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「低血圧の人は朝が弱い」は本当?「低血圧」の原因と改善方法とは

低血圧 

「低血圧だから朝が苦手なの」というセリフを聞いたことはありませんか? 低血圧=朝が弱いというイメージを持った方、いるのではないでしょうか。ママたちからもこんな声が

『低血圧と朝が苦手って科学的根拠っていうか、因果関係みたいなのあるんですか? 教えて下さい』

寝起きの悪さは「低血圧」のせい!?ママたちの声

低血圧の人は朝が弱いというのは本当なのでしょうか?

『関係しているかは分からないけど、寝起きですぐに動こうとすると、目まいと吐き気がするから、しばらくベッドに座って落ち着いたころに動き出す』

『起きられないことはないけど、低血圧は目覚めるのに時間がかかる傾向があるって何かの本で読んだ』

『パッと起きるのは辛く、クラッとしてしまう。だから起きる時間の30分以上前からアラームをかけている。高血圧の旦那はまったく平気みたい』

『起きなくてはいけない時間になったら起きるけど、起きあがるのがしんどい。なんとか朝食を作って、子どもたちを学校に送り出したら、もうぐったり。午後になると元気になっていた。今はなぜか血圧が正常範囲に戻ったので、朝も辛くない』

起床時になかなかベッドから起き上がることができないママたちが集まりました。高血圧気味の旦那さんが朝に強いという理由から、「低血圧が朝の弱さ」と関係していると思ってしまうコメントも。1日の始まりが不快な症状で始まるのは、悩ましいことですよね。

「朝が弱い」のは低血圧ではなく「自律神経の乱れ」が原因

ユニ・チャームによると、低血圧の人は、自律神経が乱れやすい傾向があるとのこと。そのため、朝の目覚めが悪かったり、午前中はなかなか仕事や家事のエンジンがかからなかったり、肩こり、冷え性、めまい、立ちくらみなどの症状を慢性的に持っていることが多いそうです。とくに春先や秋口など気候の変化が激しいときは、生活リズムの乱れやストレスなどによっても体調をくずしやすいので、注意が必要です。

では、「低血圧」とはいったいどのような症状を引き起こすのでしょうか?

「低血圧」には明確な判断基準がない

「血圧」とは血管内の圧力です。心臓から流れる血液が血管を押す力と考えてよいでしょう。やる気はあるのに身体がだるい、疲れてすぐ横になりたくなる……という場合は低血圧が原因かもしれません。ほかにも、めまい・頭痛・肩こり・耳鳴り・不眠・胃もたれ・吐き気・発汗・動悸(どうき)・不整脈など、低血圧の症状には様々あります。
しかし高血圧と違って、低血圧には国際的な診断基準がありません。日本の病院では、最高血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下を目安としているところもありますが、確定的なものではありません(※1)。
そのため低血圧の症状で、病院を受診する方は少なく、人によって症状にも違いがあるので、世間的に低血圧についてはあまりよく知られていないのが現状だといえます。また低血圧は若い女性に特有のものと思われがちですが、実際には男性も少なくありません。全体的には女性に多いものの、中高年になるにつれ男女差は小さくなります。

(※1)病院(医師)によっては「110~100mmHg以下」、あるいは「110~85mmHg」を目安にしているところもあります。

低血圧には「3つのタイプ」がある

低血圧には「本態性低血圧」「起立性低血圧」「二次性低血圧(症候性低血圧)」の3つのタイプがあります。それぞれについて、詳しく説明していきます。

1、本態性低血圧

低血圧の中で最も多いのが、原因がよく分からない「本態性低血圧」です。多くは体質的なものですが、両親や兄弟(姉妹)に低血圧の人がいる場合には、遺伝による可能性もあります。病院では、検査ののち、ほかに病気の可能性がない場合に、本態性低血圧と診断されます。

2、起立性低血圧

ベッドから起き上がったときや、イスから立ち上がったときなどに、急にフラッとするのが「起立性低血圧」です。一般的に、横になった状態から立ち上がったときに、最大血圧が20mmHg以上下がる場合に、起立性低血圧とされます。
原因として、低血圧によって脳の血液量が減少しやすいケースのほか、血圧を調節する自律神経の障害によっても起こります。そのためこのタイプは、日ごろ低血圧でない人にもみられます。

3、二次性低血圧(症候性低血圧)

病気や薬が原因で低血圧になるタイプです。よく知られているのは、糖尿病で血糖値コントロールがうまくいっていないときに起こりやすい起立性低血圧です。そのほか循環器系疾患(心臓の弁や血管などに異常がある場合など)、内分泌系疾患(アジソン病など(※2))、パーキンソン病、がん、甲状腺異常などの病気でも、低血圧を引き起こすことがあります。

(※2)アジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌低下により、気力や筋力、食欲などの減退、低血圧などの症状がみられる病気。

低血圧の改善方法は「食事」と「運動」

病院以外で行える「低血圧」の改善方法として、「食事」と「運動」があげられます。

「食生活」を見直すこと

低血圧の人は、食欲不振などから食事をきちんと取らないことが多く、栄養バランスが悪くなりがちです。1回ごとの量は多くなくてもいいので、3食きちんと食べるように心掛けましょう。
特にタンパク質(肉類、魚類、納豆などの大豆食品)をしっかり取ること。また、不足しがちなミネラルを補うために、野菜や海草類を積極的に取ることも大切です。高血圧の場合には塩分が制限されますが、低血圧では反対に塩分をきちんと取ることも必要です(※3)。一般に低血圧の人は疲れやすいので、塩分とクエン酸(疲労回復に効果的)の多い梅干を、食事と一緒に取るのもいい方法です。
水分を多めに摂取することも大切です。水分を取ることは、血液量を増やすことにもつながります。1日1L~2Lを目安にしましょう。ただし、脚などにむくみが出る場合は、量を減らしてください。

(※3)厚生労働省「日本人の1日あたりの平均塩分摂取量」 男性11.1g/女性9.4g

ウォーキングや階段昇降などの「運動」が効果的

低血圧

一般に低血圧の人は、脚や手などの末端部の血管の収縮力が弱く、血液の循環が悪くなりがちです。つまり、末端部の血液が、心臓にうまく戻らないのです。それがむくみの原因にもなります。脚の場合、血液の循環に大きな役割を果たしているのは、「ふくらはぎの筋肉」です。ふくらはぎの筋肉を鍛えるには、ウォーキングや階段昇降が効果的です。ただし、早歩きをすると動悸や息切れを起こしやすい人もいます。その場合には無理をせず、散歩のつもりでゆっくり歩きましょう。
なかなか時間がとれない人なら、自宅での階段昇降もいい方法です。階段といっても、急な階段を上り下りするのは危険なので、玄関の段差など1段だけを利用します。
転倒しないように壁などに手を添えて、1段を上り、後ろ向きに下ります。年齢にもよりますが、50~100回を目安にゆっくり取り組みます(時々上るときの脚を左右入れ替えます)。
この運動自体が血液循環をよくしますが、ふくらはぎに筋肉が付くことで自然に脚の血液循環が改善され、むくみの解消にもつながります。
ただし、めまいや動悸、息切れがある場合には、必ず医師に相談してから運動をはじめましょう。
手先の血液循環をよくするには、手をにぎったり、開いたりという動作をくり返し行うことが効果的です。末梢(まっしょう)神経の働きの改善にもつながるので、30~50回程度を目安にやってみましょう。ただし、この場合も、手に強いしびれなどがある場合には、まず医師に相談してください。

「低血圧」と「貧血」は、症状は似ているが全くの別物

ちなみに、低血圧と貧血は、めまいや立ちくらみなど一部の症状が似ていますが、実はまったく違うものです。貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの減少によって起こるもので、最も多い原因は鉄分の不足です。ただし、慢性関節リウマチなどほかの病気が原因のこともありますので、めまいを繰り返す場合や、手足のしびれ、節々のこわばり、黄疸などが見られる場合は早めに受診しましょう。

低血圧の場合、人ごみや暑い場所にいると、疲れや頭痛などの症状が悪化しがちです。できるだけ人ごみを避ける、お付き合いはほどほどにする、暑い日の外出はしない、外出する場合は早めに休憩をとる、などの方法で、普段から予防しましょう。

低血圧の症状をしっかり理解し、上手に付き合って対処していけたらいいですね。

文・編集部 イラスト・チル

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