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親子で食の大切さを学べる絵本『いただきます』作者の島本美和子さんが作品へ込めた想い

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ポストカードにも使えそうなりんごのイラストが印象的な絵本『いただきます』。帯には”パリで活躍したイラストレーターによる 親子で「食」について学ぶ絵本”とあります。
絵本を開くと、1ページには食べ物のイラスト、もう1ページには食べ物の名前、説明、その野菜に含まれる栄養素がマークになって記載されていて、私たちが日常口にする野菜、お肉、米などが1ページずつ紹介されています。

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この絵本は、イラストレーターの島本美知子さんが手がけたものです。

1972年、24歳のときに雑誌『anan』のパリ特派記者として渡仏した島本さんは、その6年後の1978年に、パリの企画会社とフリーランスのイラストレーター契約をし、雑誌『ELLE(エル)』でイラストを描くお仕事をスタート。

日本人がパリでイラストレーターとして成功するためは、誰もやっていないことをやらなくてはいけないと思い、お料理の絵を描きはじめたそうです。最初に料理のイラストを掲載したのは、雑誌『marie claire(マリクレール)』。その後、フランスの大きな雑誌の出版社と仕事をしてきた島本さんは、40年のパリ生活を経て2013年に日本に帰国。そして帰国後、最初に書いた絵本が、この『いただきます』です。

子どもの成長の中でも重要な「食」に対しての大事なことが詰まった一冊。今回ママスタでは、島本さんご本人にこの絵本に込めた思い、作ろうと思ったきっかけについてお話をお聞きすることができました。

子どもたちの成長にプラスになる食事をこの絵本を通して知ってもらいたい

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――「いただきます」を書こうと思ったきっかけを教えてください。

成長期の子どもたちに与える食事はとても大事です。お母さんたちが、どんな食材、お料理を子どもに与えたら、子どもたちの成長にとってプラスになるかということ、この絵本を通じて知ってもらえたらいいなと思いました。

――この絵本を通して “食”の大切さを伝えたいと思ったのはなぜですか?

日本では極端に太った子どもはあまりいませんが、海外ではジャンクフードをたくさん食べて育ったことで肥満になってしまう子どもがたくさんいます。インスタント食品を食べることも悪いのではなく、全体のバランスだと思うんです。
栄養のあるものを食べ、バランスの取れた食生活をしないと、心にも影響があると聞きました。私はお料理のイラストをずっと描いてきましたが、その中で得た知識で、食事がとても大切だということを知っています。
親がそういう知識を持つことは大切ですし、食べ物も与え方によって子どもの成長が変わるということを知ってもらいたいなと思いました。

――この絵本を手にする親子に、どんなふうにこの絵本を見てもらいたいと思いますか?

この絵本には、50種類の食べ物を載せました。野菜だけではなく、魚や牛や豚のページもあります。鶏肉は肉を食べますが、それ以外に卵も食べますよね。牛は、牛肉も食べますが、ミルクも飲み、チーズも食べます。飴は糖分を多く含むので、「たくさん食べてはいけないよ」ということを教えられます。チョコレートにはいい栄養素が含まれていますが、糖分や油もたくさん入っているので食べすぎると摂取カロリーが多くなります。「だから、良い子にしてたらひとつだけ食べてもいいよ」というような躾ができればいいなと思うんです。

この絵本は、お母さんと子どものコミュニケーションツールでもあります。ひらがなが読めるようになるまでは、お母さんがこの絵本に出てくる食べ物のイラストを見ながら「これは、トマトだよ」と教えてあげられます。

――ただ読むのではなく、この一冊から多くのことが学べるんですね。

お母さんもお子さんも学べる絵本になっています。絵本でもあり、食べ物のことが覚えられる、トータル的に考えられる辞書のような感じです。

大人っぽい絵の理由「フランスでは小さな頃から“本物の美術”に触れる」

――イラストがとても印象的です。この絵本の中のイラストに込めた思いを教えてください。

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これは絵本ですが、「子どもっぽい絵だけが絵ではない」ということを知ってもらいたいという思いを込めて、ちょっと大人っぽい絵にしました。
フランスでは幼稚園や小学校から美術館に行くので、小さな頃から“本物”に触れる機会を持てます。小さいときから本物の絵に触れているので、良いものと悪いものの区別ができるんですね。
かわいいものはもちろんかわいいんですが、良いものは良いというバランス感覚のある子どもが増えるといいなと思っています。

* * *

子どもと一緒に読んでいると、「この野菜にはこんな栄養素があるんだ!」という発見ができる絵本です。子どもは、野菜にまつわるエピソードを聞くことで、その野菜に興味を示すかもしれません。ページを開いていく度に、大人でも楽しめますよ。

いただきます

文・絵 島本美知子
出版社: 東京図書出版

取材、文・鈴木じゅん子 編集・しらたまよ

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