方法を知るため、ADHD専門医・みくりキッズくりにっく本田先生に「ADHDの正しい知識と対処方法」についてお伺いしました。
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ADHDの症状や判断基準、対処方法とは

――「ADHD」の症状と、原因について教えてください。
本田先生:ADHDとは発達障害の1つで、「多動」「不注意」「衝動性」の3つの症状があるといわれています。「落ち着いてじっと座っていられない」「忘れ物が多い」「感情がコントロールできず、乱暴になってしまう」などの症状が出やすい傾向にあり、ADHDは脳の機能の問題といわれています
――症状はいつ頃から現れ、どこで判断されるのでしょうか?
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本田先生:症状は幼児期から現れます。ただ、はっきり「ADHD」だと判断できるのは小学校に入った頃です。「みんな先生の話を聞けているけど、その子だけ聞けない」など、ADHDの診断は集団生活の中でうまく生活していけるかどうかがひとつの基準になります。

――「ADHD」だとママが気付けるポイントを教えてください。また、気付いたら何をするべきでしょうか?
本田先生:授業中でも外を気にしたり、順番が待てなくて友達を押してしまったり、感情がコントロールできなくてお友達を叩いてしまうことがあります。不注意から教科書を忘れたり、なくしてしまうという子もいるでしょう。
もし不安を感じたら、未就学児の場合は自治体の福祉センターや児童発達支援事業所、小学生であればスクールカウンセラーや教育支援センターなどの相談窓口や専門の医療機関を利用してみてください。ひとりで考えてインターネットで検索するよりも、専門家に相談したほうが適切なアドバイスがもらえますよ。子どもの特性に合わせたプログラムを組んでくれますし、困っていることへの対処法も一緒に考えてくれます。

――「ADHD」はどこで診断してもらえるのでしょうか?
本田先生:「ADHD」の診断ができるのは、小児神経科や児童精神科の医師です。
ただ大事なのは診断名ではなく、ママや子どもがどんなことに困っていて、どう対処したらいいかという具体的な今後の話です。

――言葉を話すのが遅いことと「ADHD」は関係していますか?
本田先生:発達障害はASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如・多動症)、そしてLD(学習障害)と、大きく3つに分けられます。 いずれも脳機能に関係する障害・特性です。まず言葉の遅れがあるときは、耳が聞こえているか、発声ができているか、知的障害があるか、、コミュニケーションがきちんと取れるかなどを診て診断します。ですので、「言葉が遅い=ADHD」とは限りません。

子どもが「ADHD」と診断されたママがすべきこと

――子どもが「ADHD」と診断されたら、自分を責めてしまうママもいると思います。どう考えたらいいですか?
本田先生:自分の育て方が悪かったのかも……と責めるママもいます。ただ子どもへの接し方で、二次障害の可能性はありますが、子どもへの接し方が原因でADHDになることはありません。自分を責めたところで子どもにとってプラスにはなりません。子どもが生きやすい環境を手助けしてあげるために、まずは子どもが好きなことを見つけられるよう色々なことを試してみるのがいいと思います。
――「二次障害」とはどういうものですか?
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本田先生:失敗を繰り返したり、行動や結果だけをみて評価されたりすることで子どもの自尊心が低くなってしまうことです。やる気がなくなったり、ネガティブに考えてしまうことが増えたりします。どうして子どもがそのような行動を起こすのか、状況を把握して解決策をお子さんと一緒に考えられるといいですね。

――ママはどのように子どもに接すればいいですか?
本田先生:「ADHD」の特性がある子どもは、自分の好きなもの、興味があるものに対しては集中して取り組みます。反面、興味がないことはまったくやる気が起きないのです。多くの子どもたちは、宿題など「やりたくないな」と思うこともなんとか70%くらいの集中力でがんばれるもの。
これに対して「ADHD」の子どもは、興味のないことにはまったくやる気が起きないけど、好きなことに対しては200%の集中力を発揮する傾向があります。

だから、平均以上を求められる「学校」などでは「普通の子とは違う」と思われがちです。しかし逆を言えば、好きなことになると200%の力をもって取り組めるので、社会的に大成功する可能性もあります。

とはいえ、学校生活では学ぶことも多いし、基礎学力はつけておいたほうがいいでしょう。そのために、必要に応じて医療機関を受診して相談してみるのもよいでしょう。「学校の授業で、いつも怒られてばかり」となったら、子どもの自尊心も低くなってしまいますよね。対処法を知ったり、薬を服用することで、低かった集中力が上がれば、学校の勉強にも集中できるようになるし、理解もできるようになります。そこから算数や理科など、興味を持つ分野が増えてくるかもしれません。

――将来において、ADHDとどのように付き合っていけばいいでしょうか?
本田先生:ママからしたら「一生薬を飲み続けるもの」というイメージがあるかもしれませんが、そうとも限りません。たとえば、その子が好きなものを見つけ、自分に自信を持てるようになったら飲む必要がなくなることもあります。ADHDの子だけでなく、すべての子どもにおいて好きなものを見つけてあげることは大切なこと。ママは子どもにたくさん経験をさせてあげる環境を作ってください。その中から、子どもは自分の好きなものを見つけていくのです。薬はその手助けをしてくれるものです。

一人で考え込まず、必要に応じて専門家などがいる医療機関を訪れて相談すること

「ADHD」は、正しい知識を得ることで対処することができます。また一人で考え込むよりも、必要に応じて専門家などがいる医療機関を訪れて相談することで、その子に合った接し方などが分かることもあります。

「ADHDナビ」ではさらに詳しい情報を紹介しています。チェックリストを試したり、専門医に相談したい方は「病院検索」もできます。
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提供:ヤンセンファーマ株式会社