小学校入学まであと3か月。入学前に身につけておきたい力は?
2020年度の大学入試改革に伴い、学校教育が大きく変わりつつあります。小学校への入学を見すえて、今どんな力を身につけておいたらいいのか、Z会で幼児教育の教材開発を担当している鈴木貴子さんにお話を伺いました。
今どきの小学生は、自分の意見を伝えたり、人の話を聞いたりできない子が多い?
――来年4月から子どもが小学校に入学します。2020年度を境に学校教育が変わってくるといわれていますが、あと3か月の間で子どもに身につけておくべきことはありますか?
鈴木貴子さん(以下、鈴木):小学校の先生から、自己調整力が未熟な子が多いという話を伺います。学校は集団生活の場ですので、自分の主張や欲求だけを押し通すのではなく、ときに相手の意見や気持ちを聞き、ときに自分の意見や気持ちを伝えて、相互に折り合いをつけていく必要があります。これができるようになるためには、まず「自分が思っていることを人に伝える力」、「人の話が聞ける力」を身につけておくことが大事なのかなと思います。
――自分の意見を伝えることですか……。うちの子は恥ずかしがって自分の意見を伝えられないことが多々あります。そういう子にはどうしたらいいですか?
鈴木:おうちの方と一緒に「自分はこう思っているんだよ」ということを伝える練習をするといいですよ。日常の会話でもいいですが、できればテーマを設定して話し合うようにします。一番信頼しているおうちの方に伝えることができるようになると、徐々にお友達ともできるようになりますよ。
――うちの子は聞く力はある方だと思っているのですが、それでも45分もある授業をちゃんと聞いていられるか心配です。
鈴木:「自分が小学校の時はこんな給食が出たよ」とか「こんな授業があってね」など、おうちの方自身の体験を子どもに話してあげてはどうでしょう。小学校入学後の生活が具体的にイメージできる上に、人の話を聞く練習になり、ひいては小学生になったときに先生やお友達の話をしっかり聞くことに繋がります。
「自分の意見を言う」、「人の話を聞く」。小学校入学前に、この2つのことがしっかりとできるようになることが大切です。
忘れ物対策や時計の読み方など、生活習慣はどうやって身につけたらいい?
――小学校入学といえば、「忘れ物をしないか」をはじめ生活面のことを心配されるママたちも多いですよね。
鈴木:忘れ物に関しては、今のうちから出かける前の準備をおうちの方がすべてやってしまうのではなく、おうちの方とお子さまが一緒に用意するといいと思います。お子さまの荷物はお子さまに持たせることを心がけるとよいですね。子どもに自分で責任を持って用意し、持ち帰ってくる習慣をつけさせるということです。たまにランドセルを背負わずに学校に行ってしまったり、逆に学校に置いてきてしまったりする子がいるという話を聞きますが、そういうことがなくなります。
――「朝の支度が間に合うか」も心配です。時間の概念を身につけさせるのは、なかなか難しい気がしていますが……。
鈴木:時間に関しては、生活の中で時計を意識すると徐々に身についてきます。たとえば、朝ご飯を食べるのに何分かかるか、着替えは何分かかるかを計り、「朝8時に出るためには何時に起きたらいいかな?」と確認することで、時間に関する感覚を育ててあげるといいと思います。
――ひらがなやカタカナ、計算を教えるときはどうしたらいいですか?教えようとしてもなかなか子ども本人にやる気がないのですが……。
鈴木:お子さまが興味のあることに関連付けて教えてあげるといいですよ。
たとえば虫が好きな子にカタカナを教える場合には、図鑑が役立ちます。図鑑の虫の名前はカタカナで書いてあるので、親子で図鑑を見ながら「これはなんて書いてあるんだろうね」と声をかけてあげてみてください。また電車好きな子なら、「この列車は何両編成かな?」と質問すれば、数を数え始めます。
――勉強というと、ついつい机の上でやるものと思ってしまいますが、身近なところにいろんな学びがあるのですね。
鈴木:そうですね。幼児期というのは、いろいろな体験を自分の中に詰め込んでいる時期です。見て触って匂いを嗅いでという五感をフルに使った体験こそが、子どもの興味を引き出します。「できるって楽しいな」と感じると、子どもは自分から「もっとやりたい」と思うようになるんですよ。
いろいろなことへの興味や、おもしろいと思う気持ち、自分から探求、挑戦していく姿勢は、学習にあたってとても大切です。それが小学校入学後も、自ら意欲的に学習する姿勢=「あと伸び力」になっていくのです。Z会では、幼児期はこのような学びの土台を作る時期だと考えています。
「伝える力」や「聞く力」、学習意欲が身につく。Z会の幼児コースは何をするの?
――学びの土台を作るといっても、入学まであと3か月。今からZ会の幼児コースを始めても間に合いますか?
鈴木:大丈夫ですよ。1月号では先ほど話があった「時間」をテーマの1つとして取り上げます。また2月号の「はかる」というテーマでは、ひもを使って長さ比べをしたり、重さを量ったりして、算数や理科の基礎となることを学んでいきます。
――これからの教育は、論理力や思考力などが重視されるので、それらの基礎となることを今から少しずつ体験しておくのは大事かもしれませんね。具体的に、どのような教材があるのでしょうか?
鈴木:年長3月号「なんじに おきれば いいのかな」では、朝起きてから出かけるまでの準備を通して、時計を見て行動する意識を高めます。
たとえば、着替えに何分かかるのか、朝ごはんは何分かかるのかを時計を使って、お子さまと一緒にはかってみましょう。「ご飯を食べるのに15分かかったね。着替えは5分でできるね。全部で20分かかったね。じゃあ、朝は何時に起きたら間に合うかな?」というように、おうちの方とお話ししながら、時間について話しあうことが大切です。
また親子間で会話をしながら決めることで“時間の感覚”を養い、小学校入学前から生活習慣をつけることができますよ。
――とはいえ、大人が子どもに教えるのはとても難しく思えます。
鈴木:そうなんですよね。大人にとって当たり前と思うことが子どもにとっては当たり前ではないこともあります。保護者の方向けの解説書「ぺあぜっとⅰ」には、こんなふうにお子さまに質問をすると、答えてくれますよ」というような声かけ例も紹介しているので、手助けになるといいなと思います。
――教材は毎日たくさんの量をこなさなければいけないのでしょうか? あまり多いとできないのではないかと不安があります。
鈴木:ワーク教材は1日5分程度でできますよ。毎日続けると学習習慣がつき、小学校の宿題もスムーズにできるようになります。体験教材の方は、週末時間があるときに親子で一緒に楽しんでいただき、いろいろな体験をして興味・関心の幅を広げるとともに対話力を身につけることができるよう配慮しています。最後に体験を振り返り絵に描くことで、学んだことがしっかりと定着します。
小学校入学前の今は、「学ぶって楽しいな」とお子さんが思える基礎を育む時期です。親子で一緒に、いろいろな学習体験を積めるといいですね。小学校入学後にぐんぐん伸びるように、Z会の「幼児コース」で、お子さまの伝える力や聞く力、学習意欲を育んであげてください。
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